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空っぽの武装魔道士δ  作者: 火琉羅
始まりの魔術
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必殺!男の全力!

 静まり返った店。


 側から見たら店の中にいる全員が凍りついたと思われる程、店の中は静まり返っていた。


「・・・おい小僧。『デブ』とは一体誰のこと言っているのだ?」

「てめぇのことだよ。わからねえってなら『ブタ』、とても呼んでやろうか?」


 グラトンはこちらを向き、先程の暴言の確認を取り、男は更なる暴言を吐く。


 暴言を吐かれたのが自分だと理解したグラトンの額に次々と青筋を立てていく。


 青髪の男はそんなグラトンの様子を気にもせず発言する。


「飯の件は…まあ、すまないと思うが、だがてめぇ!こいつに金を払わせるってことはてめぇは()()()()()()()()ってことだろうが!」


 そう言うと、今度は焦りの表情が浮かび始める。


「そ、そんなわけないだろ!いいががりは!」

「いや!俺は見てたぞ!グラトン様は確かにここの飯を食ってた!間違いねぇ!」

「な!」

「・・・だそうだが…どうなんだ?」


 グラトンがいいががりと反論をしようとするが、周りからそれをさせまいと声が飛ぶ。

 その為、男が言った言葉に押し黙ってしまう。


「大体、皿を割ったのだっててめぇがこいつを叩きつけたせいじゃねぇか。それを無理矢理押し付けるのはおかしいだろうが」

「だ、黙れ黙れ!平民風情が!貴様には関係のないことだろうが!」


 男が言った言葉に言い返せないのか、顔を真っ赤にして関係ないと言う言葉を口にする。

 そんなグラトンの態度にしびれを切らしたのか、力強く机を叩く。その衝撃で机は2つに割れ、乗っていた皿などはすべて地面にぶつかり割れていき、破片がソラ達周辺に散らばった。


 2つに割れた机と男を交互に見ながら驚きの表情を浮かべるソラ。だが、男はそれに気づいておらず、真っ直ぐにグラトンを睨みつける。


 グラトンも割れた机を見て恐怖のあまり腰を抜かし、地面に座り込む。

 外にいた兵士達も、中の様子に慌てて中に入っていき、中の状況を確認する。


「ふざけんじゃねぇ!こいつは、俺を助けてくれた恩人だ!ひでぇ目にあってもこいつが我慢してるからこっちも耐えてたけどな、てめぇの自分勝手な行動にもう我慢ならねぇ!」


 立ち上がりながら、どんどんとグラトンに詰め寄っていき、怒りの言葉を口にしていく男。それに対してグラトンは先程の青筋を浮かべていた表情から一変して今や恐怖の表情が露わとなっている。


 詰め寄っていった男はグラトンの胸ぐらを掴み、太々しく太った体を軽々と持ち上げる。


「き、貴様!私が誰だかわかっているのか?!」

「てめぇがどこの誰だか知らねぇが、恩人を気づけるような野郎は、このキッド様が許さねぇ!」


 キッドと名乗った男は、グラトンから手を離す。グラトンはよろめき、少しばかり後ずさりするも、すぐに兵士達がグラトンを支え、再び倒れこむのを防ぐ。支えてもらったグラトンは、ただ真っ直ぐに目の前にキッドを睨め付ける。


「次こいつ手を出してみろ。その時はこの俺がてめぇを叩き潰す!覚悟しやがれ!」


 高々と宣言したキッドの言葉に、グラトンはさらに怒りを露わにし、


「・・・叩き潰すだと……。そうか…なら、やれるものなら、やってみせろ!」


 グラトンは怒りのあまり、手を前に出し、魔法を発動させようとする。それに気づいた兵士達は、止めるように呼びかけるが、グラトンは止まらない。


 魔法を発動する準備が整い、発動させようとする直前グラトンの体に強い衝撃が走る。


「必殺!男の全力!蹴り上げシュート!」


 チーン!


「ほうっ!」


 キッドが全力て蹴り上げた脚は真っ直ぐにグラトンの局部を捉え、吸い込まれるようにクリーンヒットした。


 グラトンはあまりの痛みに地面に前のめりに倒れ、ビクビクと痙攣を起こしている。


 それを見ていたソラを除いたほとんどの男客のほとんどは顔を真っ青にして手や足で局部を押さえ、守りの体制をとる。そんな中、ソラだけはただ唖然としてその場の成り行きを見守っていた。


「ぐ、グラトン様!」

「おのれ貴様!」


 他の誰よりもいち早く意識を取り戻したのは、意外なことにグラトンの近くにいた2人の兵士達だった。

 1人の兵士はグラトンに近づき、グラトンの安否を確認し、もう1人の兵士は剣を抜き、キッドにそれを突き立てる。


「おいおい。俺が悪いのか?どう考えても悪いのはそいつの方だろう?」

「黙れ!貴族であるモンテバーグ様にこのような仕打ちをしてタダで済むと思うな!」


 剣を振り上げた兵士は、キッドに向けて剣を振り下ろす。キッドも慌ててそれを避け、キッドが唯一の持っていた剣を抜き、再び振り下ろしてくる剣を防ぐ。


 キッドが持っている剣は現在では珍しい形状の剣で、『カタナ』と呼ばれる剣を使っていた。


 キッドを覆い被せるように襲いかかる兵士を、力強くで吹き飛ばし、体制を整える。


「へ!意外とやるじゃねえか!」

「黙れ!これで最後だ!」


 再び剣を構えた兵士が、キッドに襲いかかる。その剣先は首筋を捉え、勝利を確信した兵士。その光景に様々な声を上げる客。そして、慌てて制止をかけようとするソラ。


 だが、それも間に合わず、兵士の剣はキッドに振り下ろされた。



















 キーーーン!


















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