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第五話

アカネさんと深雪さんとの初ライブから十日。怒涛の日々が過ぎ去り今日はINFINITE DESTINY Onlineのリリース初日。フフフ、あれから色々有ったよ。


目が覚めたらアカネさんが寝ずに色々と頑張ってくれたみたいで、私はアカネさんの指示で色々と動き出した。

まず私はアカネさんのライバー事務所ライブ・ライフに所属することに決まった。

アカネさんが設けた私のチャンネルには既に5万人を越える登録者が居て切り抜き編集された動画が数本。


例のショートカットで一位になった動画が数時間で百二十万再生を記録しどんどんと視聴数が増えている。


二位が色んなアングルから取られたアバターの動画が再生数二十万だって言うから凄さが窺えるだろう。


ライバーアカウントを事務所で開設してくれて登録なども済んでいるライバー用スマートフォンも支給され、正式契約を交わしたり、個人の口座も用意してくれててそこに記載された預金額をみてビックリ!


¥1,247,900が一日のスーパーチャット料として振り込まれていた。


怖すぎ…クラスメイトとか同じ学校、近所の人がこの事を知ったら襲われないだろうか?


なんて考えてたら茜さんからセキュリティの整った場所へ引っ越さないか?と言われる。


肝心の両親からの了承も得ていて後は私次第だと茜さんは言ってくれた。


まぁ住んでいるのはここから3駅離れた片田舎のボロアパートで四畳半の自室には荷物は私服が数着と細かな物程度で特に私物は多くないんだけどね。


所謂ミニマリストってやつです。


スマホには両親から暫く海外暮らしを楽しむと連絡が入っていた。


なんか仕入先で日本料理を出したら受けちゃったらしくて暫く滞在してくれとか言われたらしい。


ビザとかそういうややこしいのは我関せずだけど、本人達が楽しそうならそれで良いや。


とまぁ、色々有って私は茜さんの家にて一部屋間借りしており、そこを自室として利用していて現在INFINITE DESTINY Onlineを前に正座してリリース開始の18時まで待機している状態だ。心中整理していたら間もなく17時58分。一時間くらいあれこれ考えてたみたいだ。そろそろギアを装着して待機しておこう。



………


待機画面から突然綺麗な青空と八つの大陸を背景にタイトルロゴがドーン、って感じで現れる。


スタートするとそこにはティアラをした綺麗な女性が対面に座っていた。


『ようこそ、INFINITE DESTINY Onlineの世界へ。私はナビゲーターのマリーと申しますわ。』


「マリーさん、よろしくお願いします。」


『きちんと挨拶が返ってくるのは嬉しいですね。ケーキは如何?お紅茶も用意しましょうか?』


「えっとお気持ちは有難いんですけど結構です。嫌いなわけではないんですけど人を待たせているので。」


最近のAIって凄いんだね。リアルと遜色ない受け答えしてくれるし。


『フフッ、そうですか。さてまずはプレイヤーネームと見た目、そしてステータスと固有能力、所属国の五項目を決めて行きましょう。』


「プレイヤーネームはHALCAでお願いします。」


『HALCA様で登録しました。次に容姿ですね。ですが一つご忠告を。現実と差異が開けば開くほど身体の動かし方などに違和感を持たれる可能性がございます。もしも差異が開きすぎても一度決めた容姿は一部の例外を除いて変更できませんので悪しからず。』


マリーさんが言ってたのは身長とか色々なんだろうね。


そこは自業自得なわけだけどね。


うん、やり方は先日のレースゲームとほぼ一緒かな?あ、耳とか長くしたりスリーサイズなんかも選べるんだ。


いるんだねーエルフ。

あ、他の種族も選べるのか。スライム、ゴブリン、スケルトン、コボルトなんかもいる。

まぁ選ぶ気は無いけどねー。

顔も殆ど弄らないよ。

まぁ一部は少し盛ったり減らしたりしたけどこのくらい誤差だよね?

…うん、そんな風に思っておこう。


「はい…えとこんな感じでお願いします!」



『受諾しました。続いてステータスと職業、固有能力(ユニークスキル)を確認していきましょう。』


ステータスねー。

ステータスポイントが100あってそれを割り振る感じかぁー。

うーん、魔法も使ってみたいけど剣振り回してってのもアリかもね。困るー…と散々悩んだ結果こうなった。


ハルカ 人族 職業 見習い調教師 LV0

HP40 MP20 SP0

物攻26

物防10

魔攻24

魔防10

敏捷10

体力20

幸運20

固有能力 創造


スキル

テイム 従魔管理 蹴闘術 跳躍 魔闘


「あー…!気配察知と調薬取れないー!」


『フフフ、時間は幾らでも有りますのでゆっくりとお悩み下さい。』


「うー…でもアカネさんの話だとNPCから色々とスキルは取得出来るって聞いてるし…決めた、このまま行きます!」


『畏まりました。それでは最後に所属国家をお決め下さい。ゲームを進めていけば後から変更も可能ですのでお気軽にお考えください。』


出てきたのは五つの大陸の紹介。一つ一つをその一国が治めてるらしい。


騎士王が君臨するジェノビア王国。

人族と獣人族が多いファンタジー溢れる国。

ここはアカネさんのおすすめらしい。


権謀術数まみえるダルフィオ連邦。

色々な種族が暮らしている。

商業特化で生産職ならここって感じらしい。


聖女が治めるブライト法国。

人族主義の国で亜人は迫害される。

でも聖女ちゃんは可愛いらしい。


魔道が栄えているスパシオン帝国。

エルフや魔族が多い。魔物系スタートの人はここが多いみたい。

魔法使いが優遇される国で魔法スキルのない人は行っちゃダメ、奴隷にされちゃうよ!とのことらしい。


修羅の国タカマガツハラ。戦国時代の日本がモデルらしくて群雄割拠のやりたい放題。ここだけ難易度おかしくて別ゲーとか呼ばれてる。一国って訳ではなくて幾つもの国が乱立してるみたい。


難易度は上から下へと上がっていく仕様らしい。事前情報から私は決めていた。


「ーータカマガツハラで。」


『承知しました。タカマガツハラ大陸、フジミヤに照準を設定します。それでは良い旅を。…Au revoir!』


スタート地点はタカマガツハラのフジミヤって場所らしい。


え?なんでタカマガツハラを選んだかって?

猫ちゃんがね、居るんですよ。

私はでっぷり太ったふてぶてしい猫ちゃんも、綺麗な毛並みの可愛い猫ちゃんも全ての猫ちゃんを愛せる派の人間なの。


だからね、やっちゃいます!


目指せ!猫ちゃん百匹の夢のもふもふパラダイス!



「ひょわあぁぁぁああー!命綱無しのバンジーなんて聞いてないよぉおー!」


マリアさんが転送?をしてくれたと思ったら上空からお送りしています、ハルカです。

って!冷静に挨拶なんかしてる場合じゃないよ!なにこれなにこれどうしよう?

うわぁあー!空と海が綺麗だなーって和んでる場合じゃないし!ぶつかるぶつかるー!


「退いてー!っておろ?」


地面にぶつかる寸前に失速して足から着陸した。キャラメイクが終わって空から降りてくる他の人も同じようにして降りている。


ふぅー…焦ったよぉ。

えーと、まずは他の人の邪魔にならないようにここから少し離れてっと。


それからヘッドギアデバイスに登録してあるアカネさんとスノウさんに現状報告をしなくちゃ。


HALCA:〈タカマガツハラのフジミヤって所に居ます。そちらはどうですか?〉って感じで良いかな?


おっ、早速返信。ミユキさん…スノウさんからだ。


SNOW:〈私もタカマガツハラ。けど場所が違う。スワヌマって場所?多分ランダムで飛ばされてる可能性がある。今、なんかサムライに囲まれてる。〉


え?スノウさん大丈夫なの?!19時から配信しようって話していたのに捕まったりしないよね?


HALCA:〈それまずくないですか?逃げられない感じですか?〉


SNOW:〈試してみる。最悪戦ってでも逃げる。また連絡するね(^^)/〉


なんか軽い感じなんだけど本当に大丈夫かな?

心配だけど…アカネさんから連絡が来た。


AKANE:〈やっはろー(^∇^)ハルカちゃん本当にタカマガツハラに行ったんだ!私ももうすぐキャラメイク終わるよー!〉


HALCA:〈そうですよ!私の猫愛は不滅です…!あ、スノウさん情報ですけどタカマガツハラにはランダムで飛ばされるみたいです!〉


AKANE:〈まじかー(-ω- )とりあえずタカマガツハラ飛んだらまた連絡するねー!同じ所に飛べたら良いんだけど…〉


アカネさんとのやりとりを終えて改めて周囲を確認する。

うん、すっごい日本建築だ。

ちょっと遠くにお城もあるし。


あ、黒い猫ちゃんがいる!

しっぽが二股に分かれていてフリフリしながら私を誘ってるのかな?


「にゃあ」


着いて来い、ってこと?


猫ちゃんを追いかけていくとなんだか着物を着たお侍さんがあちこち走り回ってるし何か物々しい雰囲気?


「おい!貴殿は珍妙な見た目だな!噂の異邦人か?」


とか思ってたらお侍さんから声を掛けられた。

というかすっごい美形なお兄さんだ。

あ、猫ちゃんいなくなっちゃった…

なんていうか映画や特撮とかに出てる人気のある若手俳優さんみたいな感じ?

まぁ最近の流行り廃りは分からないんだけど。


「そうですよ。何かあったのですか?」


「いや実は姫が…むむ…何でもない、忘れろ!」


「そこまで言っといてそれはないですよ?もし良ければ情報を教えてくれませんか?何かお手伝い出来るかも。」


「ぬぅ…そうか?ならば少し手を貸してくれないか?拙者はヤエモンと申す。」


「ヤエモンさん!私はハルカって言います。それで何が?」


「……無関係な異邦人に話す内容では無いのだが、拙者の勤めるフジミヤ家の一人娘であるハルナ姫は少々お転婆な年頃でな。拙者は側付きを命じられておるのだが度々屋敷を抜け出ては悪戯をする困った姫なのだ。好奇心旺盛なハルナ姫は異邦人を見たら興味を示すやも知れんとこうして声を掛けて居てな。どうだろう、姫探しを手伝ってくれれば報酬を渡そう。」


凄い話してくれるじゃん…まぁそうじゃないとイベントが進まないんだろうけど。


ぴろりんと音が鳴りウィンドウが開く。


『ノーマルクエスト【ハルナ姫を探せ】が依頼されました。受注しますか?YES/NO』


おー。いきなりクエストですか。とりあえず受けてもいいかな。

あ、でもアカネさん達との合流間に合うだろうかな?取り敢えずやってみて終わらなかったらアカネさんに相談してそのまま三人でやってみても良いかもしれない。よーし!


「お手伝いしましょう。まずはどこから探しますか?」


「おお、忝ない!町中は探したが見付からんかった。外へ出るが何か必要なものはあるか?そこの店で買い足しておくといい。拙者はここで待っていよう」


「わかりました、ちょっと見てきますね。」


いきなりフィールドに出るのか。ならちょっと多めに買っても良いかもしれない。

ヤエモンさんが指し示した方にある商店へ向かい買い物をする。初期状態で3000メルを持っていて無事支払いも出来たので体力回復薬と魔力回復薬を少し多めに買っておいた。


「お待たせしました。それじゃ行きまーーー」


『ーーーきゃーー!た…助けてぇー!!』


「むむ…今のはもしや…!ハルナ姫ぇー!」


ヤエモンさんが悲鳴が聞こえるなり走り出してしまったので後を追いかける。

というか早いなヤエモンさん。

姿を追いかけるだけで精一杯だ。


今日はここまでです。しばらくストック切れるまでお昼12時更新となります。

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