配信者の亜沙美が望むモノ
【図書室】
服部に誘われてロミータと一緒にこの部屋に来た亜沙美は、彼から空き巣(盗聴犯)たちを「どうしたのか?」を聞かせてもらえると思っていたのだが、服部からは「何か欲しい物は無いか?」と質問されたので、戸惑っていた
「ねぇ服部さん。空き巣たちにどんな処分をしたのか?が聞きたかったのにさ、何が欲しい。ってどういう事よ?」
「忍びの仕事は秘密厳守であるが故に、お伝えする訳にはイカないでござる」
「そっかぁ、教えてはもらえないのかぁ…」
社会の影で暗躍する服部たちの仕事内容は、人には言えないのが当たり前ではあるのだが…
「竹取殿は知りたいのでござるか?」
「教えてもらえるのぉ?」
「ちょっと!あんた、さっきロミーにはお伝え出来ない。って言ったじゃないのよっ!」
しかし、ションボリした亜沙美の態度を見て「知りたいのか?」と意見を変えてきた
「竹取殿はあの家の家主でござろう?その彼女が知りたいと言うのであれば、条件付きにはなるでござるが…多少は話しても良いでござるよ?」
「……は、はーん。なるほどね」
「え、え?どういう事ロミータちゃん?」
「つまりね。【知らぬが仏】ってヤツよ。知ったからには責任が付きまとう。って事よね?」
「いかにも。普通の学生生活を続けたいのであれば、敢えて踏み込まぬ方が賢明であろうな。しかし2人は被害者。慰謝料を請求する権利があるでござる。故に何を所望するのか?聞いたまで」
つまり服部が言いたいのは…
「詳しくは聞かないで慰謝料として何かをもらっておいてくれ」という事のようだ
「そっかぁ…うーん。でも欲しい物って急に言われてもぉ…うーん…」
「だったらさ。配信に役立ちそうな何かを頼んだら良いんじゃない?それならロミーも借りられるしさ」
「配信に役立つ物かぁ……」
と言われても、亜沙美は独学で配信活動を始めて足りない情報をロミータから聞いて、少しずつクオリティを上げている段階なので、突然聞かれても「パッ」とは思い浮かばないようだ
「だったらさ亜沙美。使っていない物置き部屋を防音設備の効いた配信部屋にリフォームしてもらったらどうよ?」
「防音設備?」
「そうよ。いくら一軒家で大きめな声を出しやすい。とは言っても【歌ってみた配信】とかは流石に出来ないでしょ?防音部屋があったらロミーと2人でデュエット配信とかも出来ちゃうわよ?」
「それ良い!カラオケ配信なんか出来たら視聴者も喜んでくれそう♪それにロミータちゃんとのデュエット配信 楽しみぃ!服部さん、防音設備ってお願い出来ますか?」
防音部屋に加工する費用は、かなり高いのが相場である。数十万から数百万は軽くかかってしまうので、人気のVTuberでも躊躇うし、持ってても四畳半か六畳くらいである
「ふむ。部下の中に建築関係で働いていた者が居るので、費用的に可能か?聞いておくでござる。分かったらメールで伝えますゆえ…本日はこれにて…」
「お願いしまーす」
亜沙美のお礼の声に、服部は去り際に手を挙げて挨拶とし図書室から出て行った
【亜沙美の部屋】
19:50。亜沙美はロミータとのカラオケ配信が出来たら楽しいだろうな?と話していた
「あら?亜沙美ったら意外と乗り気なのね。恥ずかしがり屋みたいだから、もう少し躊躇うのかと思ってたわ」
「まぁね…確かに人に聞かれるのは恥ずかしいけどさ…ロミータちゃんと一緒に歌うんだったら、キット大丈夫だと思うんだァ♪」
「そう言ってくれるとロミーも嬉しいわ」
(まぁ、なんて嬉しそうな顔して言ってくれるのかしら♪そうやって人を喜ばせる事を無自覚で言っちゃうのが亜沙美の良いところでもあるし、危険なところでもあるのよね)
そこまで亜沙美に信頼される仲にまで進展できている事に喜びを感じているロミータだが、無自覚で無計画な亜沙美の発言に勘違いをし亜沙美に好意を寄せている男子生徒が複数居るらしい。と聞いているので心配にもなってしまう
「ねぇ亜沙美。配信までまだ1時間はあることだし、先に風呂済ませておかない?」
「そうだねぇ。うん、一緒に入ろう♪」
つい、この間まではロミータの過度なスキンシップの為に、一緒に風呂に入るのは警戒していた亜沙美だったのに…最近は色々も助けてもらっている事が多かったからか?既に警戒心は溶けているようだ
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【20:28】
「ふぅ…良いお湯だったわね」
「うん♪ロミータちゃんもエッチぃ事してこなかったし気持ち良く入れたよ♪」
「あらら〜?して欲しかったの〜(笑)」
「ち、違うからね!」
無自覚な発言をしてしまう亜沙美は、こうやって簡単に言葉尻を捉えられいいように振り回されてしまう。ロミータの心配は間違いではなかったw
「あれ?亜沙美、もう服部さんから返事来てるわよ」
「え?何て言ってるの?」
「六畳までなら予算的に問題無いってさ。日にちを指定してくれたら予定を開けてくれるそうよ」
「そうなんだ。物置き部屋も六畳だし調度良いね♪それじゃあ今週末に頼んじゃおっか?」
またしても気軽に返事をした亜沙美だが、ロミータは表情を曇らせていた
「何言ってるのよ亜沙美。今週末は駄目でしょ。既に予定があるじゃない!」
「あれ?何か予定あったっけ?」
「( ー́ࡇー̀)はぁ…亜沙美ってば、やっぱり忘れてたのね。今度の日曜日はロミーが半契約している事務所に挨拶に行く。って言ってあったでしょ?」
「えっ?Σ( ˙꒳˙ )あっ!そうだった!」
「本気で忘れてたのね…アメリア先輩が会社の偉いさんに亜沙美の事を推薦してくれてるのよ。彼女の顔を潰したらエラい事になっちゃうわよ」
「そ、そうだよね。人気VTuberさんで大先輩だもんね。あはは…」
「やっぱり亜沙美にはロミーが付いてないと心配で仕方ないわね。当日はロミーも一緒に行ってあげるから、ちゃんと予定を空けておくのよ」
「(*`・ω・)ゞ了解ですっ!」
「本当にもう、しっかりしてよね」
「普段はしっかりしてるもん!大丈夫だよぉ!」
「ふーん…なら、今夜の配信内容はもう既に考えてあるんでしょうね?」
「………あ!?どうしよう…何も考えてないよぉ…」
案の定、今夜の配信時間まで後30分ほどしか無いというのに、まだプランニングもしてない亜沙美に呆れるロミータだった
続く




