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コンプリ学園

【23:21】

「み、皆さんこんばんは。AA(ダブルエー)ブイチューバーの浅宮アミです。よろしくお願いしますぅ…」


✱「待ってた」

✱「新人ちゃんの1人か」

✱「こんアミーゴ!」

✱「大丈夫かな」

✱「頑張れアミ」

✱「緊張してそう」


遂にカウントダウンライブで亜沙美の出番が来てしまった。唯一の後輩である火影とロミータの漫才じみたエールで、かなり気が楽になった彼女はセットの椅子に座り、少し固い笑顔を魅せている


「えへへ、実は練習して少しギター弾けるようになりましたァ♪」


✱「オォ(*˙꒫˙* )」

✱「マジか」

✱「ミスしても良いよ」

✱「いつの間に…楽しみ♬」

✱「頑張って」


ギターを抱えて公園にあるような長椅子に腰掛けて浮かべた笑顔から、亜沙美が緊張しているのはアミーゴたちにはバレバレだった


「それでは弾き語り風で【BOJのFRIEND Stream】歌います♪……沈む夕日と流れる人々〜♪私は1人で〜奏〜るの〜♪………過ぎ去りし日を置き去りに〜私は…未来(まえ)にぃ進む♪」

挿絵(By みてみん)

最近のアニメで少しブームになりつつある作品【BOJ(ビート オブ JK)】のエンディングで、ヒロインの女の子が夕日をバックに弾き語りしているシーンを真似て歌うアミ


✱「ええやんええやん」

✱「努力したんやな」

✱「いつの間にギターを」

✱「娘の成長を見守る父親の気分やで」

✱「本当に弾いてるやん」



「……みんなに言いたいぃ♪…ありがとぅ♪………有難うございましたァ!」


✱「パチパチパチ」

✱「パチパチパチパチ」

✱「ナイスアミ」

✱「良かったよ」

✱「かなり似てた」

✱「雰囲気出てた」


まだまだ拙いギターだったが…必死に演奏しながら歌うアミの姿は、5万人を越す視聴者たちから高評価を得られたようだ




【舞台裏】

「先輩!良かったすよ」


「火影ちゃんも頑張ってねぇ♪」


「ウイッス!カマしてきますよ♬」


セットを下げる間に舞台裏で言葉を交わした亜沙美と御影(火影)。緊張の中、何とか歌い切って下がる亜沙美に対して、「ようやく出番キター!」という感じでステージに向かう御影は対照的に見えたが、仲の良い姉妹のようにも見えた


(ちょっと…ロミーの亜沙美と仲良くし過ぎなんじゃないのっ!)

「あ、お疲れ様 亜沙美。良かったわ♬」


「ありがとうロミータちゃん♪」


親しく見える御影に少し嫉妬心が芽生えたものの、満面の笑みで亜沙美を出迎えたロミータ


ロミータは御影の次の出番だ

(亜沙美があれだけ頑張ったんだから…ロミーもカッコ良いとこ魅せなくちゃねっ!)


1番手のマリアンナに続くメンバーたちは、勢いを下げないように各自色々な気持ちで歌い切り、カウントダウンライブは好評の内に幕を下ろした




【コンプリ学園】

「あけましておめでとうございます♪」

「明けましておめでとうございますー」


日付けが変わり、10人全員で視聴者に向けて新年の挨拶をしたコンプリのメンバーたち。舞台は変わり…

【コンプリ学園の放課後トーク】

という名の雑談配信が始まった


前半のメンバーは…スノウ・ホワイト、ロミー・イングランド、蒼空メルル、浅宮アミ、火影みもらの5人が色々な学生服に着替えて、クラスの放課後という雰囲気を出していた


「この学園(コンプリ)に転入(所属)して、そろそろ慣れた頃やろか?アミちゃんのギター良かったし、火影ちゃんのダンスも素敵やったよ♪」


スノウがクラス委員長に扮して、トークを回してくれている感じだ。そして新人2人に話す機会を与えるネタで、話を振ってくれた


「は、はい…少しずつみんなと話が出来るようになってきましたぁ…ギターはオリビア先輩から、この3日間丁寧に教えていただきましたァ♪」


「うんうん。成長を感じてるわ。偉いね、努力したね、流石ロミーのアミは出来る女だわ❤︎」


「…アミちゃん。まだ緊張してんの?私はもっと先輩たちと絡んで行きたいです♪有難うございます!ダンスも歌も小学生の頃から習ってましたから♪」


「へ〜そうなんだ。うん、これからも頑張ってね…」


今回の日直(MC)を任されているロミーが、アミと火影の発言に対してアンサーを述べたのだが…


「ちょっとロミー先輩!何だか私とアミちゃんの時で、態度が全然違ってませんか?…そういうのは良くないと思います!」


亜沙美に対してのロミータの言葉は、凄く気持ちのこもったモノだったのに…自分のに対しては軽く流されたような言われ方をした火影は「気分悪いんですけど〜」という感情が態度と言葉に出ていた



「仕方ないんじゃない?ロミーは全てに最優先してアミの面倒みてるみたいだし、頭の中はアミのことで埋まってるんじゃない?(笑)」


口を挟んできたのは、亜沙美の契約時に同じ事務所内に居たのに挨拶も出来なかった蒼空メルルだった


「そうなのよね〜。アミに頼られたら断る選択肢なんかロミーには無いし、アミに頼まれたら今この場で脱いでも後悔しないわ。アミはロミーの全てだもの❤︎」

挿絵(By みてみん)

「ロミーちゃん!?」


日直係りとして先生が立つ教壇の位置からMCをしているロミータは、指でハートマークを付けてまでアミへの想いを隠すことなく語った。その態度に驚きを隠せないスノウ


「ちょっとロミーちゃん。恥ずかしいよぉ…」


事務所メンバー総出のこの配信は5万人以上の人が見ているのだ。当然、亜沙美はそんな中で自分への愛の告白を、ドストレートで言われて照れているのだが…ロミータは「ソレがどうしたのよ?」とでも言わんばかりに、全く気にもしていないようだ



「それでアミは次は何を頑張るの?それとも歌やギターを練習するの?」


「えと…もっと歌もギターも練習して…」


「ふむふむ。今年もロミーといっぱいオフコラボしましょうね〜♬」


「だーかーら〜…アミちゃんばっかにトーク振り過ぎだって言ってるじゃないですか!ちゃんとMCしてくださいよね!!」


何も態度を改めず、続けて亜沙美にばかり話をするロミータに、いよいよ火影はマジギレしそうになっていた


「え〜、だってアミと話してると楽しいし〜…えっ!?」


火影に何度注意されてもアミとばかり話しているロミータ。次第に彼女の口調が強くなりだした時だった


「ガタッ…スタスタ…ガシッ!」


ニコニコしながら座っていたスノウが当然立ち上がると、静かにロミータの前に来た。すると薄ら笑いを浮かべた彼女は、右手でロミータの両頬を挟むように掴んだ


「「先輩らしいとこを魅せて、アミちゃんを1人前に導きますから任せてくださいっ!」って彼女がデビューする時に言ってたわよね〜。アレは嘘だったのかな〜…ん〜?」


「しゅしゅしゅ、しゅみましぇんでしたぁ!」


オリビアと同じく、コンプリの最古参で【仏のスノウ】と言われている彼女が、ロミータの暴走に堪忍袋の緒が切れそうになり、静かな圧を掛けて鎮静化させた


✱「こっわ…」

✱「ロミーちゃん、やり過ぎたな」

✱「普段怒らん人ほど怖いのな」

✱「アレは本気だな」

✱「流石に怒ったか」

✱「ロミーも逆らえない」



「まーまぁ、今夜から2晩アミちゃんと火影ちゃんはメルルのマンションに泊めるので、アミちゃんの事は私に任せてください。ロミーのことは任せますので、ね?スノウ先輩」


2人の行動を見守っていた蒼空メルルが、アミのことはメルルに任せてください。と進言した


「そうね…ロミーは私が2日かけてジックリ教育しますから、その間アミちゃんの事は任せるわね」


メルルを信頼しアミを任せ、自分はロミーへの再教育をキチンとすることを決めたスノウ


(メルルか…少し不安だわ。亜沙美の面接に付き添った時くらいから、配信方向がかなりセンシティブ寄りに変化したのよね…アミに変な事しなけりゃ良いのだけど…)


「任せてって、アミに変な事しないでしょうね?」


「え〜変な事〜?私は先輩としてアミちゃんに普通に接しようと思ってたんだけどな〜、そんなこと言われちゃうと…意識しちゃって食べちゃうかも知れないな〜(笑)」

挿絵(By みてみん)

「ちょっ!?ナニ言ってんのよっ!!」


「いやいや、2人が普段どれだけスキンシップしてるのか…メルルも体験してみたくなっちゃってね〜(笑)」


「やめてくださいよ。メルル先輩んチに私も泊めてもらうんですよ?」


メルルとロミーがアミを巡って、センシティブ方面で言い争ってるのを静観していた火影だが、自分も一緒に泊めさせてもらう予定であることを告げた



「はいはい。その辺にしときなさいね」


「そうだったわ。火影も居るんだから大丈夫よね…」


「んふふ♪」


スノウは年始トークに、亜沙美とロミータをセットで参加させた事を後悔していた。王道派アイドルを目指している火影も、一緒にメルルのマンションに泊まるのだから、変なことは起きないハズ。と飲み込んだロミータだが、メルルは不敵な笑みを浮かべていた




【深夜1時過ぎ】

「遅い時間だから寄り道せずに帰るのよ」


「スノウ先輩有難うございます!」

「ありがとうこざいます」

「おやすみなさい」


スノウは経費でお抱えのタクシー業者を呼び、それぞれが泊まるマンションやらホテルへの送迎をさせた


「ねぇ亜沙美。メルルが何かしてきたら、時間は気にしなくて良いから何時でも電話してきてね」


「うん、ありがとう。それじゃあねロミーちゃん」


亜沙美と自分が常にセットで居ると、他のメンバーとの交流の機会を減らしてしまう。それは亜沙美にとってマイナスだと考えたロミータは、同期のメルルに亜沙美を任せたのだが…彼女の挑発的な言動に不安を感じているようだ


「ほらロミーも乗って。私のマンションに行くわよ?」


「ありがとうこざいますスノウ先輩」


ロミータはミネアと共に、スノウのマンションに泊まるのだが…亜沙美が乗るタクシーを最後まで見送っていた




続く

最終回まで後20(たぶん)


もうすぐで当初から描きたかったエピソードがコンプ出来るので、最終回を迎えようと思います

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