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空っぽの武装魔道士δ  作者: 火琉羅
中央国協同魔法学校
238/246

カフェ・スカイ

今年最後の投稿です。

 レオナは目の前の自分がよく知った顔をしたの少年に驚き、少年はなぜ自分が見つめられているのかわからず、首を傾けながら、じっと見つめていた。


「あ……。え……」

「……あの……僕の顔に、何か?」

「え……?」


 レオナが言葉を紡ぐことが出来なくなっていると、自分をなぜ見つめられているのかわからなかった少年がその理由を目の前のレオナに尋ねた。


「あ、いや、えっと……」


 少年に尋ねられ、慌てて言葉を発しようとするが、慌てていてより言葉を発せられなくなり、言葉を詰まらせていた。


 そんなとき、


「お兄ちゃん!」


 先に坂を登った目の前の少年を兄と呼び、飛び付きなから、腕を絡めた少女は視線をレオナに移すとすぐに少年に視線を移し、目の前のレオナについて尋ねた。


「……。お兄ちゃんの知り合い?」

「いいや。初対面だと思うけど……。

 ……というか、普通は友達かどうかを聞くんじゃないの?」

「お兄ちゃんに友達なんていない」

「おい!?」


 少女のはっきりとした言葉に少年は驚きの表情を浮かべ、そしてそれ見ていたレオナは事あるごとに表情が変わる自分がよく知っている姿によく似ている少年に目を奪われていた。


「……」

「? どうかしましたか?」

「あ、いえ……。あなたのことが私のよく知る者と、よく似ていたので、つい見つめてしまいました」

「……そうでしたか。まあ、世界には全く同じ姿の人間が三人いる……二人、だったかな? って話だったから、似ている人間がいてもおかしくないと思いますよ」

「そうですか……」

「それよりも。あなたはこの先にあるカフェに用があるんでしょ?」

「は、はい」

「なら一緒に行きませんか? 僕とこの子の家、この坂の先にあるだ」

「……えっと」

「……」


 一緒に行かないのかと尋ねる少年。それにどのように返事を返そうか悩んでいると、少年に抱きついている少女がより深く少年の腕に抱きレオナを睨みつける。


「……アイリス」

「だってお兄ちゃん。この人……」

「この人はお客様だよ。うちのお店のお客様なら、きちんとお店に連れて行くことがお店の子であり、店員である僕達の仕事だよ」

「……なら、どうして表の道から来たの? 裏道の方が楽で通りやすい道なのに」

「……え? 裏道のがあるのですか?」

「え、知らないですか?」


 ………。


(先に教えてくださいよ、アリアス様!!!)


 レオナは深く頭を抱えながら、うずくまる。


「……普通に知らなかったんですね……」

「そうだ。普通のお客様だ。なら、案内するのは店員の務めだ」


 少年はそう言い、アイリスと呼ばれた少女を見つめる。それに応えるかのようにアイリスは諦め気味に絡みついていた腕から離れ、口を尖らせながら、坂道を登っていった。


「ごめんな、アイリス……。

 さ、もう少しだ。頑張ろう」


 少年はレオナに手を差し出し、レオナは恥ずかしそうにその手を掴んだ。


「僕は『(そら)』。『大空 空(おおぞら そら)だ」

「私は……。私は、レオナと申します」

「……申しますって、そんなに堅苦しくなっていいよ。店員ならまだしも、お客さんなんだから、もう少し楽していいと思いますよ」

「……そうですね。そうします」


 そうした二人は山道を登っていくのであった。



 *



 カランッカランッ!


「いらっしゃい……アイリス? どうしたの、一人で帰ってきて……」

「……知らない」


 お店であり家である『カフェ・スカイ』へ帰ってきたアイリスは給餌をしていた二人の母親である『大空(おおぞら) エレナ』が迎える。


 そんなエレナの問いかけにアイリスは冷たく返事をしてお店の奥へ引っ込んでいく。


 不審な行動に首を傾けるエレナだったが、その後にお店の扉が開かれる音が響き渡って、アイリスが不機嫌であった理由を理解することができた。


「ただいま。そして、いらっしゃい」

「はい。失礼します」


 扉を開けてお店の中に入ってきたのは、息子である空と共に一緒に入ってきた少女がいた。


「ただいま、義母さん。

 こちらはお客様」

「……」

「? どうしたの、義母さん」

「え! あ、ああ……ええ。わかったわ。いっしゃいませ、お客様!」


 突然息子が女の子を連れてきたことに驚いていたが、すぐに意識を取り戻し、息子が連れてきた女の子をお店の中に案内した。


 その間に空は持っていた荷物を置き、給餌の制服に着替えてエレナの手伝いを始める。それはアイリスも同じで不器用なりに手伝っていたが、空と視線が重なるたびに視線を晒していた。


「何をそんなに怒ってるんだか……」

「鈍いんだから……?」

「どうしたの義母さん……アクアさん?」


 空はなぜアイリスが起こっているのかわからず首を傾けているとエレナが背後から小さく呆れなが呟いた。


 そんなことをしていると、視線を見つめる先の物陰にエレナの心獣(しんじゅう)であるアクアの姿を発見した。

 アクアは静かに空とエレナを見つめており、その表情は真剣そのものであった。


「……」

「……義母さんはアクアのところへ。カフェのことはこっちに任せてよ」

「大丈夫?」

「大丈夫。翼さんはいないけれど、やれるよ。アイリスだって、仕事ならちゃんとやると思うし」

「でもあなたたち、妙に失敗が多いから……」

「……やれる範囲は頑張るよ」


 エレナは不安ながらもアクアの方へ向かい、話を聞くことに。

 そして空はアイリスと共に給餌の仕事を始めるのであった。

次回は1月5日に投稿します。

良いお年を!

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