序章:誕生
初めての投稿なのですが、長編になりそうでドキドキしています。メイド長のドS感が結構好きです。
群がる老人たちのわがままっぷりもいいので是非見てやってください。
「やっと生まれたか…!?男か!?女か!?」
年配の男と女が数人、扉の前でざわつき、それをなだめるメイド達。
「まあまあ、少し落ち着いてください!あまり騒がれると王妃様が分娩に集中できません!」
「ええい!いつまで待たせる気だ!」
「ちょっとあなたやめてちょうだい!」
貴族のような雰囲気を漂わせる老夫婦が揉め合い始める。
「伯爵!もう少し落ち着いてください!」
若いメイドも制圧するが、老人たちにブレーキはない。
「みなさん揃って何してるんですか?」
静かな声と一言にその場の空気が一気に凍った。応援に駆け付けた一人のメイドが冷ややかな目で老人達を見渡し、メイドは呆れたかのような深いため息をつく。
「お偉いさんが5、6人、揃いも揃って何してるんですか。王妃の邪魔ですか?国王陛下は今、ご機嫌が不安定です。報告すればどうなるんでしょう?」
メイドの冷酷な言動に老人たちはたじろぐ。
「まあ、落ち着きましょうよメイドさん…私達だって楽しみで仕方ないんだ」
言うこと聞かない老人達にメイドは容赦なく畳みかける。
「いい歳した大人が何言ってるんですか。早く談話室で待っていてください。私の言うことが聞けませんか?八つ裂きにされたいですか?」
「わ、わかった…戻るよ…」
老人達はメイドに怯えながら退散していった。
「ガキな大人だ。見てられん」
メイドはまた一つ深くため息をついた。
他のメイド達も怯えている。
「あのぉ、メイド長?怖いです・・・・・・」
部下に指摘されたメイド長と呼ばれた女は苦笑いをした。
「ああ、それは失礼。さぁ、サボってないで仕事の続きをなさい。」
「了解です!」
冷静だが的確な判断と行動をするクールな性格にポーッと見惚れるメイド達に指示をしていく。
一段落着いたところへメイド長を呼ぶ声が聞こえた。
「レイラ殿、ちょっといいかい?」
「??陛下ですか。どうしました?」
陛下と呼ばれた男はちょいちょいと小さく手招きをする。
「君に頼みたいことがあるんだ」
「私が教育係に?」
王室にある来客用の談話室で悪魔と人間の姿をした国王陛下、同じ容姿のメイド長、レイラが向かい合わせで見つめ合う。
「そうだ、レイラは気が利く者思いな優しいメイドだ。自分の部下を我が子のように面倒見ている。だからこそ、一番重要な仕事を君に任せたい」
「そんな!何を仰るのですか!私はそんな大したことしていません!」
「ハッハッハ!これは本当のことだよ。ただ、君にこれを任せる理由はもう一つある」
大らかに笑っていた魔王の顔が真剣になる。
「もうすぐ産まれる我が子の性別は少し前から知っていたのだが、とある占い師によるお告げで状況が状況で少し不安だったため、皆の者には告げられずにいた。だからまだ皆には言っていないことをレイラ・ライドン。お主に告げる。これは一生、誰にも密告してはならない。守ってくれるか?」
「陛下のため、赤子様のためとあれば守り通して見せましょう」
「そうか、ならば信じよう。実はな……」
分娩室の前に再び群がる老人達。その扉の向こうから赤子の産声が響き渡る。
産声が響くドアを開けた助産師が切なげに口を開く。
「無事、元気に生まれましたよ」
「おお!男か!?女か!?もちろん男であろう!?」
「そのことなのですが……」
緊張にまみれた魔王が掠れた声を振り絞る
「女である上に、サードアイがあるのだ」
「えっ…」
城中にはただ産声だけが響いていた。幸福などやってこないと知らずに。
どうでしたか?サードアイとは何なのか、これからどうなるのか、私も分からないのでこれからが楽しみです。
投稿の頻度なのですが、仕事の都合でかなり遅くなるかもしれませんが楽しみにしていてくださいね!!!!!!!!!!!!!!!!!