第三十一話
私が移動を終えるとアカネさんから話を切り出してくる。
「そういえば昨日のセツカやユウヒとの融合?じゃなくて〈因子結合〉だっけ?あれってどのくらい能力値上がるの?スミレとも出来たりする?」
「そうですね。〈因子結合〉はセツカが瀕死の状態になった時に覚えたスキルで私の切り札ですからね。そこは秘密です。あの時このスキルが無かったら今回の遠征は失敗していたはずです。セツカとユウヒは出来るんですけどスミレはまだみたいですね…多分好感度とかの隠しパラメーターが足りないのかも。」
実際は三倍まで跳ね上がるのだが、一応内緒で。
もうすぐ対人イベントが来るからね。
それに配信もしてるからまだ見ぬ敵に易々と情報を与えるつもりはない。
今は仲間だが、イベント終了時までは敵でもあるのだ。
そう易々と教えられない。
「あはは…ハルカちゃんガード固すぎ…こりゃー、私の目的バレちゃってるかな?」
「黙秘します」
はい、バレバレですよ。
とは言える訳なくただただニコニコしておいた。
・アカネの目的ってなんだろ?
・知らないのか?俺も知らん
・イベント関係じゃね?確か対人イベやるはず
・じゃあハルカはそれを察してたってこと?読みつよつよじゃねえか
「あ、アカネさんってイベントは誰と組むんですか?もしトリオが決まってなかったら一緒にどうでしょう?セレーネさんも誘って。」
「セレーネは、ソロ、タッグは出るらしいけどトリオ、カルテット、クインテット、シクステットは決めて無いはずだよー?そこに居るんだし聞いてみたらー?」
「と言うことでどうでしょうか、セレーネさん?」
「ーーッ!!謹んでお受け致しますわ!」
即答で了承が返ってきた。
隣にいるもッセルさんは頷いており、反対隣のサクヤちゃんは少し悲しそうな顔をしている。
「折角ならシクステットも出ちゃいますか。もッセルさん、サクヤちゃん、一緒にどう?」
「ふふふ…僕で良ければお相手しよう。」
「ハルカお姉様と一緒に出たいです!」
「よしよしー、セレーネさん、もッセルさん、サクヤちゃん確保ー!あと一人はスノウさんはどうだろう?それまでに合流出来たらだけど。カルテット、クインテットはどうしようかなー。私的にはクインテットはペルソナ・ガールズが見たいから、他の人を誘うつもりなんですけど。マリンさんやリンネさんが厳しそう?」
毬萌さんも初音さんもモデルやってて忙しいみたいだし、私の望みは叶わなそうかな?
なんて思ったら雇用主からの鶴の一声、アカネさんが動く。
「そうだねー。スノウの予定ではあと何日かは拘束されるみたいだけど、私達も遠征を繰り返してなるべく早く北へ向かってみようか。マリンとリンネは都合が合えば参加出来るんじゃないかな。ハルカちゃん、私と組んでペルソナ・ガールズやっつけよ?ユイ、スケジュール合わせられそう?」
「ちょっと待ちなさい…これなら別の日に回しても大丈夫そうね。一週間分午後から空けとくわ。先方には私から伝えとく。」
「流石ユイだねー。その手腕惚れ惚れする。」
「あ、方針決まっちゃいましたね…とか言ってる間に五分過ぎましたね。それじゃヤンスさん、自分の意見を書いてから順番に書いてって貰えますか?」
「お安いご用でヤンス!あっしの考えた同盟名は…〔疾風迅雷〕とかどうでヤンしょ?」
「ふむふむ…シンプルにかっこいいですね。次、舞侍さん。」
「うむ…こういうのはシンプルにだな…〔赤備え〕はどうだ?」
「今のところ赤い装備ってアカネさんくらいですからね、次モハメドさん。」
「うーン…〔天上天牙〕ナンていカーがデスかー?」
「ふむふむ…かっこいいねー。オヤカタとゲンさんもお願いします。」
「お、おう。楽園と書いて〔パライソ〕っつうのはどうだ?」
「俺は〔フジミヤ武士団〕かねー。あまり良い案が浮かばねえや」
「男子は以上かなー?因みにはやとは〔最上〕、セガールからは〔第六天魔殿〕、ソレビは〔トゥインクル☆スター〕、メニーは〔百華〕が良いって意見が来てるわね。ユイ、ショミー、もッセル、チキ、ノノハ、サクヤ、私、ハルカちゃんの順で発表しちゃおうかー。あ、ヤエモンさん達も意見あったらどんどん言ってねー!」
〔月光〕〔黒猫絆〕、〔梁山泊〕、〔新撰組〕、〔烈火〕と上げられ次はサクヤちゃんの番。
「〔仮面武闘会〕はいかがでしょうか?」
「ほうほう、なるほどー。ペルソナ・ガールズと私のモチーフにしてるペルソナバイカーを掛けてる感じだね。セレーネさんは?」
「そうですわね…高貴なる者達の義務…〔ラファエル〕なんか如何でしょう?」
「セレーネさんらしい意見ですね。素敵です!アカネさんは?」
「〔閃片蛮華〕…閃きに片方の片、野蛮の蛮に画数多い華だよ。昨日のハルカちゃんの配信で同盟の名前のくだりがコメント欄で流れててつい書き込んじゃった、てへ☆」
・あれアカネだったのかWW
・あかん、笑ってしもた
・作戦行動中に配信見てんじゃねえWW
・てへ☆じゃねえよ、年考え…うわぁ、なにをする!離s
・南無 -人-
「あー!あれですか。チラッと見てましたよ。ふむふむ…アカネさん、よく私の配信見る余裕有りましたね?あ、ソウジロウさんが指揮してくれてたからあまりやることなかったとか?」
「ギクッ…ソ、ソンナコトナイヨ。イソガシカッタヨ。そ、それよりハルカちゃんの候補は?」
「はい。すごく悩んだんですけどね。あ、字に起こしますね。〔火華天翔〕っていうのはどうでしょう?」
「おぉ…良い響きだね。火華天昇…縮めて華天なんかも良いんじゃない?」
とアカネさん。私もこれが良いかも。
「いっそのこと〔花火〕はいかがでしょうか?わたくし達でこのタカマガツハラにドカンと一発大きな花火を打ち上げませんこと?」とセレナさん。
「〔花火〕…良いかも!」
ともッセルさん。
「あぁ、俺も賛成だぜ!」
と言うのはゲンさん。
「片仮名表記で〔ハナビ〕はどうでやんす?」
「それも乙やな…よっしゃ。俺は片仮名の〔ハナビ〕でええと思うで!」
「舞侍サん、素が出てイマすよー?私は漢字で良いと思ーいまース。」
と、三バカ。
舞侍さん、素が関西弁なのかな?
向こう出身なのかも。
…モハメドさん、こんな変なイントネーションだったっけ?キャラ付け?
・花火ええやん
・おれも賛成や
・誰もふざけないとかやる気あんのか?あったわ。
・↑やる気しかねえ
「意見が出揃ったところで投票しますか。ここから絞り込んでいきましょうかねー。投票で良いかにゃー?よっこいしょ」
投票箱と書かれた箱をインベントリから取り出し、皆の中央に置いたアカネさん。
紙とペンはそれぞれ持っていて、皆各々に書き出してる。
私も《華天》と書いて投票箱に投入する。
「んじゃ開票してくよー。ちょっと待っててねー。」
アカネさんが黙々と集計していく。
皆がそれをじっと見つめている。
斯く言う私もドキドキしている。
どうなるのかな?
「集計終わったよー。ハルカちゃん、発表お願いねー。」
「ほえ?私ですか?」
「勿論だよー。この同盟の盟主はハルカちゃんでしょ?しっかりしてにゃー」
「あ、そっか。では僭越ながら私が発表させてもらいます。どれどれ…」
なるほど、そう来たか。
「それじゃ発表します。同盟の名前は〔華天〕に決まりました。タカマガツハラの夜空に大輪の華を咲かせてやりましょう!」
「「「うおぉぉおー!」」」
こうして私達の同盟の名前が決まった。
〔華天〕…この名を背負って私達はこの世界で生きていくんだ。




