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超排他的デジタル

 あいうえおのどこまでをあとするか、そんなデジタルな発想こそ人間の業で、社会は今デジタルと排他性で溢れている。とても安易なアンチ構造、それならハイパー構造をとろう。善を道徳とするなら悪は超道徳だ。これは一見アンチ構造と変わらないように思えるが、重要なのは易々と対立を煽らない意識、どのような関係であってもそれらは必ず地続きであるという認識なのである。

 そしてある日、超道徳を超えた超々道徳がひょっこり顔を見せる。

「ふーん。じゃあ真理関数が本質的な意味で関数であるならば、道徳も超々道徳も超々々々道徳も、それぞれ示される意味が変わってくるね。」

 軽く笑いながらいつも君は賢かった。僕なんて超は接頭辞であって真理関数じゃないとか、そんな場所でいつまでも止まってしまっている。大切なのはそんなところではないのだ。僕がそんなことを考えているうちに君は閉ざされたエアロックを開いて、さっさと宇宙のへと生身のまま繰り出してしまった。それを見て僕はこの宇宙服を脱げないでいた。宇宙飛行士の資格も捨ててしまいたいのに手放せないでいた。それに比べるとあの時の君の放棄っぷりは清々しいものだった。だから言わせてもらいたいのだけれど、君のせいでもあるんだ。僕はあの時の君の影を追うことでしか、何か気持ちが報われなくなってしまったんだ。そのせいで今は破滅願望を剥き出しで生きて、でも君のあのそんな風にしか受け取れていない時点で、僕が君に追いつくことは一生ないのだろう。でもこうして自覚の段階は済ませた。次は修正して一歩ずつ距離を縮めよう。僕は天才でないからそもそも強力なエンジンなんて搭載されていない。僕のような凡人は君のような人間の歩いた後を理屈の梯子でゆっくり詰めていくしか他に手段がないみたいだ。だが不思議と嫌になることはない。それくらい君の遺した軌跡には鮮やかな証明が溢れているんだ。このことを君自身に教えてやれないのが残念でならないけど、結局のところこんな証明の数々は君の目に留まることなどなかったのだろう。一々留まっていては、人は飛ぶことができない。君はアイスクリームが好きだった。確かいつもバニラいちごって頼んでいたよね。でもこの際言わせて欲しい。あれは絶対にいちごバニラだよ。多分君が言うからなんだろうね。仮に僕がバニラいちごなんて頼んだら店員さんもすぐに「あ、いちごバニラですね」って修正するんじゃないかな。だからあれは絶対にいちごバニラなんだよ。

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