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天ノ龍  作者: オレパ
始まった災厄
7/8

災厄まで

なんでこんな目に合わなきゃならないんだ...!俺は今日やっと就職先が決まって自分の夢のための第一歩を歩み始めたところなのに、まさか最近ニュースでやってたバケモンに出くわすなんて。今まで怠惰な生活を送ってたからか?

青年はそう思っていた。目の前の侍のような赤い鎧をまとったその体に見合う刀をを持つ一軒家ほどある巨人の前で。

青年は今まで就職活動を怠っていた。その理由というのは、自分がようやく何かにたどり着くと、ほかの何かに積み上げてきたものが壊されていたからである。「それなら何もしなければいい」そう思っていたのだ。

巨人は腰のさやに手をかけ、刀を抜こうとしていた。その時だった。ギインという鈍い金属音とともに巨人が後ずさりをした。

青年はその一瞬の出来事に追いつけず、唐突に響いた金属音に驚きつい尻餅をついてしまった。

そして、足をついていた巨人の鎧の胸元が大きく破損していた。

「大丈夫ですか?」

青年にかけられたその声は、穏やかで、実に落ち着いた声色だった。青年は驚き、声の聞こえたほうをさっと向いた。そこには、巨人とは形からまったく違う青い鎧をまとい、目をまるでエメラルドのような青さをしているアイマスクのようなものをしている人のようなものが屋根の上に立っていた。

青い髪をなびかせながら、青年に近づく人は、まるで神のような神々しさを放っているように青年には見えていた。

「お兄さん。こんな状況で悪いけど一つだけ頼める?」

青年は驚いた顔のままその話しかけてきている者を凝視していた。

「ごめんね、こんな状況で。携帯持ってたら俺が今からあいつ倒すからそれを撮っておいてもらえるか?」

「ば、馬鹿かお前!?あんなでかいの、どうやって倒すつもりなんだよ!」

青年はおびえた声で言った。目の瞳孔がしっかりと閉じていた。生き物というものは、自分より大きな生き物を前にすると怖気づいてしまうものである。

「大丈夫だよ。さっきの巨人がのけぞったの俺のパンチだから。それと、これからこういう風に襲われちまう奴に俺がいるっていう安心感を与えたいからさ。頼むよ。」


青年は少し黙ってから聞いた。

「何が何だかわからないが、どうにかなるんだな?」

巨人が鞘に手をかけて、大きく踏み込んでいた。青髪の少年は小さくうなずき、立ち上がった。

青年は急いで黒いスーツの中からスマートフォンを取り出し、何歩か下がった後、カメラで撮影をし始めた。その様子を少し見てから、青い鎧の少年、龍は立ち上がった。そして振り返り、巨体に向かって、声を発した。

「おーいデカブツ聞こえるか?」

兜がこちらを向いた。聞こえたという証拠だ。

「質問だ。お前はどこから来たんだ?答えてくれ!」

と、質問を投げかけた。兜はこちらへ向いたまま、沈黙していた。

「おーい!聞こえてるんだろ?答えてくれ!」

そう声をかけても、反応はない。ダメか...そう思い少しだけ殺気を出してみた。大きな鎧の下で体が小さく動き、さやへと手をかけた。龍も拳を構え、戦闘体系に移った。


録画を始めるポン、という音がした瞬間に前にいる巨人目掛けて一直線に飛んで行った。巨人はさやから大きな刀を引き抜いてその勢いで飛びかかる龍を切りにいった。しかし、

「そんなでかいだけのナマクラじゃあ俺の鎧は切れねぇよ。」

刀は粉々に砕けてなくなった。巨人は動揺した。それもそうだ。自分より何倍も小さい生物に刀を折られたのだから。

「その刀、もっと腕利きのやつに打ってもらったらどうだ?」

そう軽く飛びながら言い、一気に飛び上がり巨体の体を鎧ごと壊した。たった拳一つで。

唖然とした青年の持っていたカメラは、周りの家に当たらないよううまい具合倒れ、光の粒子となり、ぽろぽろと消えていく様をとらえていた。

青年はその異様な光景の前に唖然として固まっていた。青年ははっとして、カメラを切った。その後、こちらに向かってくる青い鎧の男をじっと見つめた。

「ありがとな。俺の宣伝活動に協力してくれて。これで皆少しずつ心配が消えてくでしょ。」

「お、おう。本当に倒しちまったな。あ、ありがとう。」

龍はそうこちらに駆け寄りながら声をかける男性に背を向け、

「悪いな。こんな危ないことに巻き込んじまってな。それじゃ、拡散よろしく!」

と、口早に言った。

「ま、待ってくれ!」

そう言ったころには遅かった。もうすでにその場所にその青髪の者の姿はなかった。ぽかんとしていると、人がだんだんと集まってきた。おそらく、大きな音に反応してきたのだろう。彼はそれを察知して早口で話したのだろう。

青年は、少しほほえみ、立ち上がった後、彼のの家に帰って行った。男には、今まであった先の不安が消え失せていた。


ある別の暗い星で、ある男、まるでRPGの魔王のような角が生えている男が玉座に座ってその様子を水晶を通して見ていた。男はふっと笑い、

「ついに来たか。天龍てんりゅうよ…。楽しみだな。」

大きく、ボロボロなマントをなびかせながら、立ち上がった。

「どちらが強いか、今度こそはっきりさせようではないか!」

乾いた風が吹いていて、その風が彼のマントをさらに大きくなびかせてた。

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