第2章〜灰色の町〜
踏み切りに身を投げて自殺した渚と爾は・・・?
・・・・・・此処は・・・・どこだろう・・・・・。
僕は・・・・どうなったんだろう・・・・。
花の香りが僕を包む。
僕は真っ白な花畑の中で眠っていた。
「・・・・あれぇ・・・?」
なんでかな。
どうしてだろう・・・・・。
「涙が止まらない・・・・」
頬を、僕の目から出たモノがどんどん濡らしていく。
「・・・なんでだよ・・・。ずっと実行できなかったことが実行できたんだぞ・・・?」
ずっとずっと・・・死にたかった。
やっと実行できたんだ。
やっと楽になれたんだ。
なのに。
なんだよこのモヤモヤは・・・。
「くそ・・・とまれよ・・・とまれよ!!」
叫んでも、拭っても、止まらない涙は
皮肉にも、それだけが温かかった。
冷たい身体を
涙が温めた。
「・・・・とりあえず・・・・せっかく来たんだ。探検してみよう」
ひとしきり泣いて、やっと涙が止まった。
もう・・・泣かない。
泣く理由なんかないんだから。
瞳にたまった涙を拭って僕は立ち上がった。
花畑を抜けると、町があった。
灰色の町。
「・・・・色が・・・・ない・・・?」
建物も
動物も
花も
人も。
すべてが灰色・・・・・。
あわてて自分の身体を見る。
「・・・・僕だけ・・・色がついてる・・・?」
青いTシャツ。カーキー色の7分丈のズボン。黒と白のボーダーのスポーツソックス。真っ黒のスニーカー。
灰色の町に浮くように存在する僕。
「・・・というか・・・此処は何処なんだろう・・・」
死んだということは確かだと思う。
いや・・・そう思いたい。
あんな腐れた世界に、もういたくないから。
「・・・・あの人に訊いてみよう・・・」
僕の視界に入った、灰色の女性。
髪を後ろに低く1つにまとめている。
表情は―――・・・読めない。
「あ・・・あのぉ・・・ちょっといいですか?ここって一体・・・・・・」
確かに声をかけて
肩を叩いて
目を見て。
話しかけたのに。
素通りはないよ・・・
それでもめげずに話しかける。
「ここは何なんですか?なんで僕だけ色がついているんですか!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
それでも
反応はなかった。
「・・・・はぁ・・・」
自然とこぼれたため息。
目に付く人という人に声をかけた。しかし、誰も応えてくれなかった。それどころか僕のことすらも見てくれない。
「・・・・どーなってんだよ・・・」
時間の経過が全くわからない。
灰色の町に灯りがついたことで、ようやく夜になったんだと気づく。
「とりあえず・・・ここで寝ればいいか・・・」
そこはビルの廃墟だった。
壁に寄りかかって
目を瞑る。
歩き回って疲れていたのか、僕はすぐに寝付いた。
風の音が子守唄のようにやさしく聞こえる。
どうでもいいですけど渚って名前は女の子につけたいです。何で男につけちゃったんだろう。
本当にどうでもいいですね。スイマセン。
あなたさえよければ次章でもお会いしましょう。三沢でした。