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空っぽの武装魔道士δ  作者: 火琉羅
中央国協同魔法学校
242/246

2年前の裏側で……。1

「……は?」


 ソラは思わず疑問の言葉を返した。

 その声にリブラは一瞬驚いていたが、通常通りに内容を伝えた。


「対象者である『アッシュ・フォン・ジェラート』は皇国の王であるため、そこにある王城に暮らしている。

 目的は殺害。殺害方法は任せる」

「ま、待ってください! 突然そんな命令を言われても……」

()()()()()()()()()()()()()()

 スコーピオンの指示のもと、殺害の作戦の実行せよ」

「……………………わかりました」


 ソラは最初はかなり戸惑っていたが、長い時間をかけてすでに行われていたと知りかなり渋ったが、ソラはとても悔しそうにリブラの任務を静かに頷いた……。



 *



 ソラはかなり重い足取りで日数を経過し、スコーピオンが作戦のために待機している皇国近くの小屋に到着した。


「……おまたせいたしました……」

「遅いぞ、デルタ=Ⅳ」

「申し訳ございません」

「まあいい。これより作戦会議に入る。貴様も参加しろ」

「……」


 スコーピオンは少々不機嫌そうに作戦会議を行うテーブルのそばに着いた。


 そのテーブルには駒として用意したのだろう魔族達の姿があった。


 魔族達は人間であるソラが作戦参謀であろうスコーピオンと親しくしている姿を見て目を細め睨みつけていた。


「あんずるな。此奴は……まあ、体良く動く奴隷だと思えばいい」

「……」


 スコーピオンの言葉にソラは目線を合わせることも顔を上げることも、言葉を発することさえもしなかった。


 そんな沈黙を肯定と取り、スコーピオンと共に作戦会議を始めた。


「では……現在、皇王の城に宮廷魔道士として魔族を一名スパイとして潜入させている。

 そいつからの連絡でもう間も無く()()()()()()()()()()との連絡だ」


「……」


 ソラは思わず顔を上げて目を見開いて反応するところだったが、その意識をソルガの意識が押さえ込み、体が反応することなく、ギリギリのところで精査しすることができた。


『抑えろ。ここで動いたらなおのことあの女が危険な間に合うぞ』

(……わかった……)


 心中でソルガに押さえつけられていたソラは説得の後、体を押さえていた前脚を退かして拘束が解かれる。


 と同時に本体の体にあった苦しさがなくなり、スコーピオン達に気づかられない程度に安堵の息を漏らした。


「よってもうしばし観察した後、王城に侵入する。

 皆それまで準備しておけ」


 そう言って会議は終了し、一時解散となった。


「デルタ=Ⅳ。貴様の出番少ないだろうが、今しばらく待機だ」

「かしこまりました……」


 そう言ってソラは小屋の外へ向かおうとしていた。


「? おい。どこへ行く」

「皇国の街へ。人間に化けている宮廷魔道士の魔族が皇国の人間に対してどのような反応を示しているのか、そしてそれが作戦に支障がないのかを調査してきます」

「……そうだな。確かに周囲の目を誤魔化すためにどのような反応を知ることは重要だ……。頼んだぞ」


 ソラは小さく頭を下げて小屋を出て皇国の方へ向けて駆け抜けていった。下手な魔導や魔法を使わず走り抜ける……。


 だが、その脚取りは真剣そのもので、一秒でも早く皇国にたどり着こうと必死だった。荒い呼吸になるも、その脚を決して止めることはなかった。


(早く……。早く城に向かわないと!)


 ソラの頭の中にはコレット達のことで頭がいっぱいでそれ以外のことを考えられる余裕ではなかった……。



 *



 ーーーとある少女は持っていたトレイを落としてしまった。


「ーーー誰だ!?」


 その部屋にいた男はトレイを落とした後と共に皇王であるアッシュがいる部屋を後にした……。


 バサッ!


 そんな男がいなくなったタイミングを見計らい、王城に忍び込んでいたソラが部屋の中に現れた。


 ソラは最初、コレットの方を追いかけようとしていた。

 しかし、アッシュ自身も危険な状態であったため、まずはアッシュを救おうとしていた


「ソルガ!」

『わかっている! 魔力を拡散させろ!』


 ソラが洗脳状態のアッシュに向けて手をかざし、魔力をあたり一面にばら撒くとそれにソルガの力を伝達させて衝撃波となった。


 その衝撃波はアッシュの体を襲い、わずかに体を痙攣させた。


「っん!? な、なんだ……頭が……」


 すると、洗脳状態であったアッシュが目を覚まし、洗脳状態が解かれて頭を押さえ始めた。


 先程ソラが行ったのは魔力を使って特定の範囲にソルガの破壊の力を衝撃波として飛ばすということであった。


 ソルガの力はわずかな力だとしてもとても強力なものだ。その力の一端に触れるだけで体壊されてしまう恐れがある。

 それはソラ自身も体感し、自らの体がわずかに避け、自壊一歩手前の状態となった経験もある。


 そこでソラは、破壊の力を魔力を通して拡散するという手段を思いついた。

 拡散した魔力を通して破壊の力が体を覆い、敵を倒す。そうして思いついた攻撃手段だったが、拡散した魔力に破壊の力が覆い尽くされると魔力が破壊され、破壊された魔力がシャボン玉のように破裂して流れてた衝撃波を作り出す。それがいくつも重なり合ってより強い衝撃波となり、敵を容易く吹き飛ばすほどの衝撃波となった。


 現在ソラが行ったのはまさにそれ。拡散すると量を調節し、アッシュかかっている洗脳を破壊の力を持った衝撃で無効化させるという力技を行い、洗脳を解いた。


「(少し危険な賭けであったが……解けたようでよかった)大丈夫ですか?」

「あ、ああ……」

「……申し訳ございませんが時間がありません。事情は()()()()()()()()()()()()

「あ、き、君!?」

「ーーーああそれと、私の事は内密でお願いします。

 本来私は、あなたを殺さなければならない立場。次にあった時はあなたを抹殺しなければなりません」

「!?」

「そのことを……ご理解しておいてください」


 ソラはそう心にもない、言っていて苦しくなるような言葉を言い残しこの場を去り、一早くコレットの後を追った。


 去っていく()()()()()()()()()に助けられたアッシュだったが、去り際の彼が今にも辛そうな表情を浮かべていたことがアッシュの頭からどうしても離れなかった……。

次回は2月2日に投稿します

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