表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/106

7.王の近衛


 我々の進む先が決まったその日の夜から、我々は忙しく働き始める事となった。

 出遅れる形で王国の内紛に加わる我々は、得をしたのか、損をしたのかまだ分からない。


「近衛を編成する」


 東方大公の執務室が臨時の王の在所となり、そこには先程大ホールの中にいた者達が集まっていた。その中で発せられたエメリヒ第三王子の言葉の意味は、王を名乗る者としての体裁を整えるためだ。

 オロール王国において王を名乗る為に必要な物は5つある。血筋、王冠、封蝋の為の印璽、代々伝わる宝剣、そして王を護る近衛。

 血筋は正当性で言えば長男であるアルトゥール第一王子が優先であるが、もはや意味を成していない。第三王子は妾腹の子であるが、東方大公を始めとする諸侯は理由は分からないが重視していないようだ。

 次に王冠と印璽、宝剣の三つは先王の手元にあり、王都を掌握したダミアン第二王子が所有している。

 そうなれば、我らが唯一手元に置くことが可能であるのが近衛騎士団という訳だ。近衛騎士団は、王に任命されその周囲を固める。極端な事を言ってしまえば、王を名乗り任命するのは誰でも可能なのだ。

 これはカーマイン辺境伯領にいた時、聞き流していたルーシーの授業内容だが、今になって役に立っている。


「50名2個騎士団だ」


 端的に内容を伝える言葉の次に、傍に控えていた自分とボウデン騎士爵を交互に見た。


「団長は二人に任せよう。サー・ボウデンが近衛第一騎士団、サー・リデルが近衛第二騎士団だ。総団長はまだ置かない……直接私が指揮をする」

「「はっ!」」

「あくまで一時的だ。君たち二人は両辺境伯の手足であるだろうからな」


 いきなりの抜擢だが、この任命はエメリヒ第三王子の恩返しのようなものだろう。ボウデン騎士爵と共にエメリヒ第三王子を護衛しここまで到達したのだ、我々が共に進まなければエメリヒ第三王子はこの場に立っていなかった。

 一時的であろうと、辺境伯の騎士爵がいきなり近衛の騎士団長とは、階段を何度飛ばして登ったかも分からない。肩書だけであれば、自分が王都にいた時に所属していた近衛騎士団の団長と立場が一緒なのだ。もちろん思い出したくないほど嫌な奴のアーロンなど、顎で使うような地位にいる。


「フロレンツ・バーガンディー公爵」

「”王よ”、フロレンツとでもお呼びください」

「それは出来ないな……東方大公と呼ばせてもらおう」


 いくら王を名乗ると言えど、東方大公の助力無しでは何もできないエメリヒ第三王子は、呼び捨てで呼ぶことに抵抗があるのだろう。


「承知しました」

「……東方大公よ、ついては近衛の人員を融通できるか?新人でも構わない」

「私の騎士団である、東方騎士団から抽出しましょう」

「いいのか?」

「名誉ですよ。お二人の騎士には、あとで必要な人員を教えて頂きます」


 後に続く話は、これからの計画の話だった。

 南軍北軍とどう戦うか、いつ戦うのか。誰を敵として誰を味方に付けるか。兵の指揮系統や、補給の話。話し合わなければいけない内容は多い。

 この場にいる3人の武人の内2人は侯爵で、一人は伯爵。東、南、南東の郡を纏める郡令だった。文官の3人は1人が侯爵、二人が伯爵でこちらは王国側に当たる西、北、北西の郡を纏める郡令である。この六人が、東方大公の腹心の部下であり王国東方地域の重要人物であった。

 我々がここに到着したのは、彼らがこれからの方針を話し合い始めた二日目だったらしい。「この上なく良い時機でしたよ」と東方大公は言っており、同時に「英雄となる方には、不思議とそういった”運”があります」とも話していた。エメリヒ第三王子は、彼の言っていた”賭け”に勝つ運を持ち合わせていたのだろう。



「近衛騎士団長殿、お二方ともこちらへ」


 話は戦争を始める時期についての話し合いが行われている時だった。

 やれ、収穫の時期が終わってからでないと、兵数が確保できないや、今から動かなければ時機を失してしまうなどと、それぞれの意見をぶつけ合っているのを手持無沙汰で眺めていた時に、後ろから声を掛けられた。


「え?いえ、近衛が王の近くを離れるわけには……」


 ボウデン騎士爵が、何も考えず立ち上がった自分に続かず、座ったまま答えたのを見て、自分の浅慮を恥じる。確かにボウデン騎士爵の言う通りであった。以前に所属した近衛では、平民であった為もちろん王侯貴族に近寄る事も無かったので、全く考えていなかった。


「構わん、行け」


 エメリヒ第三王子は我々へと振り返り、頷いている。これは目の前にいる東方貴族を全面的に信頼しているという意思表示でもあるのだろう。


「で、では…」


 立ち上がったボウデン騎士爵の後に続き、大ホールを出て廊下を進む。


「おー!隊長!!」

「団長!!」


 入ってきた門の外まで案内されると、そこにはお互いの部下たちが居た。城下に待機していた者達を呼びに行かせたのだが、無事合流できていたようだった。


「全員お二人の部下で間違いないですか?」

「「はい」」

「では、東方騎士団の宿舎へ入って頂くので、ご案内いたします。その後、人の選抜を行っていただきます」

「はい」「承知した」


はじめまして。都津トツ 稜太郎リョウタロウと申します!


再訪の方々、また来てくださり感謝です!


今後とも拙著を、どうぞよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ