中断は恋バナ
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「キャノン・フレア!!!」
ウィザードが放った大きな大きな火球は、真っ直ぐ、俺目掛けて飛んできた。
やばいと思った俺はコレットだけでも逃がすため、押しのけようとするが、逆にコレットは俺の前に出た。
「アクア・シェルド!」
そう叫んだコレットの目の前にいきなり水が現れ、ウィザードが放った火球とぶつかり合う。というか、コレットって魔法使えたんだ……。
どちらも凄まじい魔法のぶつかり合いだが、火球の威力が余程強いのか徐々にコレットが押され始める。
なおも衰えない威力の火球が少しづつ水を蒸発させていく。コレットはどうにか火球の軌道を俺たちの方から晒し、火球を明後日の方に飛ばす。今の彼女にはそれが精一杯だった。
火球は明後日の方に飛んでいき、地面に当たり爆散する。そして、魔力切れを起こし、その爆風に耐えきれず、へたりと座り込むコレット。
俺はそんなコレットを支えつつ、火球が爆散した方に顔を向ける。
爆散した場所には、大きなクレーターができており、それが当たっていたと考えると、冷や汗が止まらない。
「ハ、ハハ…」
「私が発動した魔法に対して、すぐさま反応、属性を見極め、魔法を発動した。上位魔法に対し、即座に相反する属性の上位魔法を使ったのは見事だが、無詠唱では防ぐことはできても、相殺するには至らなかった……」
「・・・」
「でも誇っていいわ。瞬時にそれだけの判断ができる人なんてそうそういないから。ほんとよ?」
俺にもわかりやすく説明してくれたウィザードの雰囲気が急に変わり褒め始める。
先程とのギャップにポカンとなる。
「あと、少年くん。私は同性愛者じゃないわ。普通に男の人が好きだし、これでも片思い中なのよ」
とんでもない爆弾と共にドウセイアイシャについての否定をし始めた。ドウセイアイシャさん…じゃなかった、ウィザードの人が言った言葉に謝罪を入れようとした俺よりも、さらに強い反応を示す人が1人。
「か、片思い中とは、い、いったいどちらの殿方にですか?!」
おい。魔力切れを起こして動かないんじゃないのか?いつのまにそんなに元気になったんだよ。
「それはちょっと教えられないけど…素敵な方よ…」
「そ、そうなのですか?」
話がどんどんと盛り上がっていくのはいいが…お前ら敵同士だよな?敵同士が同じ話題で盛り上がってどうするとはどうなの?
それに…
「コレット、その人から離れろ」
「え?」
「さっきまで、恐怖で足がすくんでいた人がよく言うわね」
「よく考えてみろ。その人は元々、君を捕まえにきた皇国の味方の人だ。きっと油断して捕まえるつもりだ!」
震えながら立ち上がりながら言った言葉には!っとし、ウィザードから離れていく。
「それに、俺たちを見つめる気持ち悪い視線だってあった。きっと油断させて俺たち…しいては君を捕まえるつもりだ」
俺の予想に答えるようにさらにウィザードから離れていくコレット。だが、それ以上に反応を示す人がいた。
「気持ち悪い視線?どういうこと?」
「とぼけるな!視線に気づいて走り出したら、俺たちを追いかけるように鎧の足音だって聞こえた!どうみても捕まえる以外に考えられるか!」
「そんな!」
ウィザードは俺が言った言葉に驚き、
「たしかに、兵士達を引き連れて森まで来た。だが!森の中までついて来る指示は出してない!」
そう言った。




