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空っぽの武装魔道士δ  作者: 火琉羅
蛇の少女と未来街の幽霊魔導師
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気持ち高めの心持ち

 クロエはソラットの手を包み込む。


 二人は互いを見合わせ、コレットは不安ながらに何かを伝えようと口を開き言葉を発しようとして、


「……」


 何も言葉にする事が出来なかった。


 その後、少しの間俯いて、


「……無茶…しないでね」


 不安が残る中、いっぱいの笑顔で送り出す。


「……ああそれと、あの剣、貸してくれないかな?」

「? 別にいいけど……」



 *



 ソラはコレットから借りた魔剣を強く握り締めながら女の子と相対する。

 手にしている魔剣から徐々に魔力が奪われているが、それが気にならない程、力が湧き上がってくる。


 燃え上がる炎のような気迫がソラから湧き出し、ソラの背後に控えているクロエは呆れ、コレットは少しはにかみながら恥ずかしそうに下を俯く。


 ソラは後ろにいる二人の姿を気にも止めず、女の子から視線を外さず、剣を構える。


 女の子はソラに向けて大きな奇声を放つ。その声に呼応してソラの目の前に再び現れた黒い球。その黒い球が再びソラを吞み込もうした時、


 ズシャ!


 その黒い球を切り裂き、一刀両断した。


『アアアアア?!』

「いくら虚無といえども、魔法は魔法。この魔剣の特性は“魔力喰い”。僕達魔法使いにとっては相性が圧倒的に悪い」


 振り下ろされた魔剣を抜き上げ、折られた剣の先端を女の子に向ける。


「どうする? このまま戦っても意味がないな〜。だって、どう考えても僕の方が有利すぎるっていうか〜。かわいそうっていうか〜」

『……アアア(イラッ!)』

「簡単に言えば、弱い奴をいたぶっているようにした見えないし〜。弱いものイジメも程々にしないといけないな〜」


 ソラがまるで子供を小馬鹿にするように女の子を挑発させていく。そんなソラの挑発に徐々に怒りのが募っていく。


「そんな()()しかあげられない哀れな君の空っぽの器を容赦なく埋め尽くしてやる。胸を借りるつもりで全力でかかってこい!」


 あんたの真似は…こんな感じだったかな……。


『……ウウウウウウ…アアアアアアア!!!』


 そしてついに、散々挑発され怒りが溜まりきった女の子が初めて動き、ソラに向けて無数の黒い球を放つ。だが、それをソラは自前の剣さばきで全て叩き落とす。


 そのうち一つが弾き上空に飛んでいくが、途中で空中で静止する。ソラはそれに気付かず、女の子に向けて走り出す。その空中で静止した黒い球は女の子に向けて走り出したソラに落下していく。


 高速で落下していく黒い球がソラに直撃しようとした瞬間、ソラの瞳にその球が捉えられる。


 ガッキン!


 すると突然、 ソラと黒い球の間に魔装の盾が現れ、それを防ぎ弾き飛ばす。それを確認したソラは大地を強く蹴ってさらに速度を上げて女の子に接近する。


 女の子は接近してくるソラから身を守る為に再び膜を張る。それを見たソラの表情が歪む。


 ソラがその膜に触れそうになった時、突然姿が消えいなくなった。


『アアアア?!』

「いつまでもそんな内側に閉じこもってじゃ……」






「ねぇぇえええええ!!!」







 ソラの声が女の子の周りに響き渡る。消えていたソラは女の子の背後に現れる。その手には魔装の盾を構えており、黒に近い青いコートをなびかる。


 ソラはその大きな盾を膜に対して力強く殴りつける。


 強力な力で殴りつけられる膜。膜に触れても盾は消滅することはなく、逆に膜の方に大きな亀裂が走り、まるで卵の殻が割れるような音を出しながら、膜が砕けていった。


 膜が砕け、中にいた女の子が曝け出される。それを確認したソラは、持っていた盾から手を離すとソラの周りをふわふわと浮き、盾を離した手には逆の手に持っていた魔剣を再び握り直す。


 《………コロセ》


 すると、握られている剣から声のようなものが聞こえ始める。しかし、ソラはその手のうるさい奴に心当たりがある為、剣の声を完全無視。


「……これで、君を守る盾は無くなったわけだ」

 《……コロセ》

「後は、君の虚無を満たせればいいんだけど……」

『アアア』

 《…コロセ》

「………」


 会話が成立しない相対者。《コロセ》と自身に呼びかける魔剣。ずっと敵対し続ける自分の魔核。


 自分の周囲にいる人?達の状況に少しずつめんどくささが募っていく。


「……確か…器に対して、強い衝撃を与えればいいんだけ……」

『アアア!』

 《コロセ》

「ま、僕は僕らしく、強い衝撃を与えれば器を満たすことができr……」

 《コロセ!!》

「うるせぇ!!」


 ソラは魔剣に耐えきれなくなり、大きな声で怒鳴りつける。

 その声に周囲にいるコレットやクロエ、魔物達も含め、相対していた女の子ですらビクッ!と反応する。


「僕はあの子を殺すつもりなんてさらさらない。あんたなんかに指図されるつもりはない」

 《コロセ!! コロセ!!》

「あの子を助けるつもりなんだ。だから……」

 《コロセ……》

 《コロセ!! コロセ!! コロセ!! コロセ!! コロセ!! コロセ!! コロセ!! コロセ!! コロセ!! コロセ!! コロセ!! コロセ!! コロセ!!》

「だから……『うるせぇって言ってんだろうが!』」


 魔剣が、《コロセ!!》と激しく騒ぎ出し始め、ソラの青と黄色の瞳で睨みつける。そんなソラの声はソラのソルガの声も混じっており、以前にも同じような体験を身にしみて感じたことのあったコレットは焦りの表情が浮かび始める。


「『お前の意思なんて知らん。僕はあの子を虚無から救い出す。その意思を曲げるつもりも変えるつもりもない。だから、それでも騒ぐって言うのなら……』」

『俺がお前を呑み込んでくれるわ!』


 ソルガの声が『Gaoooo!!!!』という咆哮とともに、ソラから魔力の形をしたソルガが飛び出し魔剣全体を包み込んだ。


「……」





『手に持ったものを包み込んだ強い魔力で、自分の望む形に作り変えることができる魔導。それが……』






「コレット。この剣、形を変えるよ」

「え?」


 ソラはソルガのが包み込んだ魔力を糧に魔導を発動し、大きめの魔法陣に包まれる。


「魔装練金!」


 魔法陣の中心でソラが手にしている魔剣が光が放ち始める。その光がどんどん強くなっていき、目も開けられない程強い光が奈落中を照らし、ソラ達を包み込んだ。


 そしてその光が徐々に小さくなり、光が収まったとき、ソラが持っていた魔剣の大きく変化し、片手程の大きさの二つの握りの重ねるにしてしっかりと握りしめ、少し内側に沿った二本のが重なり、一本の剣の形となっていた。

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