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第八話


ん?何か忘れてる…

あー!二股しっぽの猫ちゃん!


「どうしたハルカ殿?ボーッとしてないで中へ行かぬか?」


「あ、うん。えっとハルナちゃん少し聞きたいことが有ってね?二股しっぽの黒猫さんって知ってる?」


「二股の黒猫…あぁ、ネコマタ様の事かの?もうじき夕暮れになる故に港へ行けば会えるんじゃないかの?ネコマタ様がどうかしたのかの?」


のほほんとしているハルナちゃんに私が猫好きで従魔師だということ、そのネコマタ様がきっかけでヤエモンさん、ひいてはハルナちゃん達に会えた事を話す。


「ハルカ殿、従魔師だったとはのう…わらわ、拳闘士か何かかと思っておったぞ?」


「済まないが拙者もだ。」


「今度手合わせ願いたいぜ!」


「あれ?従魔師って最初に召喚チケット貰えなかったっけ?星3つまでのやつ。」


「なんと?!初耳だよアカネさん!……あ!有った!えと何々…ツインチケットって名前なんだ。えーと…選べる召喚チケット(☆☆まで)か、ランダム召喚チケット(最大☆☆☆まで)だって。なんか微妙(ビミョ)いね…」


選べる召喚チケットのほうが世界各地の魔物詰め合わせで序盤にテイム出来る魔物がリストに載っている。


スライムから始まってオークまでかな?強さで言えば最大レベル20くらい。こちらはレベルも上限まで上がってるので即戦力と言った感じだろうか。


ランダムはもう少し強めの魔物で最大30まで上がるみたい。こっちは初期レベルは1のままっぽい。


うーん…まぁ引くならランダムだよね。最悪ゴブリンみたいのが出ても進化させればオーガ系になるし特殊アイテムで別系統へ進化させることも出来るみたい。


「よし、決めた。ランダム、引きます!」


「思い切りが良いねぇ。そういうとこ大好きだよー!ナハハー」


大胆な告白は乙女の特権だよ!と笑うアカネさんはワクワクしている。配信カメラも私じゃなくてアカネさんを映していてリスナーも楽しそうだ。


「わらわも少し手伝おう。[この者に善きご縁を]〈祈祷〉」


ハルナちゃんのお祈りを経て早速チケットを使う準備に取り掛かる。


大きな魔物が出ても良いように庭先へ移動して召喚を始める。『ランダム召喚を行いますか?』のウィンドウに、はい を押すと魔方陣が折り重なり演出が始まる。


眩しい光が収まるとそこに現れたのは白い服装に白い髪、黒い瞳の可愛い女の子だった。


「おねえさんがわたしのますたーですか?」


「あ、え、そうだよ。名前はハルカ。あなたの名前は?」


「ゆきわらし…なまえはないの。ますたーにつけてほしい」


んーと、あぁ!ステータス画面を確認するとテイム中の魔物欄が追加されている。


名前 no name(名前を付けてください)

種族 雪童子 ランク ☆☆☆

レベル1

スキル 雪魔法 かくれんぼ 鬼ごっこ 甘えん坊


「名前かぁ…」

名付け…苦手なんですよ、私…

雪…スノウ…はダメでしょ、被っちゃうし。なんかちょっと似てるけど。

雪の花…せつかはどうだろうか?


「雪の花って書いて雪花(せつか)はどうかな?」


「ん、それがいい、です。わたしはいまからせつか。はるかおねえさんよろしく、です。」


はにかむ笑顔を向ける雪花…んにゃあ…!可愛過ぎでしょッ!


「ハ、ハルカちゃん!なにこの可愛い生き物!私のリスナーまで虜にしてるんだけど!」


・せつかちゃん可愛いな!

・ハルカさんまた女の子引っ掛けてるよww

・幼 女 マ ス タ ー ハ ル カ 爆 誕 W W

・幼女マスターは草

・確かにWW

・ハルナ姫ちゃん様は幼女ちゃうぞWW

・ハルカちゃんも悩殺されてね?

・本当だWWキマシタワー建設か?

・いやいや。アカネやないんやからWWW

・ハルカちゃんアカネに毒されてね?

・決めたわ…タカマガツハラスタートにします。ハルカお姉さま、今会いに行きます!!

・↑凸かまそうとしてるやつ居て草WW

・↑迷惑だけは掛けるなよ?


何気無く目に留まったコメント。

敢えて修羅の道を選ぼうとしている人が居る。

私と同じ志を選んでくれてなんだか嬉しくて私は何も考えずに言葉を返す。


「嘘ぉー、来てくれるんだ!一緒にタカマガツハラ統一目指そうねー!待ってるよ!」


・ハルカちゃんが嬉しそうで何よりWW

・アカネの配信のリスナー、皆アカネの緩さに調教されてるからガチ凸迷惑系リスナー沸かないんよな…アカネの人徳…なのか?

・アカネに人徳なんて…いや、あるかもな

・私達も合流してもいーですかー?ハルカさんの同盟所属したい!

・天下統一!!天下統一!!天下統一!!

・盛り上がって参りました!!


おー、なんかさっきの何気無いコメントで皆が沸き立っている。え…同接30万って凄くない…?スパチャも沢山来てるし!


「私に協力してくれる人が居てくれて感謝です。皆も一緒に国取り、しよ?」


首をかしげながらお願いしたらコメント欄が爆発する。


「あーあ、ハルカちゃん、今の仕草はいけないよ?ほら、ハルカちゃんの配信アカ急増してるよ?」


「そんな事ないで…んぇー?!に、に、20万人?!だって今日の朝まで8000人も居なかったのに…」


「ハルカ殿、どうしたのじゃ?」

私の袖をくいくいと引いたハルナちゃん。んーあざと可愛い。頭ナデナデしよ。


「えっとね、私は配信者ってお仕事をもう一つの世界でアカネさんとしてるんだけど、もう一つの世界から今私達が何をしているのか向こうの世界で見ることが出来てね。沢山の人がタカマガツハラからこの世界を冒険したいって言われてるんだ。私の目標を手伝いたいって言ってくれる人が沢山居るの!ハルナちゃんにも会いたいって!セツカにも、ヤエモンさんやジンゴさんもだよ!」


「そ、そうなのじゃな、うむ…恥ずかしいがわらわからも礼を言わねばな…!こほん、あー。リスナーの方々初めましてなのじゃ。わらわの伴侶に力を貸してあげてほしいのじゃ!」


・おいおい…ハルナ姫可愛すぎか…タヒんだな、俺ら

・可愛いかよ

・ん…好き!

・うおー!ハルナ姫可愛いなおい!

・今、会いに行きます。


「良かったね!ハルナちゃんの気持ち皆に届いたみたいだよ?」


「そ、そうなのじゃ?なんか嬉しいのう…はっ!ハルカ殿、そろそろ漁港に向かわねばネコマタ様が移動してしまうぞよ?」


「あ、そうだったね!それじゃ急ごうか!」


ハルナちゃんが言ってくれなかったらまた忘れる所だった。


セツカは召喚獣の指輪というアイテムに収納され持ち運べるので一旦収納。後で甘いお菓子とかあげないとね。


私達は漁港に急いだ。


「ハルカちゃん、今一度配信切ってるんだけどまだお互いのステータス確認してなかったよね?これ私のステータス、個人チャットに貼り付けとくね?」


「あ、すみません。そこまで気が付きませんでした。私のも送ります。」



アカネ 人族 職業 見習い剣士 LV5

HP80 MP42 SP20

物攻82

物防14

魔攻 8

魔防12

敏捷76

体力100

幸運40

固有能力 必殺


スキル

剣術 跳躍 軽業 歩法 投擲


固有技 必殺

予め設定している条件を複数クリアすることで相手を倒すことが出来る。使用後ゲーム内時間で240時間のクールタイムが必要となる。

設定技1 迦楼羅(かるら)

設定技2 半月陣

設定技3 未設定



ほえー、バリバリ攻撃速度特化ビルドかー。


でもここまで脳筋なのもアカネさんっぽいといえばぽいかも。


スノウさんはどんなビルドなんだろ?


盗賊とかかな?早く合流したいなー。


今脱獄RTAやってるんだっけ?


北の方から移動してくるならタカツミヤに合流したらすぐ同盟に加入出来るかも。


「ハルカちゃん面白いビルドしてるね!ペルソナバイカー好きなの?」


「父が好きで子供の頃から見てて旧作から新作まで全作網羅してますよ。いつの間にか部屋の中がフィギュアや腕輪だらけで…アカネさんも見事なまでの脳筋ビルドですね!」


「あははー、実は時代劇が好きでね。確殺流浪人シリーズは全部十回は見てるよ。固有の必殺なんて引いた時にはこれだ!!って思ったね。ジンゴさん辺りに弟子入りしようか悩んでる。」


「俺に弟子入りか?構わんが俺はまだ未熟な半端者だぞ?武器は槍や弓だからな。それに刀ならばヤエモンのが適切だろう。こいつ、剣聖と謳われたゴロウザエモン様の息子だからな!」


横で話を聞いていたジンゴさんがヤエモンさんの素性を明かす。


確か名字がサンモトだったよね…山ん本五郎左衛門といえば江戸時代の妖怪だっけ?魔王的なやつ。何か関係があるのかな?


「拙者がアカネ殿の師か?むぅ…教えるのは構わんが拙者はハルナ姫様の護衛だ。あまり時間は取れぬぞ?」


「それでも良いです!ヤエモン師匠よろしくお願いします!」


おーアカネさん楽しそうで何よりだ。私もテイマーの師匠見付けたいなー。


ちなみにこのゲーム師弟制度があって師匠の技を学び大幅強化することが出来る。


けどもその条件が厳しくて、師匠に課された課題も段々難しくなっていき最終的には単独ボス攻略なんかもやらされるのでその辺はちょっと考えものである。


「アカネさんおめでとう!ねぇ、ハルナちゃん。あそこに見える灯台が港?」


「うむ、正にあの灯台にネコマタ様は現れるのじゃ。そしてハルカ殿はとても幸運じゃのう?わらわ達フジミヤ家の血族のみがネコマタ様と会話を赦されておる。ネコマタ様は初代フジミヤ家のモンド様の相棒であり、タカマガツハラを守護する六柱いる守護獣のうちの一柱なのじゃ!」


「ほへぇー。そんな凄い猫ちゃんなんだねぇー。私、テイム出来るかな?」


なんだか不安になってきた。


けどそんなネコマタ様に会えると分かっているハルナちゃんはワクワクしていて楽しそうだった。


「ハルカ殿ならきっと出来るのじゃ!わらわが保証するのじゃ!……わ、わらわが選んだ伴侶なのじゃから…のう?」


……きゅん。


もうね、ハルナちゃん何回私をきゅん死させるの?

この子だけは絶対に守護るよ、私。



到着。ネコマタ様は夕日をバックに寛いでいらっしゃる。


はぁ…可愛い。癒されるなぁ…


あ、リスナーぽい人達発見!


頑張れって応援してくれるけどネコマタ様起きちゃうでしょ?


私は人差し指を顔に当ててシーッのポーズ。

分かってくれたのか静かに見守ってくれる様だ。

目をそらして顔が赤い人がいるのは何でだろ?



「ネコマタ様。ネコマタ様。フジミヤ家長女ハルナがお願い申し上げます。どうか我が伴侶異邦人のハルカ殿の話をお聞き頂けませぬか?」


「にゃあ(よかろう、ハルカとやら前へ)」


え?副音声みたいに可愛いにゃあと、渋いイケオジボイスが二重に聞こえる…?


「フジミヤ家ハルナ様の婚約者ハルカと言います。ネコマタ様のお導きでハルナ様とお会いすることが出来ました。まずはそれに感謝を。」


「にゃあ(苦しゅうない。合縁奇縁どれも同じ縁に変わりない。我はただそれを繋いだだけよ。)」


「ありがとうございます。本題に入りますね。ネコマタ様、私は従魔士です。一目惚れしました。うちの子になってください!」


「にゃ…にゃにゃあ(ほう…我を従えたい、と。真っ直ぐだな。モンドに似ておる…フンッ…良かろう…ならばその力を我に示すが良い!)」


『ユニーククエスト〈☆☆☆☆☆級〉 タカマガツハラの六守護獣 ネコマタ戦が開始されました。この戦いはソロとなります。パーティーを解散し開始ボタンを押してください。』


「にゃあ(多少なら待とう。だがあまり時間を掛けるなよ?)」


あっ、待ってくれるんだ。

じゃあ…スクロールを使用して、強化薬も用意してアカネさんともパーティー解散になっちゃうからライブの配信設定をして…と。

コメント見れない状態にしないと集中力切れるかな。


「あ、アカネさん。多分別の場所に移動になっちゃうぽいので私の方で配信します。それじゃ行ってきまーす!」


「えっ!ちょっ…ハルカちゃん、軽すぎじゃない?!あーもう!」

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