第四十三話
暫くしたら皆が駆け付けて来た。
今攻撃されたらちょっとまずいかもだけど、アカネさんの方でフジミヤ家NPCによる防御部隊は手配してくれていたらしいので安心。
それぞれパーティを組んで持ってきた資材にて軽い防御陣地を形成。
と言ってもログアウト用の筵を敷いただけのキャンプセットなんだけどね。
設置した個人、若しくは所属する同盟メンバーしか使用することは出来ない仕様だ。
あー、早く織師とか服飾系の生産プレイヤー入ってくれないかな?
クッションとかが一つでも有れば寝心地は多少改善されると思うの。
閑話休題。
これがあれば魔獣は寄ってこないし、ログアウトも出来る。
サクヤちゃんの持っていた天幕セットに入り今後の作戦を練ることにした。
現在のリアル時間は18時30分、夕食などで落ちるメンバーもそろそろ出てくるっぽい。のでヒルゼン攻略開始は21時からということになった。
私、スノウさん、アカネさんの3手に別れ、それぞれから侵攻を開始。
遊撃手のセレーネさん、もっセルさん、サクヤちゃん、ソレビさん、ユイさん、セガールさんのゴリ押しパーティで本丸を落とす事に決まった。
私のパーティーはモハヤン舞侍の三馬鹿とメニーさん、ノノハさん。
アカネさんのパーティはハヤトさん、ショミーさん、チキさん、ゲンさん。
スノウさんパーティは琉歌さん、紗月さん、NPCの2人とオヤカタ。
パワーバランス的に、生産職の人達は振り分けてある。本当は師匠やヤエモンさん達を呼んでも良かったんだけど、フジミヤ領がガラ空きになるので我慢。
三馬鹿は基本アカネさんと行動を共にすることが多いのだが、アカネさんの鶴の一声で私のパーティとなった。
「モハメド達、プレイヤースキルは並だけどゲーム慣れしてるから便利だよー。ハルカちゃんも今のうちに人を顎で使う事に慣れといた方が良いかも。コイツら、私よりハルカちゃんに目移りしてるぽいからねー。」
なんて言われたらね…なんか断りづらくて。
いや、その横に並ぶ三馬鹿の悲しそうな顔を見て、『私から組んで下さい』と頭を下げ、何とか三馬鹿の矜持を保った。のか?
そしてスノウさんが引き連れてきたNPC2人。
アボウテングとカボウテングという名前らしく顔が一緒で、着ている服は白と黒かでしか見分けられない。
男女の区別も付かない中性的な可愛らしさをしている。
「アボウだぞ!じっちゃの仇とってくれるんだってな。けど、それはオレっちの仕事だからな!」
「カボウです!力を貸してくれて嬉しいです!あの…ボク、一生懸命頑張りますッ!」
こんな感じの生意気&素直系の双子だ。
スノウさんに抱き着いて嬉しそうに頬擦りしてるけど、スノウさんは無関心。
カボウは素直に離れた。
けどアボウは全然離れない。
それを見て紗月さんが引き剥がしに行ってるけど、力も強いみたいでぴったり離さない。
「アボウ、言う事聞かない子は狼のおやつにするよ?ほらそこの真ん中に居るハルカお姉ちゃん、怖い魔獣使いなんだからね?」
などと紗月さんからの見事なキラーパス。
「ひ、ひぇ…おやつはイヤだ〜!紗月、どうすりゃ良いんだ?」
「まずハルカちゃんの言う事は絶対。逆らったら怖い目に遭うよ?ここにいる人達の大将だからね。」
「わ、分かった。大将、オレっち素直に命令聞くからオヤツは勘弁してくれ〜!」
「えーと、あ、うん。そしたらアボウとカボウに命令です。まず、無茶はしない事。それから紗月さんや他の人達の言葉に素直に従う事。本当に嫌な事はきちんと断る事。この三つを守ってくれるなら後は好きにしていいよ。」
「ほ、本当か?それなら出来るぞ!な、カボウ?」
「うん、あんちゃん!ハルカお姉ちゃん、おバカなあんちゃん共々宜しくお願いします。」
キラキラとした笑顔を向けてくるカボウに不意に胸キュンしてしまった。
これは甘やかしてしまうかも知れない。
「あー、きゃわわ…ってダメダメ!私にはハルナちゃんが…」
「ハルナ…殿とはどなたですか?」
「あー、南西にあるフジミヤのお姫様だよ。私の婚約者。」
「そうなのですね。いずれお会いしとうございます。」
「なぁ、大将!フジミヤっていや、海の近くだよな?でっけえ灯台があって東の海を守ってんだろ?オレっちも海が見てぇ!山から眺めてたけど実際に近くで見てえんだ!」
「この作戦が終わったらハルナちゃんにも会わせるし見せてあげるよ?だから二人とも頑張ろうね。」
「おう!」「はい!」
『ユニーククエスト、《偉大な祖父との約束、双子天狗の願い》が開始されます。受注されますか?Yes/No』




