第十六話
「ハルナちゃん、レベル上げ…じゃなくて狩りに行くけど行く?」
「もちろんなのじゃ!」
「アカネさん達はどうします?」
「あー、私はパス。代わりにモハメドと舞侍連れてってくれる?二人ともタカマガツハラのフジミヤ引きガチャでまだレベル低いし。」
「了解です!宜しくお願いしますね。気楽に行きましょうー!皆で楽しむ!がうちの同盟のモットーですから!」
舞侍さんは侍スタイルの爽やかイケメン。
アカネさんと似たようなビルドみたい。
モハメドさんは中東風の浅黒肌のイケオジだ。召喚士らしく何故かラクダに乗っている。どこで捕まえたんだろ?
他にもメンバーを募集するとセレーネさん、もっセルさん、ユイさん、セガールさん、ソレビさん、チキさん、はやとさんショミーさんが参加することになった。
チキさんは女性プレイヤーで弓使いらしい。
折角なので3パーティー作って例の うり坊広場へ向かう。
私のパーティーはハルナちゃんと護衛で着いてきたジンゴさんの三人プラス従魔のフルパーティー。
二班はセレーネさん、もっセルさん、セガールさん、舞侍さん、モハメドさんの五人パーティー。
三班が、ユイさん、ソレビさん、チキさん、はやとさん、ショミーさんの五人パーティー。
はやとさんは料理人で作務衣を着た長髪の美丈夫だ。何故か鉄鍋とお玉を常備しててそれで戦うらしい。
食料系のアイテムを後で渡して出発前に何か作って貰おうっと!
ショミーさんは錬金術師で回復&投擲担当らしい。ボサボサで延び放題な髪型だけど女性で意外とスタイルも良さそう。
同盟のシステムで連携編成というのがあって同じ同盟ならば五個パーティまで経験値、ドロップを共有できる。
だけど半径20メートル以内という制約があるのでフジミヤに残してきた他の同盟メンバーはレペル上げ出来ないというのは少し残念だけど。
大人数なので軍用門から出発だ。
ここなら一般プレイヤーは入ってこれないし、見回りの兵士も巡回してるから安心だね。
タイミングをずらして数名ずつで移動をしてうり坊広場に20分掛けて全員集合した。
道中数回戦闘が有ったもののセレーネさん達のパーティーが無双して私は一度も戦闘していない。
うーん何体倒せばレベル上がるかな?
一体で2000でしょ。
次のレベルまで180000必要性だから90体?こりゃ間に合わないかもね。
30分でポップしなくなるから少し遠くまで狩りに行っても良いかも?
「ハルカさん、虹色が沢山居ますわ!」
「おぉー!流石セレーネさん!経験値だ!狩り尽くせー!」
「「「わー!!」」」
皆ゲーム慣れしてるからかポップする度に瞬殺してしまい私とハルナちゃんは着いていくのに必死だった。
舞侍さんとモハメドさんは銀と金を相手にしつつレベルが低いから逃げ回ってたけどね。
「ふぅー…なんか疲れたのじゃ。異邦人の狩りとはこんなに激しいのかえ?」
「うーん、多分あの人達が特殊なだけ…だと思う。私はどっちかって言うとハルナちゃんと同じ感性だよ?」
「ふむ…同じ感性、それはよき事じゃのう?…ん?のう、ハルカ殿、あのきらきらはなんじゃ?」
「え?どれどれ…あー、あれかー。ちょっと見てくるよ。っと、え?」
ハルナちゃんが指差す方向、茂みの裏にはここと似たようなフィールドが広がっていた。
この先には洞窟が有り、そこに足を踏み入れるとウィンドウが突然開く。
『プレイヤー ハルカがダンジョン【魔猪の宴会場】を発見しました。』
ごくり…自分の唾を飲む音がやけに響く。
すぅっ…と息を吐き私はハルナちゃんを見つめる。
「ハルナちゃん…これは由々しき事態だよ!」
「由々しき事態とは?」
「お祭りが始まるよ?」
「ほえ?お祭り?なんの事じゃ?」
「皆ー!ハルナちゃんがダンジョン見つけたよー!お祭り続行ー!」
「「「いえー!!」」」
まだまだ猪祭りは続くのだった。
無事にレベル56まで上がり私は二次職 格闘従魔士になった。
他にもセレーネさん、もっセルさん、ユイさんも二次職になった。
ハルナちゃんも二次職 戦巫女 となり、同盟メンバーの底上げを図る。
とっくに二次職のジンゴさんは必要経験値が膨大過ぎてそこまでレベルは上がらなかったみたいだけど。
当然フジミヤ家にはこの事を伝えるつもり。
この周辺を立ち入り禁止区域に指定して、うちの同盟とフジミヤ家で独占する様に持ち掛けよう。
大事な練兵所兼金策ようの鉱山だ。
一般プレイヤーに流すのには惜しすぎる。
もっセルさんとセガールさんが早速フジミヤ家に連絡に走る。
事の重大さを察したジンゴさんが木に上り周辺を偵察している。
ダンジョンはまだ出来たばかりなのか5階層と浅く魔物も疎らな為少しずつ育てて行きたい。
ゆくゆくは同盟とフジミヤ家の新兵修練所としようか。
今夜の作戦が終わったらフジミヤ家の底上げ計画を練って実施しよう。
急遽予定を変更してもっセルさん達が連れてきた弓頭のマサツナさんに警備を依頼した。
こういう拠点防衛には向いているらしく十名の兵士を引き連れて警戒していたジンゴさんと交代していた。
馬廻りのヤイチさんが弓隊を率いて戦場に出ることになった。
ここに同盟のセカンドホームを建てても良いかも。
隠し通せるのも二週間とかそこら辺だろうからそれから入場料を取って…
駄目だ、お金のこと考え出したら思考が止まらないや。
とりあえずソウジロウさんに相談だ。
私一人で抱えるには問題が大きすぎる。
この後の出陣に備えてログアウトして早めの夕御飯を取る。
バイトから帰ってきた深雪さんは勝手に食べるとの事なので置いておこう。
世麗那さん達はお泊まりしていくみたいなので特に問題はない。
私の部屋にお布団余ってるし、部屋は凄い広いから一人二人増えても問題ないね。




