魔法について
「それではこれより、魔学について勉強します」
庭に出た俺とコレットは、地面(コレットは持ってきた敷物の上)に座り、立って話しているラベンダーの言葉を聞いてパチパチっと拍手をするコレットとは対照的に、呆れたようにため息を漏らす。
「ラベンダー…それは俺への当てつけか?魔法が使えない俺にはそんな勉強意味ないだろ?」
「いいえ。1度魔学についてきちんと勉強しておくことは大事よ」
ラベンダーの発言に、コレットも同じように頷き、俺は諦めるようにラベンダーに話を続けるように促す。
「それじゃあまず、前回話した魔法の原理について覚えているかしら?」
「えっと…心というものを魔力を通して形にしたもの…でしたよね?」
「そう。今回はそこからもっと踏み込んで教えるわよ」
そう言ったラベンダーは、手のひらに小さな火の魔法を灯す。
「このように心を形にする力。それが魔法。でも、不自然に思わない?」
「「???」」
話を聞いている俺とコレットは、その言葉を理解できず、?を浮かべる。
「心を形にする魔法。それを同時に使うことなんてできると思う?」
「?…それができるから、お前だって使ってたんじゃないのか?」
「それを言われると何とも言えないけど……」
1度に多くの魔法を使っている姿をこの30日間ずっと見てきたソラにとって同時に複数の魔法を使えることは当たり前のことだと考えていた。
ソラにそんな事を問われ、言い淀むラベンダーに助け船を出したのはコレットだった。
「ソラ。実はね、魔法を同時に複数使うことは魔法を使える人にとってすごい技術なの」
「そうなのか?」
「うん。それが出来る人は王都や皇国でも重宝されるみたい」
「へ〜。ということはそれが同時に使用できるラベンダーはすごいウィザードってことか」
「そ、そんな事をないわよ。誰だってできるわよあれくらい!」
ラベンダーは恥ずかしいのか、顔を晒しながら顔を赤くし、早口で答えた。
「ゴ、ゴホン!と、ともかく、魔法を複数使うのは高等技術なのです。そのため、このように2つ魔法を同時に使えるようになれば、上位のウィザードと称されるでしょう!」
その言葉を聞いたコレットは少し顔を強張らせ、胸の手前でよし!っと気合を入れる。
そんなコレットを見ながらも、なおも疑問に思うことがあった。
「それって、俺に話す意味あった?」
困惑する俺の姿を見て、フフフッ!っと嫌味ったらしい笑みを浮かべて、
「それが運がいいか、そうでないかの話につながるのよ!」
そう言い放った。




