第二十二話
すっかり頭痛が引いたので一応授業には参加する。科目はダンス、うーん。
私苦手なんだよな…
簡潔に言えば身体を使った自己表現でしょ?
面倒くさがりで出無精の私にどうしろと?
……あ、そういえば最近身近にダンスが得意な知り合いが増えたじゃん。
深雪さん、いや、初音さんに教わろうっと。
ライブ映像なんかだと一人だけキレッキレな動きで観客を沸かしてて、PVではレベルを落としてるみたい。
聞けば元々ダンサー志望で、モデルと兼業でダンススクールの非常勤講師をやっているらしいから多分教えるのも得意だろうし。
とりあえず今日は❴恋はジレンマ❵の振付で誤魔化そうっと…
「うえー…私ダンス苦手なんだよねー。春風さんは?運動得意だったよね?」
「そこまで得意じゃないよ。けど、最近親交がある元地下アイドルグループの曲なら幾つか覚えてるからそれで乗り切ろうかなーと。」
「ほえー。春風さんやっぱり凄い!(やっぱりペルソナガールズの曲だよね?どの曲だろ?…ワクワク!)」
「全然そんな事ないよ。良かったら一緒に練習する?班行動もOKらしいし、一緒にやった方が楽しいし!」
「ほわわわ!わ、わ、私も一緒でも良いの?」
「勿論!折角だしあと三人集めよっか。あ、棚橋さーん。」
どうせなら五人で踊りたいからね。
最低限の交流がある、アイドル好きだと噂の三人組に声を掛けるとあっさり許可が出たので早速練習に。
「あれ?ここ、どんな振付だったかな…?」
ど忘れしてしまい息詰まり。
世麗那さんや朔久耶ちゃんに聞いても良いけど授業中だろうしなー。
うーん…仕方ない。
先生に隠れて、こっそり深雪さんに連絡を送る。
息詰まる前の所まで念入りに練習していた時、5分程でメッセージと動画が返ってきた。
広い場所で背後に噴水がある場所で音楽を流して踊っている深雪さんの動画だ。
もしかして大学の講義中とかじゃないよね?
深雪さんの動きは、どれも丁寧で踊るのが楽しいと全身で表してるのが見ていて伝わってくる。
体育の授業が終わる頃、また携帯が鳴った。
動画が送られてきて確認すると、ケットシーのエプロンを着けた初音さんと毬萌さんが、踊る深雪さんの動画を、左上に表示したワイプの動きを、講座の様に注意点などを事細かく解説している動画だった。
数十分で出来て良い技術じゃないと思うんだけど…ライブライフの編集班、相変わらず謎が深い。
「あれ?この二人、モデルのリンネとマリンじゃない?」
「え?え?あの噂ってホントだったの?この二人がペルガだったのって!」
「何これ、ヤバくない?この動画もヤバいけど冷k‥春風さんの交友関係が一番ヤバい!」
うん、その通りだよね、軽くヤバい。
二人とも元地下アイドルだけど、今では結構有名なモデルさんだよ?
毬萌さんなんてタレント活動しててバラエティ出てるくらいだし。
そんな人達からこんな貴重な動画、貰っていいのだろうか?
「あはは、知り合いが知り合いだっただけだよ。私は何もヤバくないって。」
うん、嘘は言ってない。
茜さんと仲良くならなければ今の私は居ないだろうな。
ホント感謝しかないよ。
それからSNSを交換し動画を貼り付けその場は解散した。
美術か…私芸術センス皆無なんだよなー…
この日はあまり調子の上がらない授業ばかりだった。




