表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/106

2.検問所


 スマルト共和国とオロール王国の国境地帯には、街道沿いにいくつかの検問所がある。

 いくら友好国と言えど、それなりの備えが必要であるのは間違いないので、他の国境と比べると簡素ではあるが、多少の兵が駐屯して警戒をしていた。

 我々が通過しようとする、スマルト共和国とオロール共和国の最北の街道に位置する検問所は、他の通行人は疎らで大した時間を待たされることも無い。

 もちろんそこに居る者達が我々の存在を知っている訳も無く、通行の目的などを適当に質問されるだけ。戦乱から避難する商人とその護衛という言葉に、大した疑問も抱かれずに通過することが出来た。


「今も王国の内乱は続いているのかい?」

「あぁ、決着は着かずさ。年越すかもな」


 つまらなそうに検問所で働く兵士達に、出来る事ならもっと詳しい最近の王国の様子や、内乱の状況を聞いてみたかったところだが、ここで余計なやり取りをして怪しまれたり、時間を取られたくなかった。ここで内乱が続いている事さえ知ることが出来れば十分だ。

 友好国からの街道といえど、余りに無警戒ではないのかと思うが、それがこれまでの王国東方地域とスマルト共和国の平和な様子を表している。スマルト共和国の体制が変わったことによって、王国との関係がどうなるかは分からないが、この状態が続くことが、王国にとって嬉しい事だろう。


 王国の東方地域は縦に長い。メイズ大公国とスマルト共和国に接する国境線は長大で、そのすべてを警戒網で網羅しようとすると、かなりの兵士が必要になる。だが、それに反して地域の人口は多くなかった。だが、ここ数十年で足りない兵士と広大な領地を開拓するために、王国は多くの民を移し開墾したことで、人口は倍以上になったと言われている。


 東方地域南部は湖沼地帯で、多くの干拓が西側(内側)から行われ、王国中央に広がる平野の穀倉地帯と接続するように開墾された。ここも大陸の南部らしく、夏は暑く冬の雪は少ない。秋に入ったと言って良いこの時期でも残暑を残している。

 戦略上の理由で未だに開拓が進んでいない国境地帯は、街道以外は足を安易に踏み入れると泥濘に足を取られてしまったりする。城や町、村でさえもまばらで、行き交う人はいるが、足を止めるものはいなかった。

 そこを4日かけて抜けると、やっと干拓が済んだ地域に到達し、スマルト共和国で纏まった数を入手できなかった馬を予備を含めて入手することが出来た。これにボウデン騎士爵率いるモーラ辺境伯領、ブルーエ騎士団が騎乗し、やっと騎士団らしくなった。第三王子も機動性を優先するために、彼らの編隊の中心部にボウデン騎士爵と共に組み込まれている。

 一方の我々ノルデン騎士団の者達はというと、広くなった馬車の荷台に未だに乗っている。お陰で最近は地面から直に伝わる振動を気にしなくなった。


 更に1日かけて東方地域を南北に貫く街道に到達すると、そのまま北上を開始した。

 北上を開始して2日が過ぎた頃、最初は右斜め前に見えていたメイズ大公国を囲む山脈が真右に変わった所で、景色は変わり始める。

 湖沼地帯だった周辺の地形が落ち着き始めて、なだらかで高い草木もない丘陵地帯となるのだ。

 一番小高い丘から見晴らすことのできる波打つ大地は、既に収穫の時期を迎えた小麦の綺麗な一面の黄金色で染まり、それはそれは美しいものであるが、我々に見とれている時間は無い。

 この丘陵地帯は既に開拓が進んでいて、周辺には新しく出来た村がぽつりぽつりと見える。ここら辺から気候が大陸中部のものになり、秋の風が冷たく感じ始めた。


 丘に張り付くように動く黒い影は、小麦を収穫している人間だという事に遠目でも気づいたのは自分の視力が良いゆえだろう。自分でさえ遠くの小麦畑で動く黒い影は、小さい虫のように見える。

 この景色は平和であるから出来上がるもので、戦乱の真っ只中である王国の中部やカーマイン辺境伯領を始めとする北部は、一体どうなっているのだろうかと考えてしまう。一度大きな戦闘がおきると、収穫されていない麦畑は、軍隊に徴収されるか、踏みつけられて終わりだ。そうなれば、その近くに住む人間は、とても冬を越せる状況でなくなる事も多い。

 これが他国による侵攻であれば、領主が保護し、税を免除することもあるが、内戦となればそうならない事も多いだろう。この王国の内乱が既に終わっているというのはやめて欲しいが、いち早く終結する事を望んでいるという複雑な心境だった。願わくば、第三王子の下で速やかに王国が統一されんことを望んでいる。



「おぉ、見えたぞ!!」


 集団の先頭を率いていた騎士が声を上げたのは、丘陵地帯を北上し始めてから3日後、オロール王国に入って10日目の昼だった。

 その声に馬車の前幌を上げて、外を見てみると遠くの方にひと際大きな城郭がハッキリと見える。到着にかかった時間から見ても間違いなく、フロレンツ・バーガンディー東方大公の居城、ボルダックス城だ。

 東に控える宿敵メイズ大公国に備えるために築かれた、大きな丘を中心とした巨大な城は、遠くから見ても目立つ。そして、我々は今からあの城に向かい、賭けに出る。


はじめまして。都津トツ 稜太郎リョウタロウと申します!


再訪の方々、また来てくださり感謝です!


今後とも拙著を、どうぞよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ