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アミーと飲むロミー

【12月23日の夕方】

「ヨッシャ!」

「新型だけあった手間取りましたね」


「みんな良く頑張ってくれた。強襲用機動兵器が完成した。今夜はよく休んでくれ」



南極基地から、このコロニーに運び込まれた地球連合軍の新型ガンボーイを破壊する為に送られてきた、シオン公国の機動兵器の組み立てが終了した


「新兵。コレを持って外で歌っていろ」


「えっ!?外で歌うんですか?」


「音楽は音量MAXにしてな」


「は、はぁ…」


ラジカセを渡されたバーナードは外に出て、世界的に有名なロック歌手の歌を歌う




【工場内】

「機動兵器に火を入れろ。動作確認だけで良いからな」


どうやらバーナードは、工場内で稼働実験をする機動兵器の音を誤魔化す為に外で歌わされたようだ


「下手クソが、静かにしろぃ!」


「あ、痛っ!…す、すみません…」


「もう良いぞ。中に入れ」


役目を終えたバーナードは中に呼ばれた。隊長は隊員の3名を整列させると話し始めた


「何とか作戦までに組み立てが間に合った。良いか?地球連合軍の基地を明日の13時に襲撃する。以上だ…」


「えっ!?明日は休暇だったハズでは?」


「命令が降りた。予定は変更だ。今夜はシッカリ休んでおけよ」


「…は、はい…」



「えぇぇえええ!?明日ってバーナードとクリスピーナのデートじゃなかったのぉ!?」


✱「これが戦争よ」

✱「そうはならなかった」

✱「可哀想にな」

✱「仕方ないんや」


てっきり、敵国同士の2人の恋物語がクリスマスイブに展開されるとウキウキしていた亜沙美は、後頭部をハンマーで殴られたような衝撃を受けていた




【クリスマスイブ12:30】

「お前ら飯は食い終わったか?」

「バッチリです」

「勝利の味がしましたぜ」

「……はい」


それから数日後、本国から数回に分けられて送られてきた部品を数日掛けて完成させたシオン公国の新型機動兵器に乗り込んだ隊長


「良し。イケそうだ」


隊長が機動兵器の立ち上げに成功しようとしていた時…


「ブッブー…ブッブー……」


工場の呼び鈴が鳴った。4人に緊張が走った!何故なら、この来訪者の予定など有り得ないからだ


「俺が出る。バーナードは先輩の方に行け」


先輩2人の若い方がドアに向かう。左手でドアの解放ボタンを押そうとしつつ、右手は腰に差し込んでいた拳銃に手を伸ばした


「どうも…ちょっと中の様子を見させて欲しいのですが…」


「い、今は少し立て込んでまして…」


ドアの向こうに3人の警官が立っている。若い先輩は何とか中に入らせないように交渉していたのだが…


「バキバキバキっ!!」


隊長が機動を終えた兵器を起き上がらせた。機動兵器は工場の屋根を破壊し、約20メートル弱の姿を晒した


「うわあっ!!」


その姿に驚いた警官の2人が、工場内の3人目掛けて発砲した


「ぐあっ!?」


「大丈夫ですか?…バーナード、俺は先輩を連れて脱出するから、貴様がもう1機に乗って隊長を手伝え!」


「わ、分かりましたっ!」


すかさず、もう1機の機動兵器に向かうバーナード。先輩2人は警官の拳銃をそれぞれ足と肩に受けたので、機動兵器の操縦は無理と諦めたようだ


「もしもし、地球連合軍ですか!?シオン公国の機動兵器を発見しました。我々はシオン兵と撃ち合っています。この工場の場所は…」


機動兵器を組み立てていた秘密の工場が、警官の通報により地球連合軍に発見されてしまった!


……………………………………………


「うぇぇん、こんなの可哀想だよォ…」


クリスピーナが乗る地球連合軍の新型機動兵器に、上半身を破壊されたシオン公国の機動兵器。腰に設置されているコクピットを覗き込んだクリスピーナは、あまりの衝撃に言葉を失った


【戦闘の詳しい内容は最後に入れます。全文読むのが面倒な人は読まないで大丈夫です】


「私の楽しいクリスマスは何処に行っちゃったのよォ!!」

挿絵(By みてみん)

✱「そうなるわな」

✱「この作品選ぶから」

✱「アミ残念」

✱「悲しいよなぁ」

✱「ガンボーイでもトラウマ作品なんよ」


「あうぅぅ…」


あまりの悲しい展開に、アミー水を賭けていた事を忘れて号泣している亜沙美


✱「悲しい話だったね」

✱「せやなぁ…( ˘ω˘ )」

✱「しかし約束は約束だぜ」

✱「せやなぁ…(ˊᗜˋ*)」


「あっ!?もしかして、アミー水が要求されてるぅ?」


✱「もちろん」

✱「当然だね」

✱「約束は守ってね❤︎」

✱「マジで欲しい」


亜沙美はようやく「泣いたらアミー水を提供する」という視聴前にした約束を思い出した




【ロミータの部屋】

「みんなはクリスマス何してるの?デートとか無いの?(笑)」


✱「なんやて」

✱「あったら居ないって」

✱「無いから見てるんやで」

✱「煽りよって」

✱「喧嘩売ってる?」


「まぁまぁ。視聴者(ロミフレ)のみんなにはロミーが居るじゃない…そうね!寂しいみんなの為にエッチぃASMR聞かせてあげるわ♪それで我慢しなさいね」


✱「マジで?」

✱「ナイスプレゼント」

✱「太っ腹」

✱「嬉しいです」

✱「やったぁー!」


ワザと視聴者を煽っておいて、エッチぃASMRで癒してあげるという。下げてから上げて視聴者を喜ばせるというロミータの高等テクニックだ


「(囁き声)ロミフレ君。キミは何処が弱いのかな?耳の裏なんかどう?ふぅぅ…どう気持ち良い?」


✱「うひょー♬」

✱「エッチやん」

✱「ゾクゾクするっす」

✱「nice ロミー」

✱「いい。良いぞぉ♪」


「それじゃあね…大プレゼントよ。視聴者(ロミフレ)のほっぺた舐めてあげるわ」


ロミータはマイクの近くに無音で下敷きを用意した。そして、ゆっくりと下敷きを舐めあげた


「ジュルジュル…ズゾゾ…」


✱「マジ?」

✱「感じるぅ!」

✱「ヤバいです!」

✱「うはっ」

✱「興奮だぜ!」

✱「昇天しちゃうって!」


まるでロミーに自分の頬を舐められているように錯覚した視聴者(ロミフレ)たちは、あまりのエッチぃ音に歓喜した


「ふふふ♬喜んでくれたみたいね。次は何処をナメナメしちゃおぅかな〜?…んっ!?」


その時ロミータは、モニター横に配置してあるスマホに目を奪われた。亜沙美の保護者を自負している彼女は自分の配信中であっても、常に亜沙美の配信チェックも怠らない


「あ、アミー水を抽出するですって〜!?」

挿絵(By みてみん)

「…あ、ごめんね。えっと…そのちょっとお花摘みに行ってくるから4-5分ほど待っててね〜ポチッ…バタンっ!」


✱「ちょっ…」

✱「部屋から出てったよな?」

✱「最後アミー水って」

✱「言ってたよな」

✱「アミちゃんの部屋に行った?」

✱「俺ら放置かよ」

✱「ん!?これは…」


「はーい!皆さん、こんばんは。ロミーはイングランドと日本のハーフのブイチューバーです。何と、現役の女子高生なのよっ!若くて可愛いロミーを推してみない?…今ならメンバーシップに入ってくれたら…月に1回エッチで可愛いロミーの壁紙とASMRボイスが更新されるのよ。お得でしょ?」


✱「新規勧誘PVか?」

✱「こんなん作ってたのか」

✱「離席用動画かな?」

✱「用意周到だな」

✱「準備いいな」


ロミータは離席している間、視聴者を飽きさせないように新規さん勧誘用のPVを作っていたようだ




【亜沙美の部屋】

「クリスマスからエッチぃ配信してBANされても困るからぁ…アミー水は、また今度じゃ駄目かなぁ?」


✱「駄目です」

✱「ダメだ」

✱「ナニ言ってんの」

✱「約束したろ?」

✱「アミー水、アミー水!」


亜沙美の視聴者(アミーゴ)たちは、今回のガンボーイ同時視聴でアミー水欲しさに彼女が泣くことを期待していたのだ。号泣してしまった以上、その約束を反故にするなど許せるハズがなかった


「で、でもぉ…」


「バタンっ!困っているようねアミ」


「ぇぇぇえええ!ロミーちゃん!?」


レオタード姿でのクリスマス配信でアミー水を要求されて困惑していた亜沙美の部屋に、勢い良くロミータが侵入して来た


「ロミーが手伝ってあげるから、大船に乗ったつもりで安心してくれてオーケーよっ♪」


「よ、余計に心配しかないんだけどぉ!!」


✱「ナイス!ロミーちゃん」

✱「お任せします」

✱「アミ観念しな」

✱「ドキドキ…」

✱「マジで頼むで」

✱「録音せねば」


……………………………………………


「こ、これで良いのォ?」


「うんうん。それと邪魔な両手は後ろで縛っちゃおうね〜❤︎」


ロミータは部屋の中央に亜沙美を立たせると…彼女の両腕を上着の袖で強めに縛った!そして集音マイクをイスの上に乗せ高さを調整し、亜沙美の腰の横に設置した


✱「本当にやるのかな?」

✱「演技じゃね?」

✱「ロミーちゃんなら…」

✱「やってくれるだろ」

✱「何たる神回!」

✱「はぁはぁ…興奮してきた」


「ねぇロミーちゃん。本当にアミー水出さなきゃイケないのぉ?」

挿絵(By みてみん)

しゃがみ込んだロミータに、下から見上げられているこで亜沙美は緊張して汗をかき始めた


「当たり前でしょ?アミが視聴者(アミーゴ)と約束したんでしょ?やらなきゃ配信者として失格なんじゃないのっ?」


「…………」

(あれ?ロミータちゃん、ペットボトル持ってる。どうする気なんだろ?)


「ひゃうっ!?お、お腹押しちゃダメぇ!本当に出ちゃうよォ!」


✱「マジだぞ」

✱「マジやな」

✱「本当に出すんだ」

✱「アミちゃんエッロ」

✱「あかん!立ってきた」


配信用のライブ2Dアバターでの配信なので、アミが本当にハイレグ姿で両手を縛られて立たされているのか?は視聴者には分からない。音やアミの声で判断するしかないのだが…


「ぽちょぽちょぽちょ…ぽちょ…」


✱「マジやん」

✱「本当かよ?」

✱「この音は…生だよな?」

✱「萌え上がるぅ!」

✱「これ大丈夫か?」


集音マイクから聞こえてくる音は…本当にオシッコを出している音を、拾っているようにしか聞こえなかった


「あっ、あっ、あぁぁぁ…」


「可愛いわよ。アミ❤︎」


不規則な水の音は、どう聞いてもオシッコの音だったが…右手に500㎖のペットボトルを4本の指で持ち親指を飲み口にあてて、時折り開いたり閉じたりしてリアルなオシッコを演出していたのだ



「はぁはぁはぁ…いっぱい出ちゃった…」


✱「うおぉぉぉ!」

✱「最高かよ」

✱「欲しい欲しい」

✱「視聴者プレゼントだよね?」

✱「絶対に捨てないで!」


視聴者(アミーゴ)はアミー水の配布を熱烈希望したのだが…


「これはロミーが採水したんだから、ロミーがもらって行くわねぇ♬…バタンッ」


✱「そんなっ!」

✱「殺生やん」

✱「ひどっ」

✱「おいおいおい」

✱「行っちゃったよ」


「あ、あはは。えっと…今夜の配信は喜んでもらえたかなぁ?明日はロミーちゃんとコラボ配信して…明後日は東京移動でお休みもらうけど、3日後からは東京の先輩の家から配信するから楽しみにしていてねぇ♪それじゃ、お休みなさい。乙アミーゴ〜♬」


✱「乙アミ」

✱「乙アミーゴ」

✱「お疲れ様」

✱「アミー水が…」

✱「おのれロミーちゃん」


ロミーの高等テクニックで、本当にアミが出したオシッコをコップで採水した思っているアミーゴたちは、ソレを奪われたことを悔しがっていた




【ロミータの部屋】

「みんな待たせちゃったわね」


✱「お、来たか」

✱「帰ってきた」

✱「待ってた」

✱「アミー水は?」

✱「持ってきた?」


「あはっ。なんだ視聴者(ロミフレ)はアミの配信見てたのか…ふふふ。愛しのアミの聖水を逃す訳にはイカないじゃない?」


✱「どうすんの?」

✱「神棚に飾るとか」

✱「本当にアミー水?」

✱「俺らに配布とか?」

✱「本当にアミちゃん好きだよね」

✱「マジで採水したんですか」


「あったり前でしょ?それでね、神聖なアミー水は…喉が渇いているので飲んじゃうわ❤︎ゴキュゴキュゴキュ…ぷはぁ。美味いわっ!」


✱「マジかよww」

✱「飲みおった」

✱「流石にオシッコは…」

✱「愛強過ぎやろ」

✱「そこまでとは」

✱「すげぇよ」


ロミータは、配信しながらアミー水をイッキに飲み干してしまった!とは言えソレは、ロミータが元々持ってたペットボトルの水をコップに入れ替えただけの物で、オシッコを飲んだ訳ではない。ましてや亜沙美も漏らしたりはしていないのだ


「それじゃ明日はアミとオフコラボ配信するから、みんなも見に来てよね。そうそう、枠はロミーの枠だから間違えないでよね。おやすみロミフレ、じゃあね〜♪」


✱「おやすみ〜」

✱「色々凄かった」

✱「また明日」

✱「にしても本当に飲むとは」

✱「愛深すぎやな」


視聴者たちに本当にアミー水を採水したように思わせソレを堂々と飲み干したロミーに、彼女を推しとする者たちにもショックを与える回にしてしまったロミータ




【10分後の亜沙美の部屋】

「ε٩(๑>ω<)۶зもう!本当に焦っちゃったんだよォ…」


「良いじゃない。結果的に助かったでしょ?」


「ソレはそうなんだけどォ…」


確実に配信が切れていることを再確認してから、明日のコラボ配信の内容を打ち合わせしだす2人だが、亜沙美は本当にアミー水を採られるのかと本気で心配した。と伝えた


「冬休みに入っているとは言え、生活リズムをあまり壊すのは良くないわね。そろそろ寝よっか?」


「そうだけどォ…あんな事されたからドキドキしちゃって寝られそうにないよォ…」


「そう?…なら本当にアミー水排水しちゃう?(笑)」


「もう!そうやってスグからかうんだからぁ!」


結局、1時間ほど翌日の配信を相談しつつもイチャイチャした2人は、亜沙美のベッドで軽くハグしながら眠りについたようだ





【注意 】ガンボーイの詳しい内容です


予め知らされていた地球連合軍の秘密基地の前に到着した隊長。その後ろから、もう1機の機動兵器が追い付いた


「すみません隊長、遅れました」


「バーナードか?ちゃんと武器は取ってきたんだろうな?…2人はどうした?」


「装甲車に乗って脱出ポイントに向かう。と言っていました。やってきた警官と撃ち合いになってしまって、2人とも負傷してしまったので自分が機動兵器に…」


「ガコンガコン…ウィィん…」


地球連合軍の秘密基地の天井が開くと…中から白い機動兵器が姿を現した!


「コイツは新型のガンボーイだ。俺がヤツを破壊するから、貴様は後方射撃で俺を支援しろ!」


「了解しました!」


地球連合軍は秘密工場にシオン公国の機動兵器有り!の報告を受けたした時点で、コロニー内に南極基地から運び込んだ新型機動兵器の始動調整をしていた



「コロニー内で戦うのは反対です!」


「敵にガンボーイを渡せと言うのか?」


「…分かりました。出撃します…」


あくまで新型ガンボーイのエンジニアとして、機体調整の為に派遣されていたクリスピーナは、自分が操縦して人が居るエリアで戦闘をするのを躊躇った


「この機体が目的なんでしょ?付いて来なさいっ!」


「バシュー」


クリスピーナはガンボーイのスラスターを吹かして飛び上がると、人が居ないであろう森林地帯に着地した


「隊長。ヤツは森に誘っているんでしょうか?」


「人が居ないエリアで相手をしてくれるのは有り難いな。俺とて無用な殺生はしたくないんでな、付いてこいバーナード!」


「は、はい…」


2人が乗るシオン公国の機動兵器には、数百メートルもジャンプする程のスラスターは積まれていない。なるべく人を避けて森を目指した



「ガガガガ…」


追ってきた2機がある程度 森に入ったのを確認したクリスピーナは、ガンボーイの右手が握っているマシンガンで攻撃してきた


「おっと!そんな見え透いた射撃なんぞ喰らうかよ…バーナード。ヤツの射線には入るなよ」


「は、はい。距離を保って援護します」


隊長は補充要員のバーナードの機動兵器の操縦レベルが分からないので、彼を安全な場所に配置し、自分の機体でガンボーイを倒そうとした


「この…当たって!」


あまりコロニーに被害が出ない内に、2機を戦闘不能にしなければ!と焦っているクリスピーナ。しかも彼女は正規のパイロットではない


「ふん。このパイロット、戦場での経験があまり無いようだな。射撃も動きも素人だ」


百戦錬磨の機動兵器パイロットの隊長は、ガンボーイのパイロットの技量の浅さを即座に見抜いた


「破壊せずに捕獲してみるか?」


地球連合軍のガンボーイは、100機以上のシオン公国の機動兵器を破壊したという噂を聞いていた。しかも、その新型の破壊命令だったので、生命を賭して任務遂行をかんがえていた隊長だが、あまりに素人臭い動きに捕獲することを試みる


「ボシュッ!」


「バゴォーン!」


隊長機が撃ったハンドバズーカの弾を、教本通りに盾で防御した新型ガンボーイ。続けて隊長は手榴弾のような物を投げ込んだ


「バシュー………」


「何これは?…煙幕?」


ハンドバズーカを防いだ反動で一瞬動きが止まったガンボーイは次への動作が遅れ、投げられた手榴弾から立ち込める煙幕に、機体が包まれるまで棒立ちしてしまった


「ビィービィービィー!」


「整備兵が動かしているのか?俺を相手にしたのが運の尽きだっ!」


煙幕で完全に視界を塞がれていたが最新型のガンボーイは、最新のレーダーが搭載されていたので、敵の機動兵器が接近してくる方向を、警告音と共にクリスピーナに伝えていた


「ヤラセない!」


「バキバキっ!」


「きゃあああ!…はぁはぁ…危なかった…」


警告音のお陰で、隊長の機体が握るサーベルの斬撃を紙一重で躱せたクリスピーナだが、コクピットの外側が吹き飛ばされた


「モニターが死んだ?…ヘルメットは邪魔だわ。外が見えない」


機体のカメラが捉えた映像が、パイロットのヘルメット内に投射されるシステムの機体なので、コクピット周りを破壊され映像が送られなくなったいじょう、ヘルメットは邪魔なだけだったので彼女はヘルメットを脱いだ


「コクピットの中が見える?…あ!あのパイロットはまさか?クリスピーナさん?」


距離を置いて支援射撃をしていたバーナードは、モニターを望遠に切り替えて剥き出しになったガンボーイのコクピットを見ると…中には彼がこのコロニーで親しくなったクリスピーナが乗っていた


「ぐおぉぉぉ!?」


機体性能の差なのか?強力な武器を複数持つガンボーイに押され始めた隊長は、敵の攻撃を喰らってしまった


「バーナード!膝関節に敵の攻撃を喰らってしまった。いずれ動かなくなるやもしれん。接近して貴様がガンボーイを破壊しろ!」


「えっ?えっ…俺が…」


ガンボーイに好きな女性クリスピーナが乗っている動揺が収まらないバーナード


「何をしている?ココは戦場なんだぞ。俺たちを見殺しにする気かっ!?」


「りょ、了解!」


もちろん自分の手で、クリスピーナが乗る機体を破壊したくなどないバーナード。しかし、ここは中立をうたっているとは言え地球連合軍の息が掛かったコロニー内だ。敵機動兵器が健在のままでは、自分たちに明日はないだろう


(死なないでくれクリスピーナさん!)


バーナードは両手のサブマシンガンを、ガンボーイのコクピットに当てないように乱射しながら近づいて行く。手足を破壊して機体を拿捕し、クリスピーナを逃がそうとした


「クソッタレめ!なんて頑丈なんだ!」


隊長はマシンガンの弾を既に何発も当ててはいたが、装甲の厚いガンボーイは動きを止めない


「武器…機動兵器を破壊できる武器は?」


クリスピーナはマシンガンでは、機動兵器を破壊出来ないのを理解し始めた。この機体には新武装が幾つか搭載されている。その中から一撃で敵機動兵器を破壊できる武器を探した


「あった!ビームニードル、これで…」


クリスピーナは機体の右腕に装備されている新武装を、隊長機に向けて構えた


「うおぉぉぉ!止まってくれえぇぇぇ!!」


「もう一機が接近してきた?」


クリスピーナは右腕のビームニードルの照準を、隊長機からバーナード機に変えた


「バシュん!…ズドンッ、ゴワァン!」


ビームニードルをコクピットに喰らったバーナード機は、爆発の煙を上げて動きを止めた


「バーナードっ!!…くっ、この機体ももう限界か…仕方ないのか…くそぅ!!」


隊長は新型ガンボーイの破壊を諦め、部下の2人と待ち合わせしているポイントへと移動して行った


彼ら3人は無事に脱出出来たのか?それとも地球連合軍に捕まえられたのか?その結果報告はクリスピーナには知らされないのだが…



「クリスピーナさん!?見ちゃイケません!酷い有り様なんですよ!」


「はぁはぁ、構わないわ。見せてちょうだい…はぁ!?こんなの…こんなのって!?」


初めて実戦を経験したクリスピーナは、自分を殺そうとした敵国のパイロットの姿をその目で確認しようと、動かなくったシオン公国の機動兵器の元へやってきた


しかし、パイロットは身体の半分を爆発時に焼かれており、顔の確認も出来ない有り様になっていたが…彼が着ている服には見覚えがあった。今日の15時にバイクを診てもらう。という口実でデートに誘おうとしていたバーナードが、以前会った時に着ていた服と全く同じだったのだ


彼女は、その焼けたパイロットがバーナードだと確信した。そして…戦争の悲惨さをその身で十分過ぎるほど経験したクリスピーナは、軍務を辞め田舎に帰ったらしい




【筆者から御礼】

と、ここまで同時視聴作品ガンボーイの内容でしたが、今回は話を盛り過ぎてかなりの長文になってしまいましたが、最後までお付き合いくださり有難うございました


【引き籠もりブイチューバー】は、まだまだ続きますので今後もよろしくお願いします┏○ペコッ

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