二度あることは三度あるの?
店に働き出して1ヶ月が経過した。
あの日から、グラトンは一度たりとも店にやってくることはなく思い返さないと忘れてしまうほどすっかりと忘れてしまっていた。
そして昨日……
「今日でソラの強制労働、終了!」
「よっしゃ〜!!ありがとうございました!!」
キッドの巻き添え強制労働が終了した。
元々、グラトンが机に叩きつけられなければキッドが食べた分の食事代は支払うことが可能だったこともあり、さらにキッドが食べた分は全額本人が支払うということになったことを含め、騒動代として1ヶ月間働く約束になっていた。
「いや〜それにしても良かった。これではれて俺も働かなくて済むんだからな!」
キッドは嬉しそうにそう言って、ウェイトレス姿から私服に着替えていく。
やりきったと言う風に言った言葉に、俺とおやっさん、そしてキッドを除く他の店員は急ぎ足で裏から出て行く。
キッドは何事かと疑問に思い、その原因を2人聞こうと2人の方に振り返る。
「おいテメェ。今なんつった?」
「昼間サボって俺に昼まで俺に働かせた奴がやめていいとか思ってんのか?」
キッド曰く、目から光が消えた2人の姿が今日までの中で働いていた中で最も怖かったらしい。
そして、今日
強制労働からついに解放された俺はやはりと言うべきか、予想通りと言うべきかすぐに目的の場所へ向かう。
今回はいつも家に置いていくカメ助を連れている。それだけ気分が良かった。
「あら?ソラ?どこかに出かけるの?」
「うん!ちょっと森の方にね」
「そ、そう。気をつけてね」
「は〜い」
「・・・何か悪い物でも食べたのかしら……」
なんだか大変失礼なことが聞こえたが気にしない。今の俺は、強制労働から解放された解放感で胸がいっぱいなのだ!
そして、俺は力強く、目的の場所に向かうのだった。
余談だが、その後癇に障ったのか、カメ助が俺の頭に思いっきり噛み付いてくるのであった。
*
森についていつものように禁止区域内の古代区画に向かう。
だがしかし、森を歩いていて不自然なことに気づく。
いつもなら鳥や鹿などの声が聞こえてもいいはずなのだが、それが全くない。
それどころか、魔物気配も足音もない。
明らかに不自然なことに、予定を変更して森中を駆け回る。
目的もないが、ただ闇雲に走れば何かわかるだろうという考えだ。
それからしばらく走り回るも、何か情報が得られるはずもなく、諦めて本来の目的の場所に行こうとその場所に向けて歩き始める。
「・・・!カメカメ!」
その寸前だった。
カメ助が何かに気づき、俺を強く引き止める。どうしたと尋ねると前足を真っ直ぐに森の奥の方を指し、何かを必死に伝えようとする。
何があるかわからないが、カメ助を信じ、指し示した方に向けて走る。
木々の間を駆け抜け、草をかき分け、ついた場所は森にたまにある隠れた花畑。
そして、その花畑の中心でボロボロになって倒れている綺麗なドレスを着ている1人の女の子を発見した。




