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「好きを頑張り続けなさい!」

【8月30日 7:30 竹取家の朝】

亜沙美がロミータと昼ご飯からデートする約束をしている日の朝…彼女は、朝風呂に入りながら考え事をしていた


「うーん、本当に良いのかなぁ…」

挿絵(By みてみん)

それは、まだ亜沙美が夢の中に居る時だった…


「トゥルルルル…トゥルルル♪……ガチャ……ふぁい。もしもし亜沙美ですぅ…」


「あらあら。相変わらずお寝坊さんね亜沙美。学校はちゃんと行けてるの?」


「………(; ꒪ㅿ꒪)えっ!?お母さん!?」


昨夜も毎日配信している21時からのライブ配信をこなした亜沙美は、その日ロミータと出掛けた【椿大社】でかなり歩いたせいか?毎日のルーティンである配信後のシャワーを浴びずに眠りについていた


スマホにセットしたアラームは【10:00】に予約していたので、まだまだ起きる気のなかった亜沙美だったのだが…母親からのコールで目を覚ました!


「明日で夏休みも終わりでしょ?最後に話した時に「学校に登校するね」って言ってたけど…ちゃんと行き続けているのか?少し心配になっちゃってね…え、そうなの?…友達も出来たのね?」


「うん…特に仲良くなれた子がね、昨日初めて家に泊まったよぉ♪それでね今日も会って、今夜も泊まっていく約束になってるんだぁ♬」


亜沙美が母親と最後に話したのは、約4ヶ月前のゴールデンウィーク突入直前の時だった…


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


【4ヶ月前】

「学校に行く気になれないの?」


「う、うん…何だか行っても楽しめなさそうなんだ…ごめんなさい…」


「謝ることなんてないわ!その代わり何か好きになれる事を見付けなさい!それが学校じゃなくても、何か夢中になれる事が有れば生きていけるわ!……えっ?VTuber?…あぁ、アバターを使って顔出ししないYouTuberの事ね…」


「う、うん。凄く楽しそうに配信してる女性をネットで見つけたの…私でも……うぅん!私もやってみたい!って思ったの!」



ゴールデンウィークに入る直前に、亜沙美の母親が2日だけ家に帰ってきた日があった。そこで「学校に行くのはツライ。VTuberをしてみたい!」と打ち明けた亜沙美


亜沙美の母親は亡き旦那の跡を継ぎ、小さなアイティー企業の会社社長をしている。国内の本社は後任も育ってきたので、海外進出した子会社の応援に行くことになっていた

その前に1度、家に帰り亜沙美の顔を見に来たのだ。そして(あさみ)の希望を聞いた母親はその日に亜沙美と買い物に出掛け、配信活動をする為に必要な機材を買い揃えてくれた

更に翌日、亜沙美と2人で配信する為の勉強を一緒にしてくれた。母親の休みはその事だけでほとんど潰れてしまった


「ごめんなさいお母さん…せっかく久しぶりに会えたのに、私の勝手な希望に付き合ってもらって…」


「良いのよ!可愛い娘の為だもの!…良い亜沙美。どうせ配信するなら好きになりなさい!好きになれば毎日が輝くわ!無理に高校に行かなくても、配信が好きになり過ぎたなら辞めても構わないのよ。好きなことに突き進みなさい!そうすれば人生なんて勝手に後から付いてくるのよ!」




【今日】

「ごめんなさい。スマホ充電せずに寝ちゃったから、パソコンから掛け直すね」


「良いわよ。待ってるわ」


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「…で、その友達との日常が楽しいから学校生活に専念するの?」


「あのね、実はその子もVTuberやっていてね。一緒に高みを目指して頑張ろうね!って言い合ったの…そこから仲良くなって…」

挿絵(By みてみん)

「なるほどね!その子のおかげで学校も楽しいし、VTuber活動も本気で楽しめてるのね!だったら良い事だらけじゃない!…良い亜沙美?…亜沙美がどんな人生を進んでも母さんは反対しないわ。でもね、後悔しないように全力でやりなさい!」


「うん、分かった!それでね、お母さん…」


「珍しいわね。まだ報告があるの?」


亜沙美の母親からすれば、今日の亜沙美との通話は凄く良いものになっていた。「学校もVTuber活動も苦しいの!」とか言われたらどうしよう?と思って掛けた電話だったが、友達も出来たしその友達のおかげでVTuber活動も楽しめてる!更にはまだ報告が有ると言うのだ


「あのね、驚かないで聞いてね」


「(°▽°)あっははは!お母さんを驚かすことが出来るような報告が亜沙美に有るの?良いわよ、言ってご覧なさい♪」


亡き旦那の跡を継いでイキナリ女社長になった亜沙美の母親は、今日まで驚き続きの生活を送っていた。それに元々動じない性格をしているので、(あさみ)の報告で驚くことなど滅多に有り得ないと思っていた



「…あのね…愛の告白されちゃったの…」

挿絵(By みてみん)

「┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈」


何でも言いなさい。ドンと来い!

と構えていた亜沙美の母親だったが、まだまだ子供だと思っていた(あさみ)の口から「告白されちゃった」と聞かされ固まってしまった


「お母さん?」


「すっごーい!やるじゃないの亜沙美!で、相手はどんな男性(ひと)なの?」

(そっかぁ!(あさみ)の可愛さを見抜いた男が遂に現れたか!♬亜沙美は我が娘ながら可愛いもんね〜!)


「あのね…外国人なんだけど…」


「ฅ(º ロ º ฅ)オォッ!!国際的じゃない!やっぱり亜沙美の可愛さは半端ないものね!国外の男性の心を射止めちゃったか?偉いわよ亜沙美!…もしかして同級生とか?」


しかし、亜沙美の母親は告白してきたのが男だと思っている。まぁ普通はそう考えるのだろうが…


「そうなの。同じクラスに転校して来たんだけどね…」


「なーるほど!同じクラスに居る可愛い亜沙美を好きになっちゃったのね〜。その男の子見る目あるわね〜♪」


「じ、実はね…告白してくれた子…女の子なんだ…」


「┈┈┈┈┈┈┈┈┈はい!?」


同級生で同じクラスに転校して来た男から、告白されたものだと思って聞いていた母親は言葉を失ったw


「私と同じくらいの身長の女の子から…なの…聞いてる?」


「Σ(゜□゜)あっ…ほーほーほー!」


「フクロウの真似!?」


「馬鹿!違うわよ!」

(うーん、同性から告白されちゃったか…女の子から見ても(あさみ)は可愛いという事か…外国の方が同性婚も許容的だし…うーん…)


「お母さん?」


「良いんじゃないの?」


「(; ꒪ㅿ꒪)えっ!?相手は女の子なんだよ?良いの?」


「同性の恋人や、同性の結婚はオカシイ!…なんて考え方はもう古臭いものね…亜沙美が良いと思うなら付き合ってみなさい!」


亜沙美の母親は寛容的な女性だった。亜沙美がVTuber活動をしたい!というのにも積極的に支援してくれたし、同性との付き合いにも反対する気は無いようだ


「たぶん…相手の子はかなり本気みたい。私も本気になって良いのかな?」


「そんなの亜沙美次第でしょ?亜沙美が本気になりたくなったら頑張りなさい!嫌だと思うのなら変に期待させない内に断りなさい!要は貴女の気持ち次第なのよ!よく考えなさいよ!」


「うん、分かった!ありがとう、お母さん!」


「それじゃ現場主任を待ちぼうけさせてるから、そろそろ切るわね。亜沙美、何でも良いから好きを頑張り続けなさい!」



そう母親から言われた亜沙美は、取り敢えずロミータとの付き合いを前向きに受け入れる覚悟を決めて、彼女(ロミータ)と約束しているハンバーガー屋【マグロナルド】に向かったのだった




続く

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