第三十七話
少しお時間を頂きました。再開します。あまりストックが無いので暫くしたら書き溜めに入ります…
「ほっ、ほっ!えーと、方角は…こっちか!スミレ、そこを少し左に曲がって!」
傷心した私はしばらくセツカ、ユウヒ、スミレをわさわさして気持ちを少し取り戻してスノウさんの待つ場所にスミレに跨がり、駆け出していた。
現在、あと一時間くらいの地点まで来ているけど、まだモハメドさん達とは合流出来ていない。
位置情報を送り合い、地点を擦り合わせもう少しで合流出来そう。
ちなみにモハメドさん達にコトネちゃん達が修行の旅に出た事は報告済み。
コトネちゃんとフレンド登録してなかったの痛いなー…
「およ?あれセザンヌっぽい?オーイ!モハメドさーん!」
「おオー!ボス、お帰りナサイでーす!」
「お疲れ様、ボス!逃がした魚は大きかったねー」
「はわわ…頭ナデナデ…する?」
「うぅー…ショミーさん、思う存分撫でくり回して下さい…はぁ…長身おどおど系お姉さんの撫でからしか摂取出来ない養分が…私を満たしていく…で良いんだっけ?」
ネットスラング勉強中の私にはこれで正しいのか分からないが、それでもショミーさんの撫でテクは“撫で道五段”…いやそれ以上かな?
凄く落ち着く…
二分ほど撫でて満足したのかショミーさんが頭から手を離した。
「ショミーさん、ありがとうございます。また何かあったら撫でて貰えますか?」
「はわわ…わ、私なんかでよかったらいつでも言っーー」
「だめ。ハルカを撫でるのは私の役目。」
透き通る空の様な髪に、フリフリのワンピース。
そして…
般若面。
違和感を煮詰めた様な姿には更に背中からは白い翼が生えた少女…
ではなく女性が私の頭を強引に胸元まで引っ張る。
「ごほっ…はぁはぁ…ほえ?…スノウさん!いつの間に?待ち合わせ場所から結構遠いんじゃ…」
「ハルカに会いたすぎて飛んできた。」
・スノウちゃんきちゃーーー!!!!
・うぉぉぉおおお!!
・やっと来たか!
・ペルガどんどん湧いてきよるな
・何それてえてえ
・てえてえニキ巡回おつかれ
・大人…?(一部を見て)の抱擁。
・まぁ見た目と年齢的には逆ですわな
・羽生えてる!天使?でも輪っかがねぇな
「えっ?ちょっ…わぁ!スノウさんステイステイ!感情パラメータ吹っ切れて強制ログアウトしちゃいますよ?」
「ん…ごめん。少しはしゃぎすぎた。」
何とか落ち着いたスノウさんを一旦座らせて、野営準備を施す。
こうしておけば周辺の生物は寄り付かない。
ここはヒルゼンの領内だが、地図を見た感じ町からは遠そうなので腰を落ち着けられる。
「同行者の方は良いんですか?置いてきちゃったんですよね?」
「ん。座標送ったから暫くすれば追い付く。それより私のユニーククエストの説明…するね。」
スノウさんはゆっくりと話し始める。
ここヒルゼンの地はスノウさんが修行していた地と争っていて山の元主…大天狗の仇だという。
スノウさんはNPCと天狗山でスタートした二人のプレイヤーと共にヒルゼンを打倒し、天狗山に安寧をもたらす…というのがストーリー。
正直NPCは血気盛んな利かん坊で、プレイヤーは自分達のやりたい放題で統制も取れない状態。
こんな状態で都市を落とせるとはとても思えないと言うのがスノウさんの本音である。
「なるほど…それじゃ私達が手助けすれば何とかなりますか?」
「多分…けどさっき言った四人は必要不可欠…力で屈服するしかない。だからハルカの出番。」
「分かりました。そろそろ来ますね…何か喧嘩してるっぽいですけど…」
「すごい。何で分かる?」
「ふっふっふ…秘密です。」
従魔王となった時に得られたスキルが4つ。
そのうちの一つが〈気配把握〉である。
半径三キロ以内なら人、魔物の区切りなく全てを感知出来る。
二人は見る見る内に近づいてくる。
「テメェ!紗月!アタシがスノウのとこに先に行くっつってんのに邪魔ばかりしやがって!」
「フッ…脳筋アンポンタンの琉歌には無理だ。ワタシがスノウ様を支える。だからどっか行ってくれないか?」
「「あんだと〜?!」」
白髪に褐色肌の猫獣人、翼と角、鱗を生やした赤髪の女性が姿を現す。
「ね?」
スノウさんは、はぁ…と溜め息を吐いて私に視線を向ける。
呆れられたのかな?
「ハルカは凄い。どんどん強くなる。私も負けない…お馬鹿たちを連れて来るね。」
「いってらっしゃーい。」
チキさん達も驚いた表情をしている。
ショミーさんに至っては、私をまるで怪物を見るかのような目で見始めた。
誰も察知出来ていなかったということか。
まぁでもこの気配察知察知かなりの優れものぽいからね。
スクロールやポイント交換で手に入る感知系は〈気配探知〉で精々が半径二百メートルらしいのでどのくらいぶっ壊れなのかはお察しである。
周辺の採取をしながらスノウさんを待つことにした。




