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12.グリフォン


 立ち上がったグリフォンが、更にひと鳴きすると空気が揺れた。

 慌てて頭を抱えて姿勢を低くした途端、自分とカールが隠れている二つの木から破壊音がする。頭上で響いた音と共に、落ちて来た木の枝がカールの頭と自分の足に直撃した。その枝は綺麗な断面を持っていて、自分達に放たれた魔法の鋭利さを知る。


「顔出すなよ!!」


 自分の声と同時に、またもやグリフォンが大きな体に釣り合わない甲高い鳴き声を発すると、自分が身を預けている大木が大きく揺れた。更に奥の木からも破裂したような音が聞こえる。その音の源である木に思わず視線を向けると、グリフォンの魔法によって切り裂かれた幹が白い内部を露出させていた。太い木の幹を切り倒すまではいかないまでも、表面を切り裂く威力を持つ魔法を食らってしまえば、体がバラバラになる事は安易に想像できる。

 その後もひたすら放たれ続けるグリフォンの風魔法に、我々は顔を出す事さえ叶わず、上から落ちて来る枝葉に体を守り続ける事しかできなかった。降り注ぐ枝葉の中で視界が取れずとも、一つ一つの風魔法が確実に大木を削り取っていることが、音と振動で分かる。


 滅多矢鱈に周辺一帯に降り注ぐグリフォンの風魔法は、自分達の体を隠している太い木の今にも限界を越えようとしていることが、振動として体に伝わって来た。人間としての本能が、この大木の側から離れろと警告している。


「飛び出すぞぉ!!!」

「「ぅおう!!」」


 破壊音の間に発した声が全員に届いたかは分からない。ただ、身を預ける大木がこれ以上耐えられない事は、隣にいるサルキもカールも分かっているようだった。


「今ぁ!!」


 僅かに途切れた風魔法の間隙に、弓だけ持って姿勢を低く広場に飛び出した。樹木の細かいゴミが目に入って痛む中、無理やり開けた目に、鳴くのをやめたグリフォンの視線が絡みつく。鋭く睨む大きな瞳には、我々が敵として映っていることが分かった。


「援護ぉ!!」


 カールが叫びながら地を這うような低さで前へと駆け出し、それに追従するようにサルキも前へと飛び出した。自分が突っ込むから援護しろというカールの短い意思表示に応えるよう、矢筒から3本の矢を一気に引き抜き速射する。

 放たれた3本の矢はグリフォンのひと鳴きによって砕け散り、その余波が鳴き声と共に姿勢を低くした自分に破片となって逆に襲い掛かって来た。だが、ここで援護を止める訳にいかない。まだ他の者達は自分達が飛び出したことに気が付いていないのか、樹海の木の陰から出て来ていないからだ。前衛を張ろうと飛び出した二人を援護できるのは自分しか居ない。


「うぉら!!」


 大きく響く気合の声と共に戦鎚で殴り掛かったカールの攻撃を、グリフォンは左前脚で受け止める。人間なら吹き飛ぶ戦鎚の威力に、グリフォンはびくともしなかった。それどころか逆にカールが戦鎚を奪われないように、必死に保持しているように見える。

 逆方向から襲い掛かるサルキの戦斧は、グリフォンが跳ね上げた右前脚に弾かれる。金属音がしたのは、爪と戦斧がぶつかったからだろう。そして自分も更に3連射するが、鳴き声と共に飛んでくる風魔法に矢が打ち砕かれ、目に見えない風魔法が、直ぐにしゃがんだ自分の頭の上を風切り音と共に通過していく。


 前衛のカールとサルキがグリフォンと格闘し、自分が4回ほど矢を速射した所で、「今行きます!!!!」という声と共に、森の中から次々仲間が出て来る。遅いぞと悪態を吐きたい気持ちだったが、風魔法を避けながら弓を射るのに必死で返事をする余裕がなかった。

 次々に姿勢を低く保った前衛達が突っ込み、自分の隣には二人のアーチャーが並んだ。グリフォンは我々の人数が増えたのを見て、カールとサルキから飛び退いて距離を取る。間合いを取らせまいと更に突っ込む二人だが、グリフォンは翼を大きく広げると、空に飛びあがってしまう。

 こちらの数に慄いて空に飛び去ったのかと一瞬安堵するが、それは勘違いだった。下から成す術もなく見上げる人間たちに、グリフォンは空中で甲高く一声鳴き、体の周囲に一瞬風が巻き起こる。


「避けろ!!!」


 慌てて飛び退いたアーチャー3人が居た場所に風の塊がぶつかり、地面の砂と小石を巻き上げた。


 正直油断があった。グリフォンが地上にいた時は、二人の前衛と一人のアーチャーで抑えられていた上、グリフォンは普通の動物と同じくサルキの戦斧の一振りで血を出していたのだ。それに8人の加勢があれば十分に勝てると思った。

 今まで3個もの騎士団が必要な理由は、グリフォンが空を飛ぶからだったのだ。一方的に風魔法を空中から浴びせられれば、自分達のような地べたを歩く者達は、ひたすら逃げ続けるしかない。

 2回目、3回目と浴びせられる風魔法に、まだ誰も当たっていない事は奇跡だ。なにしろ空から見えない空気の刃が迫って来るのだ。だが、これ以上逃げ惑っていても一人づつ削られてしまう事は、火を見るより明らかだった。


 この状況を打開するための策は一つしかない。


はじめまして。都津トツ 稜太郎リョウタロウと申します!


再訪の方々、また来てくださり感謝です!


今後とも拙著を、どうぞよろしくお願い致します。

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