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第十九話

「おやおや、どうやら珍客のご登場らしい。君の名前、聞かせてもらえるかい?」


「ペルソナ・ガールズ、メンバーのサクヤと申します。以後お見知り置きを。ハルカ様、私を同盟に加えて頂けますか?」


紫色の着物を着た冷静そうな美少女だ。


前髪はぱっつん、後ろは腰辺りまで伸びていてそれを白いシュシュで纏めている。


サクヤさんと名乗った少女が私に触れると、気分が少し楽になっていく。


これは…治癒魔法?


コンソールを操作しサクヤさんを同盟に加入させる。


サクヤさんと一緒に着いて来た人に手を差し伸べられ立ち上がると後方に下がるように移動した。


その人と仲間らしき人達がエトワールさん側のプレイヤーやサンガの将兵を一瞬で無力化していく。


この人達…強い。


「おや、サクヤくんだったのかい。随分と雰囲気が違うじゃないか。不良キャラは辞めたのかい?」


「ええ。もう私も16なので落ち着く時期なので。エトワール、貴方はまたアカネさんとセレーネのストーキングですか?芸のない犬ですね。」


サクヤさん、年下だったのか。


綺麗な顔立ちでお人形さんみたいだ。


「ククッ…私を怒らせようなんてしても無駄だよ。どうやらハルカくんを戦わずして倒す作戦は失敗の様だ。サクヤくん。君ごときの能力で私に勝てるとでも?」


「貴方ごときハルカ様のお手を煩わせる訳には行きません。私で十分でしょう。」


「小娘が!」


エトワールさんが得物…鉄扇を胸の谷間から取り出し振るうと鉄扇の上部分から細い針のようなものが飛んでくる。


危ない…!と思った時には全ての針が落ちていた。


サクヤちゃんの手からは黄金のオーラが出ている。


もしかして全部殴って落としたの?


「チッ…その光、光魔法かい?さっき治癒魔法を使っていたが…そんなジョブ知らないなぁ。」



「私は特殊職の月巫女。夜は私の領域です。戦闘も回復も両方こなす少し扱いの難しい職ですが。まぁ貴方との相性は良いみたいですけどね。ハルカ様、ここは私に任せてセレーネの救援に。罠に嵌められた様です。」


麻痺抗薬やら魔力回復薬を飲んでいた私にサクヤちゃんがそう叫ぶ。


じっと吸い込まれそうな青い瞳を私に向けてくる。

その真剣な瞳は嘘を言っている様には見えない。

信じても良さそうだ。


「分かったよ、サクヤちゃん。任せる!スミレ此方に来て。位置入替…指定セツカ。」


~~


「ご期待に答えましょう。さぁエトワール、ここで地べたに這いつくばらせて差し上げましょう。」


移動する瞬間、サクヤちゃんの笑顔が一瞬見えた。頼もしい笑顔だ。


でも…あの笑顔何処かで見覚えがあるんだよなー…


「チッ…厄介な奴だ。ハルカくんにも逃げられたしやる気失くしちゃうなぁ。」


「逃げられるなら逃げてもどうぞ?まぁ、逃がしませんが。」


「ふん、調子に乗っていられるのも今のうちだよ?ハァッ!」


エトワールが鉄扇を上から振り下ろす。


私はそれを横飛びにかわすとボディブロウを叩きつける。


こんな大きなものをぶら下げて、胸元をざっくりと開いた着物なんて破廉恥だ。


いつもいつもアカネさんやセレーネを付け回して邪魔をしてくるこの邪魔者には本当に腹が立つ。


今度は美空…いえ、ここではハルカお姉様と呼ぼう。ハルカお姉様にまで纏わり付こうというのだから反吐が出そうだ。


はぁ…それにしてもハルカお姉様、とても素敵だった。


学校で見かける時とは違って楽しそうでイキイキとしている。


「ウガッ!」


学校でのダラダラとやる気のない姿もとても可愛らしいけど、この世界で戦っているハルカお姉様はまるで水を得た魚のようだ。


あの日…私を助けてくれた時からずっと…お慕いし、見守っています。


「グエッ!調子に…乗るな!」


そんな推しが配信を始めてあまつさえ、私に任せる!なんて言ってくれるなんて今にも天に昇りそうな気分だ。


あぁ…好き…!


今ならエトワールくらい軽く捻ってしまえそう。


というか捻ってやる!


「月光結界…地閃!」


私の発動した結界によりエトワールは地べたを這いずる虫のようだ。


このまま潰してしまおう。


「これで…終わりです。月光結界…鳳仙花。」


「グアッ!!はぁ…はぁ…今日のところは私の敗けのようだね。さっさと退散しよう。」


「あら?ハルカ様に降るのでは無いのですか?」


「あれはハルカくんとの約束であって君との戦いでは無効だよ。それじゃまたね。」


『サンガ家当主エトワールが敗北を受諾し、サンガ家との戦に勝利しました。以降サンガの地はフジミヤ家のものとなります。』


同盟アナウンスに勝利の文字が現れた。


これで仕事は果たせたようです。


この勝利をハルカお姉様に…!





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