表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/60

EP 39

「あの笑顔がねえ、まじ最高なんっすよおぉ」

昴がへべれけになるにはそう時間はかからなかった。ってかなんで私がこんな手助けを?

ムカつくけれど、仕方がない。昴のことはね、姉としてまあ気に入ってるからね。

「くっど! わかったわかった、食べてるときの笑顔がいいってのはもうわかった」

「はあ? 笑顔がいい! じゃなくて笑顔が最高! なの!」

めんどくさっ。

「で? あと優里ちゃんの好きなところはどこなの?」

「ほっぺが苺大福なとこ」

「はいはいそれは同意見だわ」

「食べちゃいたくなるんだよ。やわもちアイス」

苺大福なのかやわもちアイスなのか、はっきりしろっつーの。この優柔不断がっっ!

「で? あとは?」

昴が急に、しょげっとなる。

「明るくて優しくて頑張り屋で気配りができてパフェが好きで好きなものはパフェで大きいパフェ食べさせてあげたいけどできなくて苦しい」

「あら。別に食べさせてあげたらいいじゃないの」

「だぁめなんだよぉ。それができたら苦労はないっつの! 結局さ、ダイエット頑張ってんじゃん。だからさあ、オマエに食わせるタンメンはねえぇって感じでさっ、ダメなのっっ」

???

けれど、昴の本音はここにあるわけで。

「あんた、優里ちゃんのこと好きなんでしょ?」

「ん? ……うん」

はい白状。カツ丼持ってきて!

「黒田くんやバナナヤロウに取られたくないわけでしょ?」

「ん? ……うん」

「黒田くんとデートして欲しくないんでしょ?」

「ん? ……うん」

なんで、ん? 入れるん?

「それ、ちゃんと言わなきゃね」

「ん? ……」

「で、謝罪」

「ん」

「ちゃんと目を見て、酷いこと言ってごめんなさい。言える?」

「ん? ……いえ言え言える」

フラフラした頭をぎゅむっと掴む。

「明日」

「ふぁい」

「言うんだ」

「ぁい」

だがしかし翌日、昴はなにも覚えていなかった。飲ませすぎww (๑˃̵ᴗ˂̵)

「あ、あれ? 今日は、優里さん……は?」

「さあ? お休みっすかね」

「さあって……黒田くんさあ。なんで優里さんの休みとか知らないわけ?」

「え? 別におかしくなくないですか? 付き合ってるわけでもなし。そんな気になるんだったら、訊いてみます? LINEで」

「ややや、もういいよっっ」

なんだよ、食事に誘った割には淡白だな。あ! あれか! 蛙化現象ってヤツか今流行りの!

俺はダンベルを持ち上げながら、腕の筋肉を観察した。上腕二頭筋、今日もなかなかキレてるね。

けれど、そわそわしてしまって、なかなか筋肉に対して集中ができない。

そんなこんなしていると、女性がわらわらと寄ってきた。

「柳田さぁん、今日はあのぽっちゃりちゃんお休みですかあ?」

俺が座っているベンチの隣にどしっと座ってくる。両方を陣取られ、しかも前方に3人。全方位ガチガチに固められて、スルーすることもできない。

「いつもぽちゃぽちゃさんと一緒だから、私たちなかなか柳田さんとお喋りできなくてぇ」

「はは。それだけ私たちが仲が良いってことなんですけどね」

ちくりと胸が痛んだ。

「えぇ、本当に付き合ってるんですかぁ?」

「も、もちろん付き合ってるよ」

「ふぅん。それは残念です。だって私たち、柳田さんとスクワットの正式なやり方とか、効果の出る筋トレなんかも、前のように教えていただきたくってうずうずしてるんですよぉ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ