表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/106

6.騎射


 自分達の背後にいる近衛第三騎士団のアーチャーたちを無視して、自分達は速度を緩めながら地吹雪の中へと入った。そして、あっという間に味方の弓兵部隊の元へとたどり着く。


「撤退だ!!撤退!!お前ら馬まで全力で走れ!!」

「りょ、了解!」


 最初は敵騎兵かと驚いていた、アーチャーの一人が慌てて返事する。


「魔導士!!風を縦に吹かせるな!!横だ!横!!!!」

「はっ!は…「フレディ!!」

「はい!!」


 風魔導士の返事を聞き終わる前に声の方向に向かって馬を動かし、後退を始めたアーチャーの中にいるフレディと並走した。その顔は少し焦りを隠せない様な、叱責されるのではと怯えている顔だった。いつもだったら茶化したい所であるが、この危機的状況の中でそんな余裕はなかった


「騎兵はお前らの離脱が可能になったら動く!!全力で走れ!!」

「分かりました!」


 フレディの答えを聞き終わる前に、カールと離脱した自分達はあっという間に加速し、地吹雪の中から自陣側へと抜けて、また味方騎兵の元へと向かう。

 少しの間しか離れていないはずの味方騎士団は、目に見えて分かるほど数が減っている。特に最初に分断され包囲を受けた後方の騎士達は、半分近くになってしまったのかと思う程だ。解囲を試みた前方の包囲されなかった騎士達はどうしたのかと言えば、それを防ぐ北軍の近衛騎士達にしっかりと足止めを食らっていた。

 心の中で「何をやっている!!」と大声で叱責したい気持ちが湧き出て来るが、そもそもこれは自分の失策が招いた劣勢なのも分かっているので必死に抑え込む。


「カール、周りを走り回って削る!援護してくれ!」

「はいよ!」


 包囲されている味方を見ると多くの者が疲弊を表情に出し、体のいたるところに自らの血か返り血か分からない赤黒さをまとっている。本来であればすぐさま撤退の合図に鏑矢を放ち、無理やり脱出させるところだが、まだ我々のアーチャーたちは走り出したばかりで、自陣に繋ぎとめている馬までは距離がある。

 ゆっくりと左旋回を行いながら包囲に向かって進み、確実に命中できる距離になってから弓に矢を掛けた。彼らの奥には包囲された味方がいるのだ、万が一にも彼らに当てる訳にはいかない。

 それに北軍の近衛騎士達は、まだこちらの存在に気が付いていない様子だった。近衛騎士団では、アーチャーが騎兵同士の戦闘に弓を射かけようものなら、後々どんな嫌がらせや暴力を振るわれるか分からないのだ。彼らが矢の事など頭の中にない内に、出来るだけ仕留めなければいけない。


(…ひとり目)


 こちらに背を向けていた近衛騎士団の背中に、アーマーを貫通して深く矢が突き刺さり、振り上げた剣を苦しげに下ろしながら落馬する。

 そして奥にいた、助けられた味方と目が合い、たった一人ではあるが味方を助けられたことに少し安堵した。が、その彼は横腹を剣で貫かれそのまま体を馬に力なく預けると、そのまま静かに馬が歩き出して先頭から離脱していく。その状況を見て自らの責任を感じない程、自分は自身が指揮する戦に慣れていない。


(くそっ!)


 頭の中で一人悪態を吐きながら、カールを護衛に従えて馬上から騎射を実施する。それも二人目、三人目までは上手く行ったのだが、こちらの存在に気づき始めた近衛騎士相手には、当たらなくなってしまう。こちらの矢を器用に避け、剣で叩き落し、猛者は裏拳で弾いている。

 数の有利を持った近衛騎士団は、自分とカールのみのたった2騎であるこちらに、5人の騎兵が向かわせた。振り返ると、まだアーチャーは平原を走っている最中、残した騎馬まで3分の1といった所である。当然自分が、近衛騎士に襲われる方が早い。


「隊長!走れ!!」


 カールは大声で言うと、そのまま手綱を引き徐々に減速し始めた。


「どうするつもりだ!」

「俺が止める!!味方の援護を続けろ!!!」

「相手は近衛騎士だぞ!!無理だ!!」


 カールは届いている筈の大声を無視するように顔を背けると、手にしていたひとつの戦鎚に加えて、背中からもうひとつの戦鎚を引き抜き、2双の戦鎚を手首を支点にぐるぐる回して、体を慣らしている。1人で5人を止める気だった。

 近衛騎士達は直ぐにカールの横に並びかけて、右に並んだひとりが馬上から長い剣を薙ぎ払うようにカールに斬りかかる。その剣をカールが戦鎚の柄で受けるともう一つの戦鎚で叩き……なんと砕いてしまった。いくらたった今まで、散々打ち合っていた剣と言えど、近衛騎士の剣が折れるところは見たことが無かった。カールはそのまま剣を受けていた戦鎚を振り上げると、剣を失った近衛騎士の顎を砕き、馬上から弾き飛ばされた。


(カールなら、複数の近衛騎士相手にも勝てるかもしれない!)


 と思った矢先に更に追い付いた2人の近衛騎士が切りかかった。先程まで戦っていた東方騎士団の騎士と同じだと侮り、やられた先頭の人間から学び、今度は両側からだった。

 いくらカールでも両側から斬りかかってこられては、大きい体を器用に馬上で躍らせながら、捌くので手一杯だった。普通の兵士であればカールにとって簡単な仕事も、近衛騎士相手には難易度が上がる。


はじめまして。都津トツ 稜太郎リョウタロウと申します!


再訪の方々、また来てくださり感謝です!


今後とも拙著を、どうぞよろしくお願い致します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ