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第十二話

おはようございます。


お腹空いたー!


顔を洗ってリビングに行くと眠そうな顔した深雪さんがシリアルをもしゃもしゃ食べてる。

今日お昼からケットシーに出勤って言ってたっけ。


うーん、キッチンが荒れ放題。


深雪さんは料理、というか家事全般苦手っぽいから放置すると大変なんだよねー。


ぱぱっと片してサラダとコンソメスープ、目玉焼きとベーコン、トーストの食事を茜さんの分まで用意する。


その頃には茜さんものそのそと起きてきて一緒に食事を取る。


「美空ちゃんアーカイブ確認したよー。エリアボスをほぼ単独で突破するなんてすごいねー。」


「あれはセレーネさんが切り札を切ってくれたから考える時間が取れたお陰ですよ。私だけだったら多分負けてました。」


「それにしてもじゃない?あんな事短時間で考え付くなんて常人には無理だと私は思う。いやー、美空ちゃんのゲームセンスに気づいた私も鼻高々だよー。にゃっはっは!」


「あの後セレーネ、大丈夫だったの?」


「はい。多分ですけど。固有スキルの反動で硬直状態になってたみたいで今は私の同盟のホームに居ると思います。セレーネさん凄いんですよ!」


深雪さんがセレーネさんに反応したので、私はセレーネさんが如何に凄いかを語った。


セレーネさんの心配をする深雪さん。

一緒に茜さんの配信に出ているから中が良いんだろうか?


深雪さんはふむふむと相槌を打つと何処かに連絡を始めた。


「美空、今からセレーネ来るって。」


「そうなんですね…って、ええ?!」


「セレーネはバイト休みだし、美空と友達になりたいって言ってた。大丈夫、隣のタワマンに住んでるから徒歩三分。」


「そんな近くに住んでたんですか!って誰か来ましたよ?!」


「はいはいー。私が対応するよー。雇用主だしねー。」


「ん?雇用主…ってどういう事です?」


私が疑問符を浮かべていると金髪の同い年くらいの美少女が姿を現す。


麦わら帽子に白のワンピース。


何処かで見たことのあるスーツを着たお付きの美人さんがゲーム機器一式を持って入ってきた。


「深雪さん、茜さん。お招きに預かり参上しました。春風 美空さん、初めまして。わたくしペルソナ・ガールズのリーダーセレーネこと三条 世麗那(せれな)と申しますわ。以後お見知り置きを。そして…」


んんん?私の頭の中は疑問符でいっぱいだった。


「初めまして、私世麗那お嬢様の付き人兼護衛役を賜っております桃瀬瑠奈と申します。春風様にはもっセルと言った方が伝わるでしょうか。」


「ほわー!セレーネさんにもっセルさん?!茜さん!どういう事ですか!?」


「にゃはは!相変わらずの戸惑いっぷりだねぇー。三条グループは知ってる?今自己紹介にもあったけど世麗那ちゃんはそこの孫娘でペルソナガールズのリーダーだよ。桃瀬ちゃんは私の大学の後輩でね。色々縁があって雇ってるんだー。桃瀬ちゃんのオンオフが激しいのは昔からだけどねー。仕事の時とプライベートじゃ全く別人なんだもん。」


なるほど、そう来たか!

というかご近所さん過ぎるよ!


もっセルさんキャラ違うし!

いや、見た目はそのままコンバートしてるっぽいけど、中身が全然違うよ?!

ていうか三条グループってウチの高校の理事長さんと生徒会長では?


「まぁ、立ち話も何だし座って座って!今お茶を用意するからさー。」


茜さんはそう言ってキッチンでお茶の準備を始めた。もっセルさんーー桃瀬さんもお手伝いに言ったようだ。


私は三人掛けのソファーに座り、隣に深雪さんが、正面の二つある一人掛けソファーに世麗那さんが座る。


「春風さん…美空さんとお呼びしても宜しいかしら?わたくしの事は世麗那とお呼びくださいな。」


「はい、お好きに呼んでくださいませ、生徒会長様。」


「あらあら。もう気付かれましたか。まぁ特に隠しては居ないのですけどね。美空さんは混乱しているように見えて随分と聡明なのですね?生徒会に誘っても全く靡かない優等生とこんな形で縁を結べるとは思ってませんでしたわ!」


「あー…生徒会の件はすみません。友人から会長が是非にとは誘われていたのを聞いていたんですけど、うち貧乏で日々の生活費を稼がなきゃいけなくて生徒会や部活をやってる暇が無くて…」


「聞き及んでおりますわ。たまの休みにケットシーの前を訪れては羨ましそうに眺めているのをわたくし拝見していましたから。フフッ…何だか夢みたいですわ。」


私、何かやらかしたっけ?

うーん、品行方正な学生を演じ続けていた気が…


というかお嬢様で生徒会長なのにケットシーでアルバイトしてるの?


「あら?心当たりが無いって言うような顔をしてますわね?聞き及んでおりますわよ?科学部爆破未遂事件に生徒誘拐未遂を単独で解決なされたり…あぁ、教師の部費横領もでしたわね。」


あー、そういえばそんな事も有ったかな。


科学部は危険な実験をしていたのをたまたま通り掛かった私が学校が爆発すると思って無理やり止めたんだっけ。変な煙と異臭がしてたし。


誘拐未遂はうちの学校の制服を着た子が、町で怪しいおじさん三人組に話し掛けられ無理矢理車に乗せられたのを確認したから、乗り込む所とナンバーの写真を撮ってSNSに挙げたり守衛さんに伝えて警察に連絡したからそこそこ大きな事件になってたはず。その子はまだ幼そうだったから後輩かも知れない。


部費横領の件も友人が所属してたバスケ部の控え室で開きっぱなしになってた帳簿を偶々見付けて計算していくと合わないって気付いたから友人伝いで部長さんに報告、そのまま職員室まで帳簿を持っていく所までは一緒に居たけどバイトで途中から投げっぱなしだったし。


そういやその横領してたっぽいバスケ部の顧問、最近見てなかったっけ。


こう言われると確かに色々やってるなぁ、私。何か妙に表彰されることも多いし。


というかうちの学校不祥事多すぎ?まぁ有名なお嬢様学校だし、そういう変な人も沸く…のかな?


「美空ちゃんハイスペック過ぎない?どこの物語の主人公なの?!」


詳しい話を聞きたがった茜さん達に略歴を語ると、そんな言葉が返ってきた。

桃瀬さんはクツクツと思い出したかのように笑い、深雪さんは

「美空ならそのくらい当然。寧ろ世界は美空の凄さを知らない。もっと評価されるべき。」

と何故か腕を組んでいつの間にか私の後ろで仁王立ちで頻りに頷いていた。


深雪さんの中の私ってどれだけ超人めいてるの?


「え、えっと…何か恥ずかしいので勘弁してください。…あ、それより!IMOやるんですよね!さぁ、すぐやりましょう!あっ、皆リビングでやります?私持ってきますね!」


いそいそとその場を抜け出し借りている自室へ逃げ出す。


うぅー…何か恥ずかしいよぉ…


まさかこんな身近にセレーネさんが居たとは思っても居なかった。


明日からどんな顔して学校行けば良いんだろう…


ふぅ…一息吐いてゲーム機器をリビングに運ぶ。


茜さんも持ってきていて既にスタンバイしている。

深雪さんは出勤前だから何やらごそごそと準備を始めていた。

えーと今は10時半だからゲーム内だとお昼前かな?


朝6時から18時で日付代わって12時間で一日だから…うん、多分そう。


今日は何しようかな。

領土増やしに行く?

同盟を大きくしても良いかも知れない。


あっ!そうだ!


「世麗那さん!あの、良かったら私の同盟に加入してくれませんか?勿論桃瀬さんも深雪さんも茜さんも一緒に!」


「まぁ!まぁまぁまぁ!わたくしから切り出そうとしていたのに美空さんから言ってくれるなんて嬉しいですわ!」


「じゃあ…加入してくれるんですね?」


「ええ、勿論ですわ!後は美空さんが同盟加入の受理さえしてくれればわたくしと桃瀬は美空さんの同盟に参加出来ますの。実は昨夜のうちにジンゴさんに頼んでフジミヤ家の御領主とは面会させていただいたんですの。だから後は深雪がフジミヤの地に到着するだけですわね!」


「むぅ…少し難しい。あと一週間は係るかも知れない。」


深雪さんの表情は少し曇っているどうやらユニーククエストを踏んでしまったらしく暫くは北東にある山で拘束されるらしい。


守秘義務が伴うものらしく詳しい詳細は話せないとのこと。

深雪さんと一緒にプレイしたいけど残念だ。

深雪さんも残念がっていた。

あれ、でもちょっと待って?


北東まで勢力を広げればスムーズに合流出来るのでは?


「あの…相談なんですけど。」


私は思い付いた計画を全員に話した。

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