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目を開くと消毒液のにおいが鼻をついた。
そのままぼんやりと天井を眺める。
「起きたのね、ユミリア。調子はどう?」
声のするほうへ顔を向けると、豊かな金髪の美しい、少々きつめの顔立ちの少女が私を見下ろしていた。
「・・・・・・クリスティーナ」
思わずつぶやく。美少女は片眉をあげた。
「急に倒れて驚いたわ。いったいどうしたのよ?」
私は唾を飲み込んだ。どうもこうも、ここはゲームの世界らしいことに気づいてしまったのだ。
私は昔から妙な夢を見ていた。その夢はときどき思い出したようにやってきていた。その夢は残念ながら、あまり楽しいものではなかった。やがて、誰かの視点から見ていることに気づき、それが「私だ」と思うようになった。
そして今日、本来なら春休みであるけれど、私とクリスティーナは他の生徒会委員と一緒に明日の入学式の準備のために学園に来ていた。明日の式典の、確認をしている最中、突然わたしは倒れてしまったようだった。そのときに、夢を見た。