これってまさか...
ゲームの結果は0-3で俺の惨敗.....
(え?何?さっきまでの威勢はどこにいったかって?いやいや、ちょっと待ってくれ。
まず、ゲームの内容がおかしい、なんでテ◯リスなんだよ!もうその時点で負け確定じゃんか!え??さっきから何言ってるかわからないって?仕方ない教えてやろう楓はオンラインテト◯スで世界ランク7位なのだ、そう!だから負けても仕方がない!!)
とそんなふうに心の中で負けた理由を話していた。
「0-3で私の勝ちだから約束通り話してもらおう」
「キョウハテンキガイイネ」
「兄よ、もう夜でお空はまっくらです...」
「......」
「......」
「今日はもう遅いし——」
「寝ないよ?」
「寝ろよ!!」
「いや寝るけど話聞くまでは....」
「まぁ、約束は約束だから話すよ」
流石に約束を破るような人ではなかったので、俺は佐藤さんと何があったか説明するために渋々ポッケからスマホを取り出した。
そんな俺を見て楓は興味津々きょうみしんしんと顔に書かれててもおかしくないようなスピードで俺の方に近づいてきた。
「さてどんなことが書かれてるのかな〜?」
「特に普通の会話したくらいだよ」
「顔真っ赤にしてたくせに〜」
「.......」
「へい!へーい!!、兄者〜本当のこと言われて何も言い返せないのか〜?」
そっと無言で俺は説明するために使おうとしていたスマホをポッケに戻した。
「兄者ごめんってー!悪いと思ってるー」
「絶対そう思ってないやん」
「バレたか」
しょうがないと思いつつ再びポッケからスマホを取り出し、佐藤さんとのトーク画面を楓に見せた。
「『俺もちょうど見たかったから賛成です』ふむふむ」
「おい、声に出すな恥ずかしい」
「恥ずかしいとかお兄ちゃん可愛い〜ってかなんで敬語なの?」
そう言って楓はニヤニヤしながら俺の方を見てくる。
「いやだって今日あったばっかりだし、そもそも女子のメールしたことないんだよ!!」
「あっ、ごめん....」
さっきをニヤニヤしていた顔から一気に申し訳なさそうな顔をしてきた。
「おうおうそんな顔すんな腹立つ、あと、ごめん言うなそれが1番傷つく」
全部読み終わったみたいで楓は俺にスマホを返してきた。
「ふぅ...全部読んだぜ...そこで聞きたいことがある。兄よ。」
「どうした?」
「土曜日に映画館いくのかい?」
「うん、そうだが?」
「女の子と二人きりで?」
「まぁ、そうなるよね」
「そんなんデートじゃん」
「やっぱそう思うよな....」
「ヒュ〜!!意識しちゃってる〜」
「そりゃあ女子と関わりがない俺は意識しちゃうし、あとお前さっきからテンション高くない?」
「いや〜愛しの兄がデート行くんだぜ?テンション上がるやろ!!」
そう言っている妹を横目に見つつ「やれやれ」と思い、俺はソファから立ち上がり歯を磨くために洗面所へ向かった。
「お兄ちゃん〜」
「あ、ついてきたのね」
「ついてきたわけじゃないよ私も歯を磨こうとしただけ」
「あ、そゆことね。で、なんの用?」
「デートの服装どーするのかな〜って気になったからさ」
楓は自分のパジャマを見せる様にパタパタさせながらそう言った。
「デートではないけどとりあえず普通の格好で行くよ?なんで?」
「いや、学年一の美少女の佐藤さんと遊びに行くのに変な格好だったら佐藤さんが可哀想だから」
「あー、そゆことね」
「あと、お兄ちゃん今日が何曜だかわかってる?」
「え?だって今日校門に鈴木せんせいが立ってたから火曜じゃないの?」
「...木曜だよ?」
「....えっ?」
え?今日が木曜?ってことは明後日は土曜?てかもう今日はほぼ終わったようなもんだから実質明日が土曜?チョットマダオニイサンココロノジュンビガ、と焦りを感じながらもとりあえず歯磨きを終わらした。
(ふぅ、とりあえず服装はちゃんとしなきゃだし今日みたいな遅刻がないようにしなきゃな)
「楓〜もう寝るからリビングの電気消すな〜」
「わかった〜おやすみ〜」
「おう、おやすみ〜」
そう言って自分の部屋に戻ってベットに倒れた。
(今日で色々ありすぎたな。明日はとりあえず落ち着いた学校生活を送りたい...あと曜日感覚バグってんだろ...)
そんなふうに心の中で思いながら寝て金曜になったが心に願った通り特に凄いことなどもなく平和に過ごし気づけば約束の日の土曜の朝になっていた——