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亜沙美、大ピンチ!

【竹取家19時過ぎ】

歌謡教室の帰りに【汰味噌ラーメン屋】により、久しぶりの外食をした亜沙美とロミータは家に帰ると早めのお風呂に入った


いつもならロミータが亜沙美の身体をペタペタ触って上機嫌になるのだが…今回は静かに済ませたようだ


「ねぇ亜沙美…やっぱり平戸さんに言われたこと気にしているの?」


「そりゃそうだよォ!しかも、年末の収録って12月26日なんでしょ?日が無さすぎるよォ…」


収録をしてから編集やチェックがあるので大晦日の配信に間に合わせるには、いくら所属ライバーが10人の中堅事務所とは言え、それでもギリギリな日程なのである


……………………………………………


「竹取さんは……非常に可愛い声をしていますね。異性から受けが良いでしょう。歌も下手ではありません。しかし……それは、あくまでも素人さんの中では、という話です。ブイチューバーとは言え、お金が発生する仕事のレベルとしては…まだまだ全然です……そうですね、レッスンは週1で通ってください。1日90分頑張りましょう!」


……………………………………………


前に東京に行った時にも近いことを言われてはいたが、平戸の意見はプロとしては全く足りていないという事だ


「全然遊べないし毎週土曜日に90分レッスンして、配信も毎日90分行ってたら冬休み全く遊べないよォ!!」

挿絵(By みてみん)

「亜沙美……仕方ないわよ。学生と兼任してブイチューバーをするって、そういう事なのよ?むしろ世間で言う連休が来ちゃうと、余計に忙しくなるのが企業勢配信者なのよ?」


「う、うぅ…ある程度の覚悟はしてたけどさぁ…イキナリこんなにキツくなるとは思わなかったよぉ…」


ブイチューバーは世間が休みの日こそ稼ぎ時である。土曜日曜に休んでいては上を目指せないのである


「まぁまぁ、ロミーも付き合ってあげるからさ、一緒に頑張ろうよ!」


「うん。ロミータちゃん、ありがとう♬」


個人勢のブイチューバーであっても、今まで休めていた日に配信を頑張らないと伸びない現実に襲われるのは変わらない。個人勢はやらない選択肢もあるが、企業勢には選択肢など有って無いようなものである


しかし、亜沙美はまだ良かった。苦楽を共にしてくれるロミータという存在が居て、尚且つ同居しているので公私共に支えてもらえるからだ。しかし…




【月曜日の学校】

11月2週目の月曜日が来た。学校に通いながら土曜日の夜には歌のレッスン、そして毎日欠かさない配信。それだけでも亜沙美は目が回る程の忙しい日々を送っていたのだが…


「え〜それでは再来週の金曜土曜に行われる文化祭に、ウチのクラスはコスプレ喫茶店をする事に決まりました!」


「ちょっと男子〜エッチぃ目的で投票したでしょ〜?」

「いいじゃん。メイド服が堂々と着れるんだよ♬」

「野郎どもの相手させられるなんてシンドー…」

「マジ引くわ〜」

「いや、待って!男たちにもコスプレさせれば良くね?」


「えっ!?文化祭?」


「あ〜、そんな時期だったわね」


学業とレッスンと配信をしているだけでも余裕の無い亜沙美に、学校行事である【文化祭】までが畳み掛けてきた!


……………………………………………


「それでは…ウェイトレスは女子から5名、ウェイターは男子から3名でお願いします。残った22人で教室の飾り付け班と、メニューの考案と調理をお願いします!まず、推薦から行います。埋まらなかった所はクジ引きで決めますので、後から文句を言わないようにね!まず、ウェイトレスの推薦を受け付けます」


学級委員長である立華梨香が黒板の前に立ち、2週間後に行われる文化祭の出し物についてクラスを纏めて進行していた。彼女を言葉を聞いて、ようやく文化祭の事を思い出した亜沙美とロミータ


「ろ、ロミーちゃん。どうしようコスプレ喫茶するんだって…私、いまでも全然余裕無いのにぃ〜」


「困ったわね…でも、覚悟するしかないんじゃない?」


「それでは以上の7人に挙手してもらいます。上位5名にお願いしますので、後から文句は言わないでくださいね………まず1番目に選ばれたのは…竹取 亜沙美さんです!続いてはロミータ・アナメルさんです!3人目は……以上の5名に決まりました!続いてはウェイター3名を選びます!」


「Σ( ˙꒳˙ )えっ!?」

「∑(๑ºдº๑)何ですって!?」


この忙しい中、どうやって文化祭に協力するか?話し合っていた亜沙美とロミータは、ウェイトレスの投票が終わった事に気が付いていなかった


……………………………………………


「ど、ど、ど、ど、どないしましょ…」


「くっそぉぉ、男子共。ロミーの亜沙美をエッチぃ視線に晒させる気ね!」


文化祭でコスプレ接客する事になった亜沙美とロミータ。亜沙美は完全に焦っていたが、ロミータは亜沙美の恥ずかしい姿が学校中の男たちに晒されることを危惧していた


別のベクトルの心配をしている2人の元に、梨香が歩み寄って来た。そして2人に顔を近付けて小さな声で話し始めた


「安心して。接客する人たちは飾り付けや、調理には協力しなくて良いようにしたわ。2人とも配信であまり時間の余裕は無いのですよね?ウェイトレスも大変ですけど宜しくお願いしますわ」

挿絵(By みてみん)

「あ、あの…ありがとう梨香ちゃん」


「それくらいは仕方ないか…で、梨香。コスチュームはどうなってるの?自前で用意するの?それとも何か支給されるの?」


「基本、こちらで何とか用意するわよ、コスプレ衣装って高いのよね?もちろん、自分たちで用意してもらっても全然オーケーよ」


「ピキィー!!……ソレだわっ!」


梨香の返事を聞いたロミータに、落雷のような閃きが走った!


「うっ、ロミータちゃんが妙にヤル気になってる…すっごく嫌な予感がするよォ…」


今までの同居生活で、ロミータの癖を大まか把握している亜沙美は、舞い上がっている彼女の姿に身の危険を感じていた


差し迫る年末のカウントダウン・ライブ。向上しなければならない歌唱力。今まで16年の人生の中でも、未曾有のプレッシャーが亜沙美を襲っていた…




続く

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