嫌な始まり
俺の誕生日の翌日、バレンタインの日、赤い箱に入れたチョコレートを僕に渡した彼女は、真っ赤の夕日をバックに、屋上から...落ちてしまった。
〜 〜
「ねぇねぇ、そのチョコ誰にあげるの?」
「えぇー恥ずかしいよ〜」
そんな話をしている女子のわざとらしく大きな声の話を耳に入れ、眉や耳をぴくぴくさせながら聞いている男子。
「恒例行事だよなぁ...」
と小さく呟く俺...。
「これって格好つけてるっていうのかなぁ」
正直こんなこと考えてるのもバカバカしい。さっさと部活に行こうと考えていると、
「おい龍、なに格好つけてんだ?」
と、聞きなれた落ち着いた声を発するのは。
「ああ深、格好つけてるように見えた?」
深は同じクラスでクラスでトップクラスのイケメンと好評の...イケメンだ。尚、彼女はいない模様。
「ああ。」
...え?一言?というくだらない疑問を投げ捨て、
「部活...行くか?」
「ああ」
もう少しなんか言ってぇ...
● ●
そしてテニスコートで柔軟をしたり素振りをしたり話をしたりしている人たちがいる中で、
「あ!龍くん!ヤッホー」
「よ、雪」
彼女は雪。信と同様同じクラスで同じテニス部。薄い茶髪でなんだか、こう...ふわっとした感じから、クラス内での誰が可愛いか選手権でダントツ一位をとった。
小学生からの幼馴染で、よく話しかけてくる。
(けどその時の周りの目線が怖いんだよなぁ)
雪との記憶を蘇らせていると、少し下を見ながら
「ねぇ龍くん、」
そして上目遣いで
「部活終わったら屋上...来てくれないかな?」
それは卑怯だ!可愛らしい透き通ったの目をぱちぱちしながら見て返答を待つ姿。
もうちょっと見てたい、が流石に視線が痛いので
「ん。わかった」
とそんな簡単な返事をしたら、彼女はほんのり笑ってから、女子テニス部の集団の方へ小走りで行った。
「おいおい龍、抜けがけはずるいぞ。」
これって抜けがけか?幸せが抜けていったが、体内の空気をすべて使うほどの大声が出そうだった。
♦︎ ♦︎
そして放課後、言われた通り唯一生徒が立ち入れる屋上へ来た。雪は来てないらしく、それが余計心拍数を跳ね上げていた。
そしてキィとドアの開いた音の方を見ると、ひょこっと可愛らしい顔を出している雪がいた。俺は小さく手を振り、手招きをした。それに気づき、雪はいそいそとこちらへやってきた。
「私が呼んだのに待たせちゃってごめんね。」
と真っ白な顔を少し下に向けて言った
「ここは恒例の今来たところ、と返しておこう。」
と、しょうもないことを言って、彼女の気持ちを軽くしようとした。雪はクスクスと笑い、ほんの少しもじもじしてから、俺の方をちらっと見て、
「えっとね、ちょっと恥ずかしいんだけど、」
いつもの可愛らしい顔にもじもじした動作が加わりさらに可愛さが増し、相槌がうてなかった。そして
「はい...これ」
可愛らしい顔でこちらを真っすぐ見て、彼女は赤い箱を後ろから出した。それは、可愛らしいハート型で、これを見た瞬間に俺は察した。が、
「え?」
待っていたようなタイミングでカラスが箱を取っていってしまった。
「待って!なんで急に!」
雪はすぐさまそのカラス追いかけ、そして、低空飛行をしていたカラスのくちばしにあった箱をどうにか取った瞬間...彼女は、落ちてしまった。
無我夢中で追いかけていたので、少し低いように見えるフェンスを軽々と越してしまっていた。
「ゆきぃぃぃぃぃっ!」
幸運に、部活動で鍛えた反応速度が役に立ち、ありえない速度で走り始めた。間に合うはずもないのに。雪が見えなくなってしまった瞬間、大きな頭痛を彼が襲ったが、彼はそれをも気にせず走り続けていた。彼は強烈な頭痛の中で、記憶にない少年少女の顔が浮かび上がった。
そして彼は...いや俺は、大きく飛び、フェンスを飛び越え、背中から大きな羽を生やし、羽ばたいていた。
読んでいただき、ありがとうございました。
まだまだ未熟ですが、今後ともよろしくお願いします。....なに書けばいいのか...




