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保健室で横たわる私はそんなことを思い出していた。
前世の夢は、実のところ警告ではなく予告だったのかもしれない。
「お前はこんな人生しか歩めないのだ」という・・・
「ユミリア、あなた少し休んでなさい。あとはほとんど確認作業だけだから。また迎えにくるまで、ちゃんと寝ておくのよ?」
クリスティーナは腰に手を当てて私を見下ろしていった。
明日の式典の準備中にわたしは倒れてしまったのだ。
これ以上の迷惑と心配などかけたくなかったので、素直にうなずいた。
「そうさせて頂くわ。ごめんね。クリス」
「…謝らないで。無理をさせてしまったわね。先生、ユミリアをお願いします」
クリスティーナは保健室の机で書き物をしているルーファスに声をかけた。
ルーファスは白金の長髪をみつあみにして背中に垂らしている。すらりとした長身で中性的な容姿の、二十代半ばの養護教諭だった。ルーファスはにっこり微笑んだ。
「ああ、任せていってらっしゃい」
クリスティーナが部屋から出ていくと、ルーファスは表情をすっと消して、椅子から立ちあがるとベッドまで歩いてきた。そして、
「まだ生徒会の仕事をしてたの?」
と冷たい声で聞かれた。
「一応まだ役員なのよ」
平静を装って私は答えた。心臓が早鐘のように鳴っている。