ストリートバトラー6
【竹取家キッチン】
夕方過ぎにやって来た服部が専門の機械を使い、コンセントやタンスの中、テーブル等の死角などに盗聴器が無いか?調べてくれていた
「この部屋の盗聴器は外したので普通に話しても構わんでござるよ」
「本当に空き巣されてたんだぁ…」
「それどころじゃないわよっ!家の中の何ヶ所かに盗聴器まで仕掛けるなんて、引っ越し業者しか出来ないじゃない…それにしても大胆ね。ここまでするなんて!」
全ての盗聴器をイッキにオフにすると、盗聴器がバレた!と相手に報せてしまう事にもなるので、敢えてキッチンと亜沙美達の部屋だけ盗聴器を外した服部
「そこで亜沙美どの。この件はどうするでござるか?」
「えっ!?その……警察に?」
服部から振られた問いに、普通に答える亜沙美だが…
「ちょっと待って亜沙美!…服部さん、貴方諜報活動が主な仕事って言ってたわよね?だったら、貴方たちなら引っ越し業者たちに然るべき罰を与えられるんじゃないの?」
「えっ!?ロミータちゃん、それって…」
「日本の警察は優秀だって国外では有名だけど…だけどソレは、あくまで国外と比較してなのよ。本当に再発防止を考えるのなら、その道のプロである服部さんたちに頼んだ方が間違いないと思うのよ」
「そうなの、服部さん?」
「まぁ、拙者らはその道の…裏側のプロでごさるからな。任せてもらえるのならば、悪人共にキッチリ仕置きするでこざるよ」
それまでは頼りになるちょっと厳しそうな先輩の顔をしていた服部だが…ロミータからプロの仕事を振られる話になった途端、一般人ならざる目付きへと変貌していた
【20:00】
「ロミータちゃん、どうしよう?今日の空き巣の事が気になって、今夜の配信上手くできる気がしないよぉ…」
「…まぁ、そうよね…」
親の居ない自分の家が空き巣にあって下着などを盗まれた挙句、家の各所に盗聴器が仕掛けられていたと知っては普通の女子高生の亜沙美に、いつも通りの配信をするのは不可能だろう
「でも、休みたくないし…どうしよぉ?」
「服部さんが「今夜の内にカタを付ける」と言ってくれたから、再犯の心配は無いハズよ。とは言え視聴者に何かあった?と気取られない配信をするのは亜沙美には無理よねぇ…そうだ!」
【ストリートバトラー6】
「会話スタイルの配信だと、亜沙美じゃ何かとんでもない目にあった!ってのがスグに視聴者にバレちゃうけど、格闘ゲームなら紛れるんじやないかと思うのよ」
「私、した事ないよ?」
「配信10分前まで操作の練習に付き合ってあげるわ。配信が始まったら…キャラクリから始めてビギナーバトルをやって今夜はお終い。にしておきなさい」
ロミータは格闘ゲームなら、攻撃を喰らえば悲鳴を上げたり、勝ったら無邪気に喜んだり出来るので、空き巣で凹んでいる今の亜沙美でも悟られない配信が出来ると思ったようだ
【21:00】
「こんアミーゴ!AAVTuberの浅宮アミだよー!今夜も見に来てくれてありがとうねぇ♪イェーイ♪」
✱「こんアミー」
✱「アミーゴ」
✱「元気だねぇ」
✱「こんアミーゴ」
✱「今日は何すんの?」
取り敢えずバトルモードに入るまでは「カラ元気で良いから元気に配信してなさい」というロミータのアドバイスに従って配信する亜沙美
【ストリートバトラー6】
「最近VTuber界隈でも結構話題になってる。って聞いたからアミも便乗しようかな〜と思ってぇ…でもアミ初体験だからぁ、アミーゴが手取り足取り教えてくれると嬉しいなぁ…」
亜沙美は本来、人に頼ったり甘えたりするのも苦手なのだが…
「男ってば単純な生き物なんだから…猫なで声で甘えられて、ありがとう♪って感謝されるだけで嬉しいものなのよ。上手く甘えるのも配信者には必要なスキルよ」
とロミータから言われたので、取り敢えず亜沙美が見たベテランVTuberの甘え方で印象に残っていたのを真似てみたのだが…
✱「しゃーねーなぁ」
✱「視聴者頼みかよ…全く」
✱「仕方ねーな、教えてやんよ」
✱「手取り腰とりなOK」
✱「ワシの教えはちぃとばかし厳しいぞ」
✱「取り敢えずキャラクリする?」
(ε-(´∀`*)ホッ。良かったぁ。みんな気分良く教えてくれるみたい♪)
可愛い見た目の可愛い声の女の子から甘えた声で頼れると…やはり大半の男子は気分良くなるようだ
「そうそうキャラクリっていうのをしてみたいの?やっぱり自分が戦ってる!って感じがするじゃない?」
✱「なるほどね」
✱「教えたるけど時間喰うよ」
✱「可愛い系か?」
✱「服装の好みは?」
✱「配信時間1時間じゃ無理やろ」
「そっかぁ…そうだね。良し、じゃあ今夜は配信時間90分まで延長するねぇ。視聴者のみんな、着いて来てくれるぅ?」
✱「やったるか」
✱「下着姿とか良くね?」
✱「水着も有りじゃね?」
✱「いやいや体操服やろ」
✱「やっぱりエロは必須やな」
「( ̄▽ ̄;)みんな、何か欲望剥き出しにしてない?少し怖いなぁ…」
亜沙美が生真面目で毎日配信を欠かさない事は知っている視聴者たちだが、同時に配信時間もキッチリ60分で終わる事も知っているので、配信時間延長にテンションが上がる視聴者たち
そして約40分のキャラクリを経て…
「やったぁ。女子高生格闘家アミ完成だぁ♪」
✱「:.゜おぉ(*゜O゜ *)ぉぉ゜.:」
✱「体操服しか勝たん」
✱「良いんじゃね」
✱「萌えるわぁ♪」
✱「格闘家アミ良き」
結局、体操服姿をチョイスした亜沙美
変に装飾を付けて飾り過ぎないように、いかにも女子高生っぽい姿を重視して作られた
「それじゃ、操作方法教えてくれるぅ?」
✱「少しずつ慣れていきな」
✱「よしよし教えたるで」
✱「任しとき」
✱「腰取り股取りな(笑)」
「( ̄▽ ̄;)今夜もエッチぃ人居るんだからぁ。やれやれだよぉ…」
配信を開始する前は、空き巣に入られたり盗聴器を仕掛けられたりして精神に不安を感じていたのだが…愉快な視聴者たちとのやり取りが亜沙美を元気付けてくれたようだ
【ロミータの部屋】
「それでね、最近気になる女の子が居るのよ。天然で単純だけど可愛いのよねぇ♫」
亡き亜沙美の父親の部屋で久しぶりの配信をしているロミータ。この部屋は読書好きの亜沙美の父親が落ち着いて本を読めるようにと、防音対策がなされているので彼女本来の元気で明るいトークがなされていた
✱「気になる子って?」
✱「あー!浅宮アミって子?」
✱「悲鳴の凄い子だっけ?」
✱「ほら【アミー水】で人気出てる子」
✱「聞いた事あるわ」
「なんだ知ってたの?」
✱「最近オフコラボしてたよね?」
✱「プール配信見た見た」
✱「確かに可愛いかったな」
✱「そんな子居るんか。後でアーカイブ見よ」
(んっ?メール?…亜沙美からだ。なになに…
「盛り上がってきたので配信90分やるから待っててね」…なんだ、上手くイってるじゃない)
正直、亜沙美が上手く配信出来ているか?不安だったロミータだが、延長してまで配信するというメール内容を見て一安心したようだ
「みんなロミーの配信見てくれてて嬉しいわ♪…そうね、気分が良いから少し延長配信しちゃおうかな?」
亜沙美が延長するのなら自分も良いだろうと考えたロミータ。最近少し配信回数も減っていたので、視聴者たちに亜沙美との水着回での裏話をして賑わっていた
続く




