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空っぽの武装魔道士δ  作者: 火琉羅
始まりの魔術
8/246

王城に呼ばれた男

これはソラ達から見て、労働1日目の日の出来事である。


5/11・編集しました

 王城のとある一室。


「あのクソガキ共が!」


 力強く豪華な机を蹴り飛ばし、今にも怒りを爆発しそうになる程、グラトンは気が立っていた。


 その原因はやはり昨日。グラトンに恥を晒したキッド達のことだ。



 *



 貴族の息子として生まれたグラトンは、家族からも甘えられて育てられ、一切苦労というものをすることなく今日まで育てられてきた。


 身分の低いものから崇め奉られれば、幸福に感じ、歯向かうことできないもの痛めつけ、それを極上の時間を感じていた。


 昨日の店でも、いつも通りだった。

 よく食べるあの店の料理の味はそこそこだが、不味くはない。だがそんな店に金を払ってやる義理はない。故に、()()()()()()()、あのガキ・ソラに勘定を押し付け、更には()()()()痛めつけたくなったので充分に痛めつけ、後は帰るだけ。そう思っていた。


 あいつが現れるまでは。



 *



 あの男が現れてから全てが狂った。


 結局、金は払わないといけなくなり、更には局部を蹴られ恥を晒し、笑い者になった。


 そして、あの痛みが止み、目を覚ました頃には翌日になっており、日が昇りつつあった。


 そんなグラトンの様子は王都全体に広がっており、貴族としての面目も丸潰れとなっていた。


 そんな恥を受けたグラトンは当然のように問題が自分にあるとも思うはずもなく、悪いのは全てキッド達だと考えていた。


「今度会った時は必ず殺してやる!」


 そう言って地団駄を踏むグラトン。もちろん自分が悪いとは全然思っていない。


 そんなグラトンのいる部屋に扉を叩く音が響く。


「入れ!」

「失礼いたします、モンテバーグ様。国王様がお呼びです」

「ああわかった。すぐに行く!」


 怒りのまま返事を返すと、1人の執事の者がグラトンを呼ばれ、それについて行く。


 グラトンが王城に来ているのは、簡単に言えばお呼びがかかったのだ。


 理由はわからないが、目を覚ましたグラトンがキッド、そしてソラに復讐しに向かおうとしていたが、出かける直前、国王にお呼びを受けたのだ。


 当初は断るつもりだったグラトンだったが、国王からの呼び出しに手の平を返したように呼び出しに応じ、今の今まで待っていたのだ。



 *



「グラトン・モンテバーグ。ここに参上いたしました」

「うむ」

「顔をお上げくださいませ。モンテバーグ様」


 国王へ謁見し、礼節を持って挨拶をするし顔を上げる。

 グラトンの目の前には1人の年老いたご高齢と、見目麗しい姫が視界に入り込む。


 麗しい姫は、目の前にいらっしゃるご高齢の孫娘にあたるソフィ・エルフィード王女殿下。


 その容姿は多くの貴族達を魅了し、そして数多くの求婚を求められたらしい。


 そしてその側の椅子に座っているご高齢こそこの国の国王であるクロスフォード・エルフィード様である。


 国王陛下は異世界と混ざり合ったこの世界で()()の国を作ったとされる御仁であり、よまい1000歳を超えるご高齢であるという謎多き噂の絶えない御仁である。


「モンテバーグ殿。この度、貴殿をお呼びしたのは昨日の件だ」

「昨日のことであらせられますか?」

「ああ。我が国の領地について聞いておきたいと思い。それに貴殿が関わっているのなら聞いてみたいと思ったな。よろしいかな?」


 国王陛下の問いかけに、グラトンは嬉々として昨日あった出来事を伝える。暴行を受けたこと。兵士を歯向ったこと。それはもう話を脚色していき、さもキッドそしてソラがあたかも犯罪者であるかのように話した。


「以上が、私目が受けた仕打ちであります」

「うむ。そうか……」

「故に、私目は反逆者としてあの者達を捕らえられることを許可していただけないでしょうか?」


 国王の許しが出た捕縛なら、大手を降って捕らえることができ、尚且つ見事捕らえればこちらの株も上がる。古代語で『イッセキニチョウ』という言葉がある。これはまさにそれである。


 国王はグラトンの要求に対し、随分と悩まれ、渋々了解がおり、心の中でガッツポーズを取った。


「それでは、私はこれで!」

「まあ、待たれよ。モンテバーグ殿」


 了解がおり、すぐさま引っ立てようと行動に移そうとするが、それに国王自身が待ったをかけた。


「い、如何致しました?国王陛下?」

「うん…実は君に合わせたい人がおるのだ」

「合わせたい人ですか?」

「そうだ。実はもう来てもらっている。入って来てくれ」


 そう言われ、背後の扉から入ってきた者はグラトンにとって予想だにしていなかった者であった。

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