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空っぽの武装魔道士δ  作者: 火琉羅
形となる思い
50/246

ゴブリン討伐クエスト・出発前日

本日めでたく50話に到達しました。楽しく読んで頂き、感謝いたします。

 ギルドの人達と一緒に野営の準備が終わってクラスのみんなと楽しく話していると、


「・・・あれ? ソラは?」


 あたりを見回しても、何処にもソラの姿を見つけることができなかった。


 そこで私は、ソラの居場所を尋ねようとギルドの人達のいるところに向かった。


「あの、すみません。えっと…ソラ…見ませんでしたか?」

「そっちも?」

「そっち?」

「こっちの方は、キッドがいないの」


 ギルドの方でも、ソラと話していたキッドと呼ばれる人も、共に居なくなっていた。


「何処に行ったのかわかりますか?」

「誰か、わかる人いる?」


 ギルドの人達に居場所を知っているのか者がいるのかを尋ねるが、結局、ギルドの人達もソラの居場所を知る者もはいなかった


「・・・何処の行ったの…ソラ…」


 何処にもいないソラを探しそうとするが、それをさせまいとエリーゼの周りにクラスメイトが駆け寄り、探し出すことができなかった。



 *



 テントから離れ、向こう側からは見えないような場所で、持ち物の手入れをしていた。


 まず着ていたローブを洗い、防具の汚れを落とし、持っていた剣を磨いた。


 そして、俺はラベンダーから貰った()()()を取り出した。


 その御守りは、手に収まるには少し大きく、ギリギリ収まらない大きさの透明なプレートであった



 *



 このプレートを貰ったのは昨日。

 その日は特訓の前に今日の日の為に、俺の今着ている装備品の試着をしていた。


「ソラ!こんなのなんてどうかな?」


 武器保管庫にやってきた俺たちは全員で俺にあった装備を探してもらっていた。

 そんな中、コレットがそう言って見せてきたのは、ゴツゴツとした如何にも重そうな金属製の鎧だった。


「い、いや…さ、流石にそれちょっと……」

「ええ? いいと思ったんだけどな〜」


 拒否の反応を示すと、コレットはその鎧を残念そうに片付けていった。


「ソラ。こんなのはどうかしら?」

「はい?・・・いいですね!」

「・・・」


 ラベンダーが見せてきたのは動き易そうで、丈夫そうな革でできた見事な鎧だった。


「それじゃあ、しばらくの間、それを貸してあげる」

「ありがとうございま〜す」


 ラベンダーの言葉に巫山戯たように返事を返す。

 いつもなら2、3言言葉を返すはずなのだが、今回は珍しく返事を返させることはなかった。


 言葉を返されると思い身構えていたが、いつまでたっても言葉を発せられることがなかったので、どうした?っと疑問に思い、ラベンダーの顔を覗き込む。


「・・・ソラ」

「はい?」

「・・・やる気、どう?」

「? おう!やる気十分!」

「・・・焦っちゃダメよ」

「え?」

「焦っているのはわかる。でも、絶対に焦って、本来の目的を見失ってしまうことだけはしないようにね」


 俺はその言葉を聞いて、心臓が跳ね上がった。

 俺は急いで、()()()()()()()()()必死に誤魔化す。


「そ、そんなわけでないじゃないですか〜。やだなぁ〜もう……」

「・・・」

「アハハハ……」


 何も喋らないラベンダーに、乾いた笑みが溢れる。額からは、嫌な汗が流れ出ているのがわかる。


「ソラ!ちょっと見てもらいた物が……」


 今にも逃げ出してしまいそうな空気をぶち壊す様に、未だ何かを探し、見せようとしていたコレットの声が響く。


 た、助かった……。


「い、いや、なんでもないよ。それで?見せたいものって?」

「え?で、でも…」

「いいからいいから」


 どんな理由でもいい、単純にこの場から立ち去りたかった…いや、逃げたかったのだ。


 自分の胸の内をかき回された様な()()()()()()。それを必死に()()()()()、この場から逃げたかったのだ。


「ソラ!ちょっと待ちなさい!」

「は、はい…?」


 ドキン!っと心臓が再び跳ね上がる。

 後ろにいるラベンダーに顔を向けると、懐から何かを取り出し、こちらに向けて投げてきた。

 俺はその投げられたものを、見事にキャッチ


「イテェ!」

「アウ!」


 出来ず、俺の手あたり跳ね上がたのち俺の頭に直撃。その後、後ろにいたコレット頭にもヒットした。


 痛みに悶えながらも、ラベンダーが投げた物を拾い上げると、それは見たことのない平べったく、透き通る程透明なプレートであった。


「イテテ…これは?」

「・・・まあ、御守りみたいなものよ。それより…頭大丈夫?」

「お、俺は大丈夫だけど…コレットは?」

「わ、私もだいじょうぶ〜」


 ある程度の痛みはあるが、それでもさほど問題ない為、ごく普通に会話が出来ているが、コレットは未だに、ううぅ…っと、痛そうに頭を押さえていた。


「・・・まあとにかく、それを肌身離さず持っていなさい。きっとあなたの役に立つわ」

「はあ…」


 ラベンダー言われ、これを大切に持っておこうと決め、部屋に差し込む光にプレートを照らしその透き通ったプレートの先にある光を見つめのであった。

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