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7.決着


 中指と人差し指で挟んでいたマジックアローを持ち替えて、弓に番えた。

 今の状況であれば、自分がマジックアローを放った瞬間に、丁度近衛騎士達が自分達と交戦になる。


 一気に矢を引きながら魔力を込める。またも魔力は極めて少なめだ。


 北方大公の落馬に意識を持っていかれているアルトゥール第一王子は、北方大公の体に空いた大穴を見ていた。


 大きく目を見開き驚いた表情のアルトゥール第一王子は、そのままこちらを振り返り矢を送り出す寸前の自分と目が合う。


 本来であれば、アルトゥール第一王子も絶対に命中させることのできる距離と位置関係だ。だが、エメリヒ第三王子の願いを無視する訳にもいかない。


 矢の狙いをアルトゥール第一王子の体をなぞりながら少し下へ、狙うは乗騎の尻だ。普通の矢を一つ射かけただけでは絶対に止まらないが、マジックアローは違う。


「風よ」


 自分が放ったマジックアローは、先程よりも小さい魔力を貯めたものだった。

 だが、それでも十分。地面と平行に低い位置を疾走したマジックアローは、8人の近衛騎士を抜けてその先にいるアルトゥール第一王子の乗騎の右後肢を吹き飛ばした。

 バランスを崩した馬は、そのまま右側へとアルトゥール第一王子を巻き込みながら倒れ込む。


「だあぁぁ!!」


 気合の声と共に目の前から横薙ぎにされる剣を馬の首に隠れるようにして避ける。そのまま体を少し右側へと傾けて、自分の馬を相手の陣形の隙間へと誘導した。

 自分に斬りかかって来たアーロンは、後方へと受け流されるが反転して我々を追いかける構えだ。一方の我々はと言うと、エドガーにエメリヒ第三王子、ボウデン第一騎士団長も上手く敵の攻撃を受け流し、全員が後背面へと出ることが出来ていた。

 初撃を避けることが出来たのは間違いなく良い事であるが、我々は4人しかおらず、後方から味方が追い付くのはいつになるか分からない。9人を4人で相手にしなければならない状況だ。しかも相手はオロール王国の最精鋭たる、近衛騎士達。


「走り回れ!!囲ませるな!!」


 的確な指示を飛ばしたのは、自分でもエメリヒ第三王子でもなく、ボウデン騎士爵だった。彼はモーラ辺境伯の下で自分の何倍もの経験を積んだ男だ。この瞬時の判断が要求される状況で、最も正しい指示を飛ばした。


「まとまるんだ!離れるなよ!!」


 ボウデン第一騎士団長は我々を誘導するようにそのまま加速し、馬の下敷きになっているアルトゥール第一王子の周囲を回るように動き始めた。

 我々が描く中央ではアルトゥール第一王子を馬の下から救出しようと、あの偉そうだった近衛第三騎士団長が必死になっている。そして我々の後ろからは追撃を始めたアーロンの部隊。


 我々の尻に取り付かせまいと必死に矢を放ちながら、右へ左へとボウデン騎士爵に付いて行く。 

 今度は我々が敵に追われる立場だが条件が違う。味方の到着まで少しの間耐えるだけで良い。味方は敵陣の真っ直ぐな道を通るだけで迷う事も無い。


「ボウデン団長!!味方です!」


 後ろを振り向きアーロンに矢を放ち、それを叩き落されたところで雪の向こうに多くの騎兵の姿が見えた。先頭を走るのはアントンとライアンだ。


「合流だ!!」


 我々はゆったりと方向を転換し、味方の方へと馬首を向ける。

 後ろから「くそがっ!待てっ!!」と声が聞こえたが、我々に待つ義理はない。


「お待たせしました!」

「今回は早いな!!」


 未だにアルトゥール第一王子の救出は終わっていなかった。我々の勝利は確定したような物だ。既にアルトゥール第一王子の周囲を固める近衛第三騎士団を包囲する形となっている。

 あとは残りの近衛騎士達をどう処理するか…


「忠義の近衛騎士達よ、勝敗は決した!降伏せよ!!」


 自分が逡巡している間に、エメリヒ第三王子が近衛騎士たちに呼びかける。

 エメリヒ第三王子の言葉に返事はない。

 近衛第三騎士団長は明らかに悔しそうに唇を噛んでいるし、特にアーロンに至っては自分のを見て嫌悪感を露わにしている。


「エメリヒ王、時間がありません」

「分かっている。だが、この練度の兵士達を失うのは惜し…」


 エメリヒ第三王子が言葉を言い切る前に行動を起こしたのは、敵方の近衛第三騎士団だった。

 馬の横腹を足で叩き、エメリヒ第三王子の居る方向へと突撃を始めたのだ。それも全員だ。馬に乗っていなかった近衛第三騎士団長でさえも。


「うおぉぉ!!」


 獣の鳴き声ともとれるウォークライと共に我々に突撃してきた者達は、エメリヒ第三王子の間にいる騎兵達に周囲を囲まれ、あっという間に袋叩きにされる。1人で10人倒してもどうしようもない戦力差なのだ。

 周囲から切りつけられ続けるアーロンと目が合う。敵意むき出しの目と口元だが、彼との距離はまだまだ遠かった。そのうちに背中を刺されて顔を歪ませる。


 弓に矢を番え、アーロンの眉間に向かって構えた。


「じゃあな、クソ野郎が」


 放たれた矢は、既に腕も上げられないアーロンの眉間に突き刺さり倒れた。近衛第三騎士団の最後の生き残りだった。


はじめまして。都津トツ 稜太郎リョウタロウと申します!


再訪の方々、また来てくださり感謝です!


今後とも拙著を、どうぞよろしくお願い致します。

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