第二十話
翌日の月曜日。
私は昨晩の強制ログアウトから続く頭痛に苛まれ、午前中の授業を休み、タクシーに乗り込み、病院へと来ていた。
付き添いは茜さん。
私の保護者役として着いて来てくれていて色々感謝が絶えない。
「でもよかったね。何かの病気とかじゃなくてー。私も偏頭痛持ちだけど、美空ちゃんのとは訳が違うからねー。VR適性体‥ねぇー。ニュースで見たことあるけど、実際に見るのは初めてだよー!」
そう。診察結果はVR適性体による頭痛。
科学が進み、VR技術が高性能になった昨今。
数万人に一人が診断されるそれは仮想現実で思い通りに身体を動かす事ができる代わりに、現実との差異により、脳が混乱し日常生活に支障が出たりと個人差はあるが、下手すれば現実での生活が出来なくなるレベルの人も居るらしい。
私はまだ軽い方で数時間も休めば治るみたいだが、重症の人の事を思うと素直に喜べない。
「そうですね。私はまだマシな方だった。けど重症の人の事も考えたら素直に喜べませんよ。……あれ?ハルラ‥さんじゃないですか?」
「んん?どれどれ…おぉ!ホントだー!おーい、ハルラっちー!」
私が目にしたのは電脳漫才師のハルラさん。私のファンらしく見た目を真似したアバターを使って、つい昨日拳を交えたばかりだ。
現実世界では初めて見たけど、ネットで検索すればこっちの容姿や経歴、趣味趣向などは直ぐに分かってしまう。
私はつい先日みた動画もあって直ぐに思い出して茜さんとそっちへ歩き出す。
「あら?…これはこれは、ハルカさんとアカネさんですね?こっちでは初めまして、ハルラこと佐柄ハルネです。」
「佐柄さんこんにちは。私は春風 美空です。」
「相原茜だよー、宜しくー。んでんでー、何してんのー?」
「相方の見舞いです。重度のVR適性体で検査入院してて。そうだ、お二人も会って行きませんか?」
「相方‥というとスロウさんでしたっけ?茜さんどうします?」
「少しだけ顔出そうか。あまり長居すると午後からの授業遅れちゃうよー?」
あ、そういえば平日だったなぁ。
頭痛で思考が纏まらないや…
「その顔、美空ちゃん忘れてたねー?」
「はうッ…!す、すいません。」
「あははー、良いよ良いよ。美空ちゃん、学園一の秀才なんだし、授業つまんないでしょ?けど親御さんとの約束があるから私には美空ちゃんを通学させる義務があるからねー。」
うぅー…そうなんだよねぇ…
私的にはIMOに引きこもってたいけど、最近仲良くしてくれる人が増えて楽しくなってきてるし、サボるのも学費を支払ってくれた両親に忍びない…
「すみません、頑張ります…」
「よしっ、その言葉が聞けたなら大丈夫ー。美空ちゃん、佐柄さん、スロウさんとこ行こうかー。」
「ほえッ?私も行って大丈夫なんですか?」
「今更何言ってんのー。学校までは桃っちが送ってくれる手筈になってるから大丈夫。何ならお弁当作って持ってきてくれるってー。」
「桃瀬さんが?うぅ…申し訳ないなぁ…」
そんな会話をしながら移動すること数分。
エレベーターを降り面会表にサインしてスロウさんの病室へ辿り着いた。




