小話 こんな出会いがありました。
以前話していた様に、活動報告の方で『スキルについて』というのを掲示しました。興味がある方はご閲覧ください。
「そういえばソラ」
学校が1日休みとなっている今日。
何かを思いついた様にコレットが俺に尋ねてきた。
「どうした?」
「ソラとカメちゃんは一体どういう風に出会ったの?」
コレットが尋ねてきたのは俺とカメ助との出会いのことだった。
「あれ? 話した事なかった?」
「話した事ないよ〜。ソラ、いつも忙しそうだからさ」
なんだか拗ねた様に口を尖らせるコレット。その姿を見てなんだか頬が緩み、笑みが溢れる。
「ごめんごめん。まあ、別に話してもいいけど、面白くないかもよ?」
「いいよ。話してくれるならなんだって」
俺がそう言うと、コレットは嬉しそうに言葉を返す。俺はそれに少し呆れてしまうが、それを口出さず、昔のことを思い出す。
「あれは、俺が理事長さんに拾われて、半年が過ぎた頃。古代都市を発見して、そこに通いながらギルドの換金の薬草を採取しながら生活をしている時出会ったんだ……」
*
「・・・これだけ採れれば充分だろう」
俺は籠いっぱいの薬草を見ながらそう呟く。ついでに自分が食べる様の野草も回収済みだ。
その籠を背負い、王都に戻ろうと籠を手に持つと、
バリバリバリッ!!!
すぐ近くで大きな電気の音が響き渡った。
ちなみに今日は快晴。雷どころが雨すら降る気配は無い。
それ故に、俺はそれが気になって、持っていた籠を下ろして音がした方に向かう。
音がした場所に辿り着くと、辺り一面が黒コゲになっており、その中心には小さなカメとその近くで横たわる大きな魔物がいた。
「おいおい。まじかよ」
そう呟くと、中心にいたカメこちら向けて首を向ける。
「・・・」
目が合った。
そう思っていると、そのカメはカメとは思えないスピードでこちらに向けて襲いかかってきた。
*
「ええ?! ソラとカメちゃんって最初は敵同士だったの?!」
カメ助との最初の出会いの時の事を話し、敵同士だった事にコレットはかなり驚いた。
「誰だって最初は敵同士。食うか食われるかの自然界ではそれが当たり前だったんだよ」
「そ、そうだとしても、今からはとても想像できない……」
そう言いながら、コレットは俺の膝の上にいる小さなものを見る。
「・・・かめ?」
「まあ、最初はな。今は仲がいいと思ってる。それで、かめ助に襲われた俺は近くにあった枝でそれを防いだ。それに腹が立ったカメ助は、自分の体を帯電させて、襲いかかってくる。流石に電気を帯びている奴に触る勇気のない俺は当然逃げた。その事に余計に腹が立ったカメ助どんどん攻撃を繰り返していき、俺も必死になってそれを避け続けた」
「わかった! そうやっている内に、互いに信頼が芽生えていったんだ!」
「全然違うよ」
「あ、あれ〜〜……」
楽しそうにいったコレットの言葉をあっさりと否定し、かけそうになるコレット。
「カメ助はイラつきで攻撃をしているけど、俺は自分の命の危機なのに、友情なんて言ってられないだろ?」
「そ、それもそうか」
「で、しばらくそれを続けていると、互いに疲れてしまってな。その上お腹空いてきたから、一時休戦として俺が当時も通っていたある料理で一緒に飯を食ったんだ。それ以来、人間の料理にすっかりハマっちゃって、それからずっと一緒行動する事が多なったんだ」
「そうだったんだ……。なんていうか、とても平和な話だね」
「中盤を除けばね」
あっさりと、話が終わると、俺とコレットは青々とした空を見上げながら黄昏る。
そしてコレットは膝の上にいるカメ助の甲羅を撫でる。
「ソラ! コレット!特訓を再開するわよ!」
「は〜い! コレット、カメ助のこと頼む」
「わかった。いってらっしゃい」
「かめ!」
「いってきます」
そう言って俺は走り込みを再開する。休んでいた分、ラベンダーの攻撃は激しい。俺は全力で逃げ回るのだった。
「よかったねカメちゃん。美味しいご飯が食べれて」
「かめ〜♪」




