凍りついた最後
本日で第2章完結です!
6/12・編集しました。
ニヤついた笑みでそう言うと、カカッとガルドも笑みをこぼす。
「確かに安直だ。わかりやすすぎて思わず笑ってしまう程にな」
「そうだな。内容は複雑だが、わかりやすいのはいい。難しく考えるのは苦手だからな」
「違いない。俺も口より先に手が出る方だからな」
俺が難しく考えるのが苦手だと言うと、ガルドもそれに同意し、さらっと喧嘩早いことを口にする。
「・・・敵同士じゃなかったら、少しは仲良くできたのかもな……」
「それは無理だな。お前は人間で、俺は魔族だ。敵同士でなければ出会うことも無かった。それだけだ」
「・・・ああ、そうだな……」
ガルドは今のこと現状を楽しみながらこの出会いに感謝している様だったが、俺は逆に残念に思っていた。
敵同士で出会わなければ、殺し合うことが無ければ……そんなことばかり考えてしまう。
本当に…仲良くなれたかもしれない……。
そんな残念な気持ちに区切りを付けて、気を引き締める。
いつまでも悔やんでいても仕方ない!今はこいつを全力で!
「さて話は済んだ。そろそろ決めさせてもらうぜ」
「決めるって、どうやって?」
「それはもちろん、俺の腕力で圧殺する。それだけだ」
「なるほどな。非力な人間の俺程度ならあんたの腕力で確かに簡単に殺せるだろう……。でも、そんなガチガチに凍りついたその足で悠長に構えてていいのか?」
「?何を言って……」
ガルドは俺の言葉が気になって、自分の足を見る。
特に目立った変化はない。
単なるたわごとかと聞き流そうと体に力を込めた瞬間!
突如、ガルドの腰あたりが凍りつき始めた。
「?!」
突然凍りついたことに驚きを隠せないガルド。しかし、それはまだ止まらない。
氷はドンドンガルドの下半身まで侵食していき、つま先まで氷始める。そしてガルドの下半身は、巻きつけている俺の足を巻き込んで、完全に凍りついた。
「な、なんだこれは?! 貴様、一体何をした?!」
「さあ?何でしょう? ・・・それにしても、今日の夜やけに寒いなぁ…まるで、俺たちの周りだけ極寒の世界いるみたいだ」
「! 貴様、魔法を!」
「おお!よく気付いたな。正解だよ」
誘導した様な言い方をすると、ガルドはすぐさま言い当られ、思わず口角が上がった。
俺のスキル・《独自解・習》を理解した時、何より疑問に思った事は『強化魔法を発動させてた』という事実だった。
どうやって魔法を発動させたのかはわからない。
しかし、魔法を発動させたということに変わりはなかった。
その事に、俺と共にいたコレット達と何故発動できたのか悩んだ。
悩みに悩んだ結果、魔法を発動できたのは、『スキルの範囲内で力を使うことができたから』という理由で結論づけた。
事実それが正解だった。
コレット達から、習った魔力を感じる事。それは俺自身にある魔力がどのように流れているのかについてを、コレットの手を握り締め、コレットの流れる魔力を肌で感じる事が出来た。
魔力を感じる事が出来るようになってから、使えないものもいくつかあったが、魔法自体はあっさり発動する事が出来た。
そして、その発動した魔法の殆どが、水や風の属性を中心とした魔法だった。
「ソラが、水や風を中心として魔法が使えるのはきっと、水や風についてある程度の理解をしているから、魔法として発動できているのよ」
と、ラベンダーは語っていた。
「でも、発動させた魔法は全て自分の周りを中心に大体1メートルだけしか発動できない。でも、水と風さえ使えれば、お前を倒す事だけなら出来る!」
「き、貴様、まさか?!」
下半身が氷漬けにされたガルドは、俺の言葉を聞いて焦りを見せる。
しかし、そんな事御構い無しに、氷は徐々にガルドの上半身を張り付いている俺を含めて飲み込み始める。
「そのまさかさ。お前を倒す事だけなら、俺の命一つでなんとかなる!」
俺は動ける腕で強くガルドに引っ付き、魔法をさらに強める。周りには突如吹雪が吹き荒れ、俺とガルドを包み込む。
「ちぃ!! 相討ち狙いで、俺を倒せると」
「倒せるさ! これだけの吹雪の中だ。集中して魔力を練る事が出来るかな!!」
「クソッタレが??!!」
河原の片隅で吹き荒れる吹雪のドームは、しばらくの間治る事はなく。夜が明ける頃、吹雪はすっかりと治り、その中心には、大きな男に小さな子供が縛り付けている奇妙な氷像が太陽の光に照らされていた……。
・・・あれ?
ソラ…死んだ?
ということは…完結?!
ど、どうしよう??!!




