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仲良し姉弟の異世界トリップ  作者: 松佐
第一章~幼少期~
8/8

姉の居ぬ間に


姉さんと別れ、街に繰り出した。引きこもりと謂れ無き、汚名を着せられはしたが、姉さんには内緒で外に出ているし、裏道の類はこっちの方が詳しいだろう。地理自体も八割がた、記憶している。今回受けた雑用依頼の依頼者宅も何度か仕事で出張したことがある。その時も、同じような内容のお願い事を引き受けた。依頼内容は総じて何かを買ってきて欲しいというもので、依頼者がよく利用している店も覚えているから、問題なく依頼は完了した。さっさと報告を済ませて、討伐系の依頼を受けることにした。姉さんには絶対に秘密だが、僕の仕事相手はお偉いさんが多い。その方々にギルドへ紹介状を書いて貰ったおかげで、Dランクからのスタートとなっている。相応の実力があるかは確認されたけれど、拳聖の補正が凄まじいおかげで、効率的な戦い方も習得できた。無駄を省き、急所をつく。


個人的に望ましいのは、やはり初手で止めを指すことだ。長期戦は面倒だからね、短期決戦を視野に入れた一撃必殺の技を特訓中。金銭的な余裕もあるので、先達の方々に教えを乞うたりもしてる。技術は見て盗むもの、漫画とかで何度か目にした言葉だけれど、確かに的を射ていた。僕のようにスキルに頼ったものではなく、長年の鍛錬の積み重ねによって洗練され尽くした動きと鋭利な技。肉体そのものが武器であり、鎧であり、それが格闘家だと教わっている。客観的な視点で見ると、王都に居を構えているギルドとはいえ、いつもいつもAランク相当の冒険者がいるのは以上とも言える。Aランクといえば、十数人程度で小国を落とせる戦闘のスペシャリスト達だ。主観的に見れば、もしも魔物の軍勢が襲い掛かってきたとしても安心して暮らしていられる、それほどに心強い方々が揃っている喜ばしい状況なのだが、なんだか納得がいかないんだよね。高齢なのは見た目だけで寿命は全然残っているはずであるし、引く手数多のはずなのに見た目、ただ油を売っているだけなのだ。


ファンタジー系の物語によく登場する面倒な正義感溢れた勇者なら、憤慨するね。あなた方の力があれば、たくさんの命を救えるのにナンタラとか言いそうだ。これは勇者召喚のフラグか何かをおっ立ててしまったような気がしなくもないのだけれど、フラグブレイカーとして定評のある姉さんにかかれば、問題はないね。


受領した依頼はオーク討伐で指定数は最低でも10体、北国に繋がる北の街道に頻繁にオークが出没するようになったのが理由で国の騎士団から依頼が出されたようだ。報酬は1体につき、300ルピ。Dランク中位の魔物で豚のような醜悪な顔と悪臭から二足歩行の豚とも言われ、忌み嫌われている魔物である。特に他種の雌を母体として子孫を残していくというゴブリンと同様の性質?があるから、女性からの嫌われようは殊更酷い。体長は基本的に2m。まあ、そもそも依頼を出す前に騎士団が討伐すればいいと思うのだけれど、オーク相手では収支の計算が合わないのだ。騎士団は日給が高く、財政的に考えても騎士団全体への人件費はかなりの重りとなっているのが、この国の財政事情らしく、Dランク程度の魔物相手に出張っていくと国庫から金を切り崩す必要が出てくるそうだ。上層部の方々はそんな財政問題をギルドに依頼を出す形で解決しているわけだが、前提条件としてオーク相手に騎士団総出で討伐に行こうと考えるのか理解できない。普通に考えて精鋭を数人引き抜いて討伐を行わせれば、財政負担も最小限で済むのに、何故か騎士団と騎士を分けて考えることができないようだ。


そんなお国の事情はともかく、やってきました北街道。一応、他国からの入国者が通るということで門も東西南北にある中で一番、耐久性と大きさがある。検問も他の門と比べて、厳しく行っており、門番が収賄して密入国を許すなんて他国でありがちな出来事はついぞ起こっていないらしい。変なところで徹底している我が国といっても、相応の年になれば出ていこうと思っているけれど、全体的に見れば、愚王の収める土地だ。善良な官僚達は日夜働き、国が潰れないように鋭意努力しているそうだが、大半の高官は毎日毎日酒池肉林を繰り返している。騎士団を出動させる金をケチるなら、高官共をクビにしろと言いたいが、王族も優雅な暮らしをするために民の血税を際限なく使おうとするので、この国の財政は火の車なのだ。近頃、クーデターを起こす計画も水面下で進んでいるようだし、現体制の崩壊は近いね。まあ、今は腐れ王族が処刑台に立たされる未来よりも現在進行形でオークの群れに襲われている商団の救援が最重要事項のように思うけどね。


当然のこと商団には護衛の冒険者がついているが、目測でも30はくだらない数のオークを相手に数人程度ではギリギリ商団を守るのが精一杯のようだ。そもそも、相当割が良くなければ複数のオーク相手に無双できるほどの実力者が護衛依頼を受けることはなく、そういう実力者は上級の魔物の討伐を好んで受領する傾向がある。姉さんのように寿命を延ばして長生きしたい、そんな思いがあるのではなく、ただ戦いたい。得てして、有数の実力者に上り詰めた者達は戦闘狂になってしまうようだ。姉さんの場合は、多分大丈夫だろうね。姉さんは純粋に長生きがしたいのだ。前世では隕石の直撃を受けるなんて奇特な死因ではあったけれど、あれがなくても余命は残り数ヶ月。いわゆる原因不明の難病というやつで、一度都会の病院でも検査を受けたが、ついぞ原因は分からず、刻一刻と死へと近づいていくだけだった。あの人は強くて脆いからね。常人が冷静にいられない状態でも冷静でいられるんだよ。でも、常人が仕方がないと簡単に割り切れてしまうことが割り切れず、とても深く傷つく。スペックは高いけど、世話の焼ける姉なのだ。少なくとも今時分は、せめて姉さんに恋人でも見つかるまで支える役を担うために、こっちも寿命を延そうかな。


先んず、雷属性魔法で注意を商団からこちらに引き付ける。単細胞なオークには、それで十分だったのか一瞬だけ全ての個体の注意がこっちに向いた。その一瞬で距離を詰め、練り上げた気をふんだんに内包した拳で出会い頭に右ストレートを見舞う。重量にして数倍以上差のあるオークが背後の仲間を数匹巻き添えにして吹き飛ぶ。肉を打った感触が消えないうちにさっと踏み込み、呆けた様子のオークの腹部に正拳突きから引き戻しての裏拳、腹部を凹ませるほどの威力を内包した打撃を2発受けたオークの内蔵は既にボロボロだ。ここまで気のコントロールと踏み込むことで生まれる勢いの有効活用をひたすら練習した甲斐があったというものだ。未だ不完全ではあるが、震脚で生み出した振動エネルギーを体内経由で増幅し、拳から打ち放つ技術も習得した否、習得させられた。さすが、先達たちは厳しい。近接攻撃を主とする以上、微細な運動エネルイギーさえも無駄にせず攻撃の威力増加に流用することで刃物や槌などに比べて劣る攻撃力を補い昇華させ、名立たる英傑達と肩を並べてきた先達たち熟練の格闘家は恐ろしいことに息を吐くという動作で発生する横隔膜の揺れを流用し巨木をへし折ることもできる。5歳でそこまで人をやめる気はないのだけれど、強さを求めるならば、その領域へと足を踏み入れたいと思うよ。


でもね、突然の登場と派手な演出で商団の護衛の冒険者の方々を驚かせはしたのだけれど、ただの徒労だ。気を圧縮したものをオークに1個ずつ、打ち込む。狙いは全て急所で気を圧縮したもの、いわゆる気弾はものの見事にオークの肉体を貫通して死をもたらした。急所というか狙ったのは心臓だしね。こういうのは困るんだよ。最初に派手な攻撃をしたのに純粋な攻撃能力は気弾のように地味な攻撃の方が高い場合は。派手な攻撃なら、自分達が今まで苦戦していたけど、見た感じの圧力というか迫力というか、そういうので納得できると思うが、散々苦戦した挙句に地味な技であっさりと相手が倒されると人間、釈然としないものなのだ。僕は何とも言えない空気に耐え切れず、その場を後にした。姉さん程じゃないが、無属性魔法は基本的に誰でも使えるからエリアサーチで魔物の気配を探し、昼時を過ぎる頃まで討伐に明け暮れた。


帰路の途中、西の方に桜色をした柱が吹き上がった。姉さんは派手好きだなと自分を棚に挙げて思った日だった。


御使 優姫 格闘家見習いLv18

生命魔力961,834 魔力量20,000

ステータス、腕力15 脚力9 総合筋力12 魔力200 耐久8 技術20

スキル、指圧術Lv14(87/100) アダルトマッサージLv18(34/100) 体術Lv10(56/100) 

拳聖Lv6(12/60) 気功術Lv26(64/100) 雷属性Lv8(7/80) 魔法Lv6(15/60) 怪力Lv7(10/70)


職業は見習いじゃなくなるとステータス補正も出てきます。見習いのLvが20になるとクラスアップです。


姉ばっかりじゃ駄目だと思って弟を書いてみましたが、いつになくグダグダ。作者の未熟さをお許し下さい。よければ、今後とも読んでいただければ幸いです。

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