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第二十一話

セツカ、一緒に戦おう。


スキルを頭の中で思い浮かべると、私の姿は氷の結晶を象った白い着物に赤の帯、その上から着物を邪魔しない程度の鎧、狐のお面を身に纏っていた。


「アカネさん、セレーネさん、避けて!!」


これが今の私の全力だ!!


「《創造》!〈因子結合〉=フリージングスタイル!行くよ!!〈倍加〉〈跳躍〉〈魔纒・氷属性〉〈蹴闘術〉〈渾身撃〉…必殺…バイカーシュートッ・アイシクルッ!!」



倍加で威力の増強、跳躍で打点を高くし、魔闘術から進化した魔纒・氷属性で地形補正効果を獲得。


これによりダメージが更に上昇して蹴闘術で足技を強化、更に渾身撃…!


フリージングスタイルは相手にダメージを与える毎に相手を凍結状態にしていく。


連撃を加えて芯まで凍らせて蹴り砕く。


これが正真正銘、今の私が出せる最大の一撃!!


「はぁ…はぁ…はぁ…これで終わ…え?」


半分凍り付けになりながらもピンピンしている大男…あ……炎で氷を解かしている?


私の全力でも通用しないの?


「ふむ。よい攻撃だな…娘よ…お主、中々の逸材ぞ。…名は何と言う?」


「へ?」



「まぁよい。さっさとこれを片付けようか。……アイゼンよ、お主と同道するのはここまでだ。我はこの者で少し暇潰しをするとしよう。今まで世話になったな。」



「な、何だと!?リンドウよ、どういう事だ!!」


「なに。お主は仕えるに足る主ではなかったと言う事だけの話だ。我は新たな目標を得た。」


「何をバカなことをい…ぎゃー!!」


・あぼんした

・汚い花火だな

・ハ◯ト様殉職

・あのラ◯ウすげえつええな

・おえぇぇー



アイゼンの領主に吹き飛んだ大男の左手がアイアンクローを発動。


アイゼン領主の顔面が爆ぜる。


ーーまるでザクロの様に…


その左腕は元の鞘に収まるかのように大男の左腕にすっとくっついた。


「質問を変えようか。力を欲するか?娘よ。然れば我は答えようぞ。」


『NPC 求道者 武帝リンドウ・ライカンが貴方を弟子にしたがっています。師事しますか? YES/NO  ※この選択は保留出来ません。十分以内に選択してください。』


私は思わず気が抜けてその場にへたり込む。こんなの有り~?!


「ほえ?…待って!アカネさん、セレーネさん!攻撃中止してください。」


「何がどうなったの?ハルカちゃん、説明してー!」


困惑するアカネさんを落ち着かせ、破壊衝動を何とか抑えた満身創痍のセレーネさんに回復薬をありったけ手渡す。


二人ともどうにか会話出来る状態になり、大男…リンドウが私を弟子にしたがっている事を説明する。


「まさか…!?ハルカちゃん、私は受けるべきだと思う。時間がないんでしょ?とりあえずYESを選択した方が良いよ。」


「アカネさんの直感は信じるに値しましてよ。ハルカさんがお決めになって下さいまし。」


とりあえずYESを選択すると友好NPCカラーの紫に名前の表示が変わり、私のステータスに師匠 リンドウ・ライカンの文字が追加された。


「えっと、リンドウさんだよね?名乗らずすみません。私はハルカ・フジミヤ。フジミヤ家の次期当主で異邦人です。リンドウさんはどうして私を弟子にしたんですか?」


「決まっている。ーー我の極めた武術を後世に遺すため。そして戦場に朽ち果てるという我が希望をお主は叶えてくれそうだったからな。そしてーー」


リンドウさん…否、師匠は一度話を区切る。何だろう、この威圧感は。けど自然に頭に入ってくるような言葉の節々に温かみを感じる。


「はい。」


「ーー…そしてなによりその目が気に入った。それだけよ。……これがアイゼンの領主たる証、龍の宝珠だ。持っておけ。」


「これは…」


金色に輝く丸い玉。


よく見てみると、東洋の龍がうっすら見えていて、全体的には爬虫類の目に見えなくもない不思議な印象を受ける。


手に持つだけで凄い魔力を感じて、戦いの傷も癒えステータスの体力バーがみるみる内に回復していく。


凄いなこれ…もしかして師匠はこれを持っていたから不死身に近い状態だったのかな?


『エリアアナウンス:タカマガツハラ プレイヤー ハルカ・フジミヤが[竜の宝珠]を入手し、アイゼンの領主になりました。三つの地を所有しているため新たなシステムが解放されます。エリアシステム[経営政策][役職割振り][開拓地設定]が解放されました。』


「おろ?また何か出たねー。ハルカちゃんは歩くビックリ箱か何かかなー?」


・歩くビックリ箱は草WW

・何も自発出来てないアカネさん辛辣すぐるWW

・そこイジッてやるなWW

・師匠獲得おめでとー!

・コウタロウさんイケオジすぎて濡れる

・お疲れ様ー!強敵との闘い、見事でしたー!


「はぁはぁ…ふぅ…ハルカさん、お見事でしたわ!わたくし、何とか気絶せずに済みましたの!アカネさんとハルカさんのお陰ですわ!」


回復薬をがぶ飲みし終えたセレーネさんがウキウキした様な表情でお礼を述べてくる。癒されるぅ。


「セレーネさんもお疲れ様ー!そうだ、リンドウ師匠!今住んでる場所とか拠点って無いですよね?」


「うむ…そうだが、それがどうした?」


「私の同盟に入ってくれませんか?住む所も用意しますし、何なら他の同盟の面子にも稽古を付けて貰えたらなー、って。」


「あまり群れるのは好かんが…良かろう、この武術を広める我が本懐よ…!」


「わーい!って……強ッ!レベル87で第五次職?!あれ?五次職って100から解禁じゃ?武帝って他にも居るんですか?」


一般的には二次職が50、三次職が70、四次職が85、五次職は100となっているはずだ。


「知らん。強いものを屠っていたらいつの間にかそうなっていた。武帝は我以外に一人しか()らん。」


ほえー。実は師匠って凄い人?

いや、これだけ強いんだからそりゃそうか。いつか超えられるだろうか?


ううん、違う……どれだけ時間が掛かっても超えなきゃだめなんだ。


弟子は師匠を超えてこそ……って昔から伝えられているからね。




うん、決めた。


全部吸収して強くなってやる!


第二目標は師匠…武帝リンドウ・ライカンを超える。それが私の現状に置ける答えだ。

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