第三十六話
「それじゃ三分後に試合を始めるよ。」
「分かりました。」
こうしてコトネちゃんと試合をする事になった。
決闘システムを起動してデスペナ無しの試合形式に設定。
これで死に戻りは失くなった。
心置きなく戦える。
「さて…時間だよ。準備はいい?」
「ええ、何時でも良いですよ。羽更流槍術免許皆伝…精霊槍術士コトネ…参ります!」
私も何か名乗った方が良いのかな…よし。
「武帝の弟子、我流。ハルカ・フジミヤ…参る!《創造》〈跳躍〉〈魔闘〉〈蹴闘術〉…先手必勝!バイカーシューゥゥトォッ!!」
・我流は草
・そういや師匠の流派知らんな
・北斗◯拳じゃねえの?
・確かにあの世界寄りの顔だが…
・ハルカいきなりフルスロットルやん
・コトネちゃんの突きはええな。こりゃ武道やってる人の動きだわ
・調べてみたが羽更流っての古武術の一派らしいな、鎌倉時代から存続してるっぽい?
コトネちゃんの鋭い突き。
跳躍で避けて攻撃を躱す。
遅れてアヤさん、サヤさんも構える。
バイカーシュートの圏内なんだよね、先ずは一人目…!
「フガッ…!」
「アヤのバカ!どうして避けられないんですか貴方は!コトネ様、お気を付け下さい!」
「流石はおねえさま。早々にこちらが不利に…でも…負けません!火炎槍!」
「うおっと…危ない危ない。こりゃ余裕こいてると負けちゃうな…セツカ、ユウヒ、行くよ!〈因子結合〉〈魔纏・闇氷〉…〈氷獄乃女王〉!!」
・でっか!
・えっろ
・胸元ばっさーなっとるやん
・三体結合…ってこと?
・やべー、どんどん化け物染みてくな…
黒暗色の混じった青の着物、手足は大きな氷の刃が覆っていて私の目線も五十センチくらい高くなっている。
仮面は猫と狐、両方が肩に付いた状態で私の髪も青と黒のハーフカラーだ。
元のピンクは何処かに行ってしまった。
まぁ、何て言うんだろ…うん、アレだよ…
特撮に出てくるお色気担当の悪の女幹部ってやつが一番想像しやすい。
胸元ばっさーってはだけてるし。
そこまでプロポーション自信ないんだけどなー。
まぁ茜さんと深雪さんには余裕で勝てるけど。
ぶっつけ本番の秘策中の秘策、三体結合。
実は師匠の好感度が上がって出たジョブに移動中、切り替えた時に出来るようになったんだよね。
【従魔王】
…これが新しい私のジョブだ。
ランクはTEAR4の中でも上位…五次職と同等の強さだ。
勿論バイカーシュートに代わる新たな技も習得している。
「〈氷獄拳〉!」
拳に装着されている氷刃でサヤさんに殴り掛かる。
「おねえさまが拳?マズイ!サヤ、避けーー」
「ごめん、ちょっと遅かったね。後はコトネちゃんだけだよ?」
顔面にクリーンヒットし、結界内から吐き出される。
残りは一人。
「クッ…私も手の内を全て晒しましょう…羽更流一の型…螺旋風!」
「うわっとと…あちゃー…それ諸に食らったら私負けてたねー…失敗失敗。」
緑の玉が槍に吸い込まれる。
手首の回転、腕の撓りを加えた一撃が私の左腕を捕らえる。
肘から下は千切れ、血液を表す赤いポリゴンがダラダラと垂れ始める。
油断しすぎだよ私…
掠めただけでこの威力だ、諸に食らったら負ける。
「ふぅ…今の私の全力で行くよ。偽リノ黒… 氷牙期!」
轟々と吹雪が吹き荒れ始める。
みるみる内にコトネちゃんの体力を奪い、息が荒くなる。
酸素さえも凍らせやがて身動きが取れなくなる。
……私の勝ちだ。
「断罪乃刃…凍狼剣。」
「うわぁああ…私の負け…ですね…完敗です…アヤ、サヤ、分かっていますね?」
「はい…身の程を教えられました。あのような高みに登るには相当な修練が必須…いつか私も…!」
「コトネ様の言う通りだ。私とハルカ様の間には埋まる事のない深い溝がある。私はこの溝を飛び越えねえと…!」
三人共神妙な顔つきになりアイコンタクトをしている。敗北から何かを学んだのだろう。
「うん、私も少し焦ったよ。左腕も千切れちゃったし、ナイスファイトだよ!ところで同盟加入の件なんだけーー」
「分かっています…まだ未熟な私ではおねえさまの事を守るなど到底不可能…大陸を回り精進します。」
え?もしかして入ってくれないの?
ここで見過ごす訳には行かない。
何がなんでも槍部隊長になって貰わなければ!
「え?ちょっ…合格だから!お願いだから同盟に入っーー」
「では私達は行きますね。修行をしてまたおねえさまの前に姿を現します。その時まで待っていて下さいね!では…!」
転移アイテムを使い何処かへ去ってしまう三人。
あれ…?
私もしかしてミスった?
・ハルカ強すぎひん?
・こりゃソロで優勝だわな
・アカネが書類整理配信の中でハルカの配信を見てるんだが、嫉妬で狂いそうな顔してたのに三人が去ったら腹抱えて大笑いしてらww
・何それおもしろ
・逃がした魚は…大きいな
・多分二メートル級の本マグロやぞ
うぅ…やっぱりやらかし案件だった。
一応誤解を解くために謝っておかないと。
「後で切り抜きで投稿する予定なんだけど、コトネちゃーん!カムバーック!〈華天〉には貴女のような強者が必要なんだよー!部隊長の地位を用意してるからー!私、シークレットジョブで五次職並みのステータスだから少しずるかったよね!ごめんなさーい!これ見たら〈華天〉の拠点に来て下さーい!」
・草不可避
・これは笑うわ
・ハルカの思い、コトネに届かず
・見てくれるだろうか?
・個人宛のメッセージを切り抜きで出すとか前代未聞ぞ
・シークレットジョブなんか、強いわけだ
・個人情報ぽろぽろ出すなぁー
はぁ…とりあえず…
スノウさんとこ向かお…
それでいっぱい慰めて貰うんだ…




