ソラの評価
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「それで、少し情報は集まりましたか?国王」
王城住まう国王であるクロスフォードに王都きっての宮廷魔導師・カンナが尋ねる。
「うむ。ソラという少年について話しを聞いたところ、大まかに2つの人物像に分かれた」
「ソラという少年は、5年前。魔法学院の理事長を務めるアリシヤ・フィーリスに拾われ、書類上養子という形で一緒に暮らしている。彼は学業や私生活ではかなり性格が反対で、まず学業の方面では、かなり評判は悪い。勉強態度は悪い上に授業に参加しないことも多々あり、不真面目な生徒なのだそうだ。おそらく、彼の魔法成績に関係しているのだろう」
「魔法成績…ですか?」
「うん…。彼の場合、魔力はそこそこあるらしいのだが、魔力行使力が著しく低いらしい」
「著しくとはどのくらい低いのですか?」
「魔力ランクはB。行使力はEランクじゃ」
「Eランク……。最低ランクですね」
魔力は基本、才能の差を表すためクラス分けされている。1番最大のSから始まり、A、B、C、D、そして最低のEランクとクラス分けされている。
それは行使力も同じで、S〜Eのランクに分けられている。
「それだと、学校…しいては魔法学院に通うのはとても苦痛でしょう」
「だが、決して成績が悪いわけではない。魔法学を除けば、成績は中の上。魔法学とサボりぐせを除けば、どこにでもいる普通の生徒なのだろう」
この結果には少々驚きがあった。
彼は私に対し罠を使い、追い払うことに成功している。成績などは比較的、高いであろうと予測していたのだが……。
それに、
「成績で、特筆した教科はなかったのですか?例えば、『古代言語学』とか」
「古代言語学?いや、特にそんなものはなかったな。それに古代言語学の授業は成績優秀者のみ受けることのできる授業であろう?」
国王にそう言われ、そうだったと納得する。
古代言語学は魔法学院では魔法学の成績が高い優秀者のみが学ぶことができる授業で、ソラのように魔法学の成績が低いものは受けることができないのだ。
(じゃあ、あの子。どうやって古代言語?ドウセイアイシャの言葉の意味を完全に理解しているような言い方だった)
古代言語を解読することは、多くの古代学者の悲願でもある。例え私のように、書くことができなくとも、意味を理解することができるのなら優秀な学者と同じなのだ。
だが、言葉を理解でき、さらに読むことができるのなら、余程の古代学者気質か、もしくは古代言語にかなり近い人ということなのだろう。
「1人を除き、先生や生徒たちからの評判は悪く、生徒たちからすれば、むしろ来ない方がありがたいらしい」
「逆に、街やギルドの方では評判がいい。基本的に優しく人当たりも良い。学校生活とは全く逆で、優等生のようなものであるらしい」
「・・・評価がまるで反対ですね」
ここまで反対だと、逆に頭を悩ませる。
学校で生活している彼と街の人やギルドの人と共にいる彼。まるで別人のように振舞っている彼は、いったいどちらが本当のソラなのだと。
情報を集めた結果、より彼のことがわからなくなり、どうしたものかと悩ませていると
「失礼します!」
扉を叩き、衛兵の1人が許可を得て入ってくる。
「どうしたのだ?」
「は!実は、国王に御目通りしたいというものがありまして……」
「うむ、よかろう。通せ」
「は!」
そう言って兵士は1人の男を国王の前に通す。
大きなローブを被り、ゆっくりと部屋の中に入ってくる。
そして、片膝をつき崇めるように頭を下げ、名乗った。
「お初にお目にかかります。わたし、ジェラード皇国から参りました。トーラムと申します」
*
一方、調べられていたソラは……
「足元、気をつけろよ」
「は〜い!・・・あ!ソラ、見て見て!この服なんてどうかな?」
服を選びに服屋に来ていた。
サブタイトルをつけるのなら、『空っぽ』でしょうか……。




