来訪者は爆発する
目を覚ますといきなりカメ助に噛み付かれ、納得がいかないソラです。
納得がいかず、不機嫌なまま今日1日を過ごすのは嫌なため、ゲンキンだが、まずは朝食だと思い、あっさりと済ませることができるパンとサラダ、あとはスクランブルエッグの『モーニングセット』を食べ、気分が良くなったところで、これからどうするかと悩ませる。
これからの話…はしばらくするつもりはない。考える時間は欲しいだろうし、今のところ、まだ猶予がある…と思う。
だから今は、コレット自身がリラックスできるような環境や状態にしない。
その為にはどうするべきかと、再び頭を悩まさせる。
「どうしたの?」
「いや、これからどうしようかと思ってな。何かしたいことはあるか?」
尋ねてきたので答えると、同じように悩み出す。そしてあ!っとなにかが思い浮かんだように、話し出す。
「そういえば、昨日木の板を鎖で吊るしている広場を見かけたけど行かなかったから、そこに行ってみたい!」
「板を吊るしている広場?・・・ああ公園ね。いいよ。じゃあ、今日はそこに行ってみよう」
「やったー!!」
コレットが見たという公園に心当たりがあり、今日はそこに向かおうと、カメ助を肩に乗せ、外へつながる玄関の扉開け、3人で公園に向かった。
「みぃ〜つけた」
*
外に出た俺たちは、真っ直ぐに公園に向かっている。
コレットは俺の腕に抱きついているため、すごく歩きづらい。
だが、それ以上に、
「ソ、ソラ?こ、これって」
「わかってる。だけど今は声を出すな」
コレットが震えた声で話しかけてくる。何故、震えているのかというと、何処からか視線を感じるのである。
俺たちが2日間いたこの場所は立ち入り禁止区域。通常視線なんて感じることはない。だが、今ははっきりとこちらに向ける視線を感じ取ることができた。
コレットもその視線を感じることができ、恐怖のあまり、俺にしがみついている。恥ずかしいのでいつもなら抱きついてくるのを無理矢理引き剥がすのだが、今回ばかりは我慢する。
何処から向けられているのかわからない視線。その視線には異様な気持ち悪さが纏わりつき、不快な気分にさせる。
このままじゃ危険だ!!!
「コレット…走るぞ」
「へ?ソ、ソラ?!」
俺はコレットに絡まれている腕を引き離たのち、手を引いて走った!
手を引いて走り出した俺に、最初は動揺して足がおぼつていたが、次第にしっかりとした足取りで手を引かれながらついてくる。
視線を感じた方からも慌た様子が見られ、ガシャガシャと足音が聞こえ出す。だがそれでも、気持ち悪い視線は未だに感じている。
(足音的に鎧の音だろう。近いうちに来るとは思っていたが、思った以上に早かったな)
古代都市を覆い尽くすほどの森だ。あと2、3日は大丈夫だと思ったけどな。
「こ、これからどうするつもりなの?」
走りながら、問いかけてくるが、長々と話している暇わない。
「逃げる!捕まったら、投獄!綺麗な全裸少女人形・完成!」
「片言で怖いこと言わないで!全裸人形って嘘だよね?!」
その問いには答えられなかった。
だが、答えが返って来ないことから、本当に身の危険感じ出したコレットの握っていた手の力が強まるのがわかる。きっと顔は真っ青になっているのだろう。
俺は走る速度を少しずつ早める。コレットが付いて来れないのなら速度を落とすつもりだが、どうにか付いて来れている。
この先にある角を曲がり、背後から感じる視線から隠れ、やり過ごそう。そう思い、角を曲がった。
角を曲がると、突然地面が裂けるほどの強い風が俺の正面を過ぎった。
風が過ぎた場所を見つめると、大きい石の壁が避け、壁の内側を見ることができた。地面を見るとほんの数センチ踏み込めば、真っ二つにされたいだろう。
死への恐怖に後退りし、風が飛んできた方を見つめる。すると、見つめた先には、見覚えのある女性がいた。
「お久しぶりね。2日ぶりかしら?」
「お、お知り合いですか?」
「・・・ああ」
それはコレット見つけた時、コレットを渡すように言ってきた……
「お久しぶりですね。ドウセイアイシャさん」
変態の人だ。
「・・・だから、私は……」
ドウセイアイシャさんは握り拳を作り、わなわなと震えながら、
「同性愛者じゃないって、言ってるでしょうが!!!」
そう言って、杖を高々と掲げると、大きな大きな火球が現れ、それを俺たちの方に放った。




