第十五話:転生先で貴族令嬢として侍女の里帰りを一緒に楽しむ・中篇
「改めて私は長男テラ・ストラドス、こちらが母ウル・ストラドスです」
「初めまして、キョウコお嬢、娘がお世話になっております」
と傍に控えていた、しっかりとした感じの妙齢の女性が笑顔で挨拶してくれた、もちろん体格は普通で別に皮膚も黒くない、良かった。
「初めまして、ウルさん、キョウコ・タチバナ・タダクス・レラーセ・ユトと申しますわ、こちらの2人は侍女のリズエルとトオシアです」
「初めまして、この馬鹿息子たちの母です。本来であれば族長である夫が挨拶をするべきなのでしょうが、現在工房にこもっており、こうなると本人が満足するまで出てきません、不在の失礼をお詫びします。テラ、レル、ヘダ、族長の名代としてちゃんとお客人をもてなしなさいね」
「分かってるよ、時にキョウコ嬢」
「はい、なんでしょう」
「ラニより甘い物が好きだと伺っています、現在、レラとヘダがとっておきのスイーツを現在作っています。長旅お疲れでしょう、こういう時は甘い物が一番です。我が民族に伝わる特製の極上スィーツ、御馳走しますよ」
「まあ、それは楽しみですわ、是非いただきます」
ふむ、甘い物、確かに好きだ、疲れたし、甘いものが食べたい、思えばラニも甘党なので味覚も合う、リズエルとトオシアも甘い物はそこそこ好きだから、首都でも皆で食べ歩きをしている。
「このスィーツはこの山で取れた天然素材のみを使った美容にもいいものですよ」
ふむ、天然素材のみを使った美容にもよい民族特性のスィーツだそうだ。
とテラの台詞が終わると同時に2人が出てくる。
「お待たせしました皆様方、これが我が民族の極上スイーツである」
「プロテインジュースです」
「(やっぱりか……)まあいい香りですわ」
うん、筋肉という時点でこの展開は予想していた、何故なら同僚の筋トレ好きたちは暇さえあれば筋トレにおけるプロテインの話をしていたなぁ、濃いなこいつらとか思ったっけ。
「女性ですので飲みやすく甘い味付けにしてあります、それでいて筋肉もつく、これは極上スイーツと言っても過言ではありません」
(過言だろうどう考えても)
「ああ、なるほど、そういうことだったんですか、流石ですね、キョウコ嬢」
「へ?」
とテラがいきなり納得して話を続ける。
「そう、お察しのとおり筋トレをしない状態でのプロテイン摂取は脂肪になり太ると言いたいのですね? 流石キョウコ嬢、よく知っていらっしゃる」
「(な、何の話をしているの?)ま、まあ……」
「ですが大丈夫です。これはローカーボ、必要なカロリーしか取れませんからご心配なく、更に確かにキョウコ嬢は筋トレはしてませんが、程よく筋肉を使った状態です、ご安心ください」
「…………」
ゴキュッ! ゴキュッ! ゴキュッ!
うん、喉ゴシ凄いな、異物感がこう、まあ、確かに甘くて、シェイクみたいな感じかな、普通に飲むのも疲れる。
「ふう、ごちそうさまでしたわ」
その横では。
「ぐっ……ぐふっ! ごっ、ごふっ!」
隣ではリズエルが死にそうな顔をしながら飲んでいる。
「意外といけますね」
流石パワー女子、さらっと飲んで楚々とした振る舞いで口元を拭う。
これで筋肉が付くのか、全然わからないけど、というかこれで何の腹の足しになるんだろうか。
「さて、当然これだけでは足りないと思います、続いては、これも究極のダイエットフードですよ、しかもボリューム満点、我が狩猟民族特製です」
「…………」
とここで再び2人が入ってきた。
「お待たせしました、これが我が民族秘伝の究極のダイエットフードである」
「一切の脂肪分を排除した純粋の赤身肉、たんぱく質も豊富で、筋肉にもいいんですよ」
「(もう何も言うまい)まあ美味しそう、それではいただきますわ」
と一切れを口の中に入れる。
「モグモグモグ」
「モグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグ」
「モグモグモグモグモグモグ!!」
「モグモグ!!!」
固い! 噛み切れない! 顎が痛くなってきた! こうなればチートを使うか、いやいや! 食事にチートを使う異世界主人公って聞いたことが無い!!
そういえば、さっきの筋トレ好きの同僚もお互いの筋肉についてこんな感じの会話をしていた。
――「係長の胸の形、良いですね」BY部下
――「コツは大胸筋の上中下を効率くよく鍛えればいいんだよ」
――「でも、筋肉の形は生まれ持った才能ですから、羨ましいです」
凄い、何が凄いって、これは男同士の会話であり、会社で普通に会話をしていたという点だ。
うん、当然にBLも含めて何の萌えも無かった、胸の形が羨ましいとか女子かお前はとか思ったっけ。
ぐっ!(肉を呑み込む時の痛みに耐える)
「ふう、ごちそうさまでしたわ」
しかし、プロテインと赤身肉て、いや、もてなしを受けているのに文句を言うとか、そんな常識ないことはしないけど……。
でも歓迎してくれていることに間違いない、こういう時は相手に合わせるなり何なりして、会話を繋いでいかないと。
「み、皆さんは、き、筋トレがお好きなんですね」
とりあえず話題を振ってみたものの、また筋肉を語り始めると辛いなと思ったが……。
「…………」
語るどころかテラは真剣な表情で会話をつなぐ。
「そうですね、とはいえ筋トレは男でもしない人の方が多いんですが、皆自分の力をつけるということについて、軽く考えているというか、やらないと絶対に後悔する、どうしてそれが分からないのかなぁって思いますね」
「…………」
この反応は意外だった。
そうだ、ノアロス族は狩猟民族だ、力の強さは同時に身を守る強さでもあるのだ。
これは認識を改めないといけない。
「テラさん、筋トレをやらないと絶対に後悔する、というのは?」
「はい、キョウコ嬢は、確かルカンティナ公国の首都出身ですよね」
「そうですわ」
「となれば、そうですね、思い浮かべてください」
――崩れ落ちた高層の建物、その突き出した縁にかろうじて両手でぶら下がっている状態の自分
「…………」
(ん? 思い浮かべたけど、え、急に何? 戦いの話じゃないの?)
「分かりますか? こういう絶体絶命の状況になった時になってやっと人はこう思うのです」
――「筋トレしておけばよかった! そうすればこのまま体を持ちあげて助かるのに!!」
「その時に後悔しても遅いんですよ(真剣)」
「…………」
(意味不明が分からない)
やばい、そんな危険が危ないみたいなことを返しそうになった、どんだけ局所的なピンチの為に、筋トレしてんのよ。
「違うよテラ兄さん」
とここでレルが間に入ってきた。
「キョウコ嬢は、上腕二頭筋が気になるんですよ」
「は?」
と今度はレルが1人で納得すると立ち上がり、私の前で少しだけ屈むと……。
「ふん!(力コブを作る)いいですか? 一般に言う力コブと言われるのは上腕二頭筋であり、ほとんどの人はこのような感じで、はぁ!(腕をひねる)と上腕三頭筋よりも上腕二頭筋の方が強いんです。だがしかし数字の三が示すように、筋肉が三つあるので実は上腕三頭筋の方が強いのです、ですから筋肉を鍛えると、最終的には上腕三頭筋が強くなるんですよ」
「ま、まあ、存じ上げませんでしたわ(コロコロ)」
「違うだろ、レル兄さん、そうじゃないよ」
とヘダが助け船を出して、
「キョウコ嬢は大腿四頭筋について気になっているんですよ」
くれなかった。
「腕と足は逆というのが面白く、フン!(太ももの筋肉を吊り上げる)ここが大腿四頭筋ですが、裏側は大腿二頭筋と呼ばれる筋肉があります。これもまた同じ理屈で応用できることができ、単純に数字の強さは筋肉の強さを表すため、足は表の方が強いんですよ」
「まあ、存じ上げませんでしたわ(コロコロ)」
「おいおい、レル、ヘダ、そうじゃないだろう、筋肉自体の豆知識を知りたいんじゃないだろ」
と割り込む長兄、うん、分かっているけど
「筋肉の話より先に、その筋肉を鍛えるための話が抜けている」
ですよね。
「ああ、そうでした、まず筋肉に必要なのは何といってもたんぱく質なのですが」
「(だからもうたんぱく質はいいってのよ!! 分かったから!!)まあ、素敵ですわ(泣)」
だ、誰か助けて、こ、こうなれば頼りになるのは我が侍女達……。
「ぐう! お、お嬢様、わ、私、発見しました」
痛みに耐えて赤肉を強引に呑み込んだであろうリズエルが息も絶え絶えに話しかけてくる。
「ほら、こうやってたくさん噛んでいると顎が痛くなって開かなくなるじゃないですか、これって顎の筋肉がパンプアップしてるからなんですね」
(´;ω;`)ブワッ ←キョウコ
まずい、リズエルが変なタイミングで筋肉の話を始めた、しょうがない、こういう時に頼りになるのは先生! トオシア先生!
「男は顔じゃなくて筋肉、胸板に挟まれて圧死したい人生だった(虚)」
(´;ω;`)ブワッ ←キョウコ
まずい、トオシアも変なタイミングでブレ始めた。
ど、どうしよう、と思った時だった。
ダン! という音で我に返ると氷の目をしている母ウルが立っていた。
「いい加減にしろ、馬鹿息子ども、黙って見てれば、筋肉の話はやめろと何回言わせるの、嫌がってんでしょ、これ以上迷惑をかけるのなら、ラニ!」
「わかった」
と双剣に手をかけて殺気を放ちながら立ち上がる。
「わ、わかった! 落ち着けかーちゃん! ラニ!!」
「だって女の子が来るとテンション上がるじゃん!?」
「俺達は筋肉の話しかできないんだよ!!」
と(´・ω・`)ショボンとなる3兄弟にため息交じりに、剣から手を離すラニ。
「まったく、すみません皆さん、部外の女の子ってめったに来ないから、はしゃいじゃって、普段はもう少しおとなしいのですけどね」
「まあもうわかったと思いますが、筋肉しか話のネタがない上に、自分の世界で没頭してひたすら話すので、部族内の女にも全然モテないんです。女に全然相手にされていない現実を認めたくなくて、それでも筋肉が唯一誇れる女受けのカッコイイ部分とかで思っているみたいで、縋って離れられなくなった結果、色々と拗らせているのでどうか許してください」
(ノД`)ヒドイ、シクシク ←3兄弟
とラニはここでピクッと視線を壁に移す。
「親父の工房の音が止まった、となるとここに来ますね」
とのこと。
ふう、やっと解放された。
圧倒されっぱなしだがラニの父親が来るのだそうだ。
繰り返す、ラニはくりくりっとした可愛い系、となると当然に。
「父の、コウ・ストラドスです」
と紹介されたのは、身長190センチ近い筋肉隆々の顔面凶器の父親だった。
「初めまして、キョウコと申しますわ」
うん、まあもう、分かっていたけど。
●
「…………」
ラニの父親、コウさんはドカっと座るとプロテインジュースを飲み赤身肉をガツガツと食べる。
時々私の方を見ているけど……。
「父は、これでも世界の7名匠と言われる人物なんです」
とラニが紹介してくれた。
「ああ、前にチラッと言っていたよね、そういえば、ラニの剣はお父さんが作ってくれたものよね?」
「はい、士官学校に入学する時、父親から贈られた剣です。軍刀を使った王国剣術は合わなくて、この双剣がマッチするんです。まあもちろん双剣を使った剣術は認めてもらえませんでしたが」
「そういえばその双剣、ラニを面接する時、軍服姿なのに、軍刀じゃなかったからびっくりしたわ」
「ボディーガードということだったので、最大のコストパフォーマンス発揮するためと考えた結果です」
「ふふっ、常に大事に手入れして持っている大事なものだもね」
「……まあ、そうですね」
ちょっと恥ずかしそうにしているラニが可愛いと思った時だった。
「キョウコ嬢」
と話しかけてきたのは、コウさんだった。
「ラニの双剣、常に持っているのですか?」
「ええ、ただ社交の時だけは軍属としての立場が優先されるため、軍刀を持つように指示をしていますが、それ以外は」
「それは、ラニが社交界の時以外に侍女としての公務をする時もですか?」
「? はい、さっきの言葉のとおり、彼女が自分の能力を最大限発揮するためには、この剣の方がいいと言っておりますから」
「軍の人間が支給品以外の武器を使うことについて色々と言われませんか?」
「ああ、そういう意味ですか、気にする必要はありません、そういう時に使えるのが私の肩書ですから」
「…………」
じっと自分の方を見ながら何かを考えてるのだろうと思ったら。
「キョウコ嬢、それとリズエルさんトオシアさんも、よければ私の工房を見学しませんか?」
「「「「!!!」」」」
と驚いて立ち上がったのはラニ達兄妹だった。
「お、親父、まじかよ!」
テラの言葉に無視する形で立ち上がる、それを見たウルさんはすすっと自分に近づく。
「行ってやってくれませんか?」
「え?」
「夫が工房に招くって、相手を気に入った証拠なんです。とはいっても特に解説してくれるわけでもないし、色々と一方的に聞かれて会話が成立しないかもしれないですけど、面白くないとは思いますけど、悪気はないので」
とのこと。
工房に招くのは気に入ってくれた証拠か、私は2人を見る。
2人とも笑顔だ、そんな事を言われては返事は一つしかない。
「もちろん、お招きいただき光栄です」
と工房に向かうのであった。
●
工房。
煙突が一つの木造の工房、煙突の根元に火を落とした窯、鉄の台に壁には一面に色々な武器が飾ってある、だから広さはそこそこだけど、ただそれだけ、という言い方は失礼だろうか。世界の7名匠と言われていても、そう変わったところはなく、シンプルな造りとなっている。
コウさんは、ウルさんの言ったとおり特に何か解説してくれるわけじゃない、しげしげと工房を眺める私達を3人を見て、思いついたかのようにいくつかの質疑応答、それで会話が広がる訳もなく、質問をした後は自分の世界に入っている感じ、なるほど、ウルさんが言っていたのは、これだったのか。
「ありがとうございます、キョウコお嬢様方、それと何やら狩りに興味があると伺っていますが」
「はい」
「テラには既に話を通しています。急ですが明日狩りに出かけます、打ち合わせはテラとしてください」
というと、火を入れてその炎をじっと見ると、何やら鉄を流し込んで作業を始めた。
(本当に職人気質の人だなぁ)
多分帰っていいとのことだろうかと解釈して、工房に出ると外でテラが待っていた。
「その様子だと、やっぱり一方的に話して一方的に納得して、一方的に作業に没頭って感じですね、すみませんいつものことなんで」
「いいえ、ウルさんのおっしゃるとおり、悪気は無く、職人気質なのだなと思いましたわ」
「そういっていただけると助かります」
「えーっと、狩りを見学したいから、テラさんと打ち合わせをするように言われたのですが」
「はいはい、それではこちらもちょっと失礼」
今度はテラが私達をじっと見る。
「ふむふむ、なるほど、じーっと、うん、ラニの言ったとおりキョウコお嬢様なら大丈夫そうですが……そちらのリズエルさんとトオシアさんについては、万が一の時があるかもですけど、どうしましょうか」
「テラ兄、そこら辺は、私が守るから大丈夫だよ」
とラニが出てきて、テラは頷く。
「ならかまわんだろうね、キョウコ嬢、リズエルさん、トオシアさん、狩りについては遠目からの見学になると思いますがご容赦願います」
と発言するが、私はこっそりとテラに近づく。
「そのことですがテラさん、折り入ってお願いがあるのですが」
「はいはい、可能な限り聞きますよ~」
「実は……」
●
早朝に、集まるノアロス族。
今回の獲物は、第5等級魔物であるここら辺一体の山の主を狩る、ノアロス族が半年に一度狩る、大狩と言われるものだ。
狩る頭数は1頭、等級が5等ともなると希少価値も高く、強さも軍隊の一個中隊クラスになる。
当然ノアロス族全員で行う命懸けの狩り、その代わり狩りが成功すれば、ルカンティナ公国の最高級料亭が高額で買い取ってくれて、富をもたらせてくれるのだ。
前にも触れたがその肉は大変に美味、ルカンティナ公国の最高峰の社交である、ルカンティナ教皇が主催し、聖公会の大講堂で行われ、世界の美味な食材が一堂に会する4大貴族当主全員が列席する席で供されるほどだ。
流石に緊張感に包まれていた、全員が準備万端といった感じだ。
「ラニ、貴方の兄さんたちも昨日は流石に筋トレ休んでいたものね、高台で仲良く並んで寝てて、英気を養っていたものね」
「いいえ、筋トレというは追い込みをした後、超回復の為に一日置く必要があるのだそうです、あのやたら仲良く並んで寝ていたのは、日焼けも兼ねてます」
「…………」
「まあそれでも、危険であることに代わりはありません、お嬢様」
「分かってる、リズエルとトオシアの身の安全が第一よね」
まあ無敵の戦闘能力があるので、簡単に倒せるが、当然に簡単に使えるものではない。
2人の身の安全が第一なのは変更ないのだけど……。
「ラニ、貴方も参加しなさい」
「え!?」
「お兄さんに頼んでおいたのよ、討伐隊に組み込んで欲しいと」
「お、お嬢様!」
「ずーーっと、参加したそうにしていたもの、ラニ、ここは軍ではないわ、周りに合わせることは「優秀の条件」ではないのよ」
「っ!」
「貴方が士官学校を目指したのは、狩りにおいて本来の女性担当である後衛ではなく、前衛で活躍したかったからでしょ? そのために、武力ではどうしても男に及ばないから、知力を磨き、そして本格的な武力も身につけたいから合格を目指したのよね?」
ラニは何も答えずびっくりして見る。
「あら、侍女達のことを理解するのも私の仕事よ、能力は抜群、だけど貴方は軍向きの性格でなかった、貴方の士官学校の成績はこれが大きいものね」
「…………」
「魔物の強さは軍隊で例えられる。貴方のお兄さんは、ラニが現役の軍将校だから前衛部隊に参加するのも問題なしだと他の人を説得していた、良いお兄さんよね」
「……ふん、士官学校に入る前は「女が前衛とか」と馬鹿にしていたんです、大方キョウコお嬢様達の前で器が大きいですよ~とかカッコつけたいだけですよ」
そんな憎まれ口を叩くラニだったが明らかに戦闘態勢に入っている。
「あの、お嬢様、本当に、参加しても……」
「大丈夫よ、2人は私が守るから、私の戦闘能力は加減もできるようになったの、知ってるでしょ?」
「はい、分かりました、頼みます!」
最後は力強くなったラニの言葉にリズエルもトオシアも笑顔で応える。
「ラニさん、頑張ってくださいね」
「怪我をしても私の魔法で何とかしますよ」
「はい!」
と一番の笑顔で民族の中に入っていってお互いに士気を高める為に盛り上がっている、あんな笑顔ができるんだ。
こちらを見て手を振るラニは意気揚々と前衛部隊で共に向かい、その雄姿を笑顔で見送る私達。
私はくるりとリズエル達に振り向くとこういった。
「あ、あのさ、ラニ、侍女辞めるとか言わないよね? なんかそんなテンションじゃなかった(汗)「やっぱり民族の一員として生きていきます!」とか、正直ラニに辞められるの凄い困るんだけど(滝汗)」
「「…………」」
ふふっと、笑うリズエルとトオシアの2人なのであった。
次回は、1日か2日です。




