お願いと桶
「というわけで、今日合わせて3日間。よろしくお願いします」
「いや、何がというわけよ…」
学校をサボった俺は、一目散に王城に向かった。驚いたことに、王城に着いた俺は、門の兵士達にラベンダー…カンナに会いたいというと、顔パスで門を通過出来た。
その時に「お疲れ様です!!!」となぜか敬礼をされた。
・・・ひょっとして、あの特訓のことだろうか……。そ、そんなに厳しいのか?あの特訓って……。
そんな事を思いつつ、王城の門をくぐりラベンダーの住まう部屋に向かった。
部屋に着き扉を叩くと、どういうわけか中からコレットの声が聞こえた。
「そ、ソラ?!こ、こんな時間にどうしたの?学校は?」
「まあ、それも含めて説明したいから、とりあえず入っていいか?」
「え?!ちょ、ちょっと待って!!今ちょっと…ひゃあ?!」
「!?コレット!どうした!?」
中から聞こえるコレットが突然悲鳴をあげ、急いで中の様子を尋ねるが、返事は返って来ない。
俺は急いで部屋の扉を蹴破って中に突入した。
「コレット!何があった〜〜??!!」
突入すると、俺の顔面に向けて木の桶が飛んできた。その桶は俺の眉間に直撃し、自分の意識を暗転させた。
だが、桶が直撃寸前に見えたコレットのショーツ姿は俺の瞼と脳裏にしっかりと焼き付いた。
その後、すぐに意識は回復し、学校での出来事を説明した。
「まあとにかく、事情はわかったわ…ところで、どうだったかしら?」
「大変良いもの見させていただきまひぃひゃ」
「忘れなさい〜〜」
ラベンダーの言葉に、馬鹿正直に答える俺をコレットは顔を真っ赤にして両頬を引っ張る。・・・ちょっと痛い。だがそれ以上に目の前でニヤニヤしているラベンダーがとても苛つく。
「3日と言ったけど、ひょっとして1日中特訓するつもりじゃないわよね?」
「ひょのひゅもりだひぇど?」
「・・・学校はどうするつもりよ」
「・・・ひいよ。あんなひょころ……。とひゅうか!いいひゃげんはひゃせ!」
「あ!ご、ごめんね……」
そろそろ会話になっていないので、とりあえず俺の頬を引っ張っているコレットに離すように言う。
それに気づいたコレットも謝りながら手を離した。
「それにしても…あの学校は成績しか見ないね」
「それがあの学校だからな。人としてまともな人はきっとリシア先生と理事長さんだけだと思いますよ」
俺がそう言うと、何故か驚いた顔をするラベンダーと何故がちょっと怒ったような表情をするコレット。
「・・・リシア先生って?」
「理事長を除いて、俺を1人の生徒として接してくれる唯一の先生」
少し刺々しくリシア先生について尋ねてくるコレットに対し、手短に答える。それを聞いたコレットはそう。っと俺から視線を外し、そっぽをむいた。
「?・・・まあとにかく、しばらく泊まり込みで特訓がしたいから、ご指南の程、お願いします」
「・・・はあ〜、わかったわ。期間は3日しかないんだから、キリキリやるわよ」
「よろしくお願いします」
ラベンダーが了承すると、俺は早速特訓を始めようと立ち上がった。
「あ、そうそう。これからの特訓は、私独自の秘密特訓。運が良ければ、すぐに強くなれるから覚悟しておきなさい」
「はあ……」




