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EP 29

「そんなこと気にしなくていいんですよ。体調が悪いときはもちろん休養が優先です。ただ三日もジムをお休みしてたから、どうしたのかなって心配になってしまって。それでこれ」

買ってきた物が入っているスーパのレジ袋を差し出した。すると、滝沢が「わざわざどーも」と言って、横からかっさらっていく。

なんなんだ! この不躾な男は!

白井さんが復活したら、この男とどういう関係かを問い詰めなければならないだろう。

なぜなら。

滝沢はレジ袋の中をこれ見よがしに覗き込むと、

「ははん。お粥ってレトルト売ってるんだ。でもまあ俺が作ったおじやがあるからね。それになんと言ってもバナナ。栄養抜群だし、バナナ食べてりゃ治るってなもんよ。それにあんた、柳田さんって言ったね? 白ちゃんは今ダイエット中でね。そんなことも知らないんです? まあいいや。とにかくこのプリンはダイエットに響きますから、お返ししますよ」

かなりのマウントだからだ。

ヤツはガサガサと音を立てながらプリンを掴み取ると、ぐいっと俺の方へと突き出してきた。プラスチックのスプーンも一緒に。いちいち律儀なやつだ。

「たっちゃん! せっかく持ってきてくださったんだから、そんな失礼なことしないでよ」

そのプリンにガシッと食らいついた。

さすが白井さん。スイーツに対する動きが俊敏だ。ここに罠が仕掛けてあったら、なんなく捕獲されてるからね。キミはそこのところ気をつけないと!

ぐぬぬと悔しそうに滝沢は唇を噛む。

「わ、わかったよ。でもとにかく今は安静にしてなきゃね。さああんたも帰ってくれ。白ちゃんのお世話はこの俺、滝沢がやるから」

「たっちゃんもありがとう。横になってれば明日には治ると思うから、たっちゃんももう帰っていいよ」

「「……わかった」」

しょげた犬2匹できあがり。

けれど退散する前にこれだけは言わねばならない。

「優里さんがダイエット頑張っているのは、同じジム仲間だから知っているよ。それにとても努力しているということもね。けれど、体調が悪いときぐらい、甘いものの一つくらい良いと思うよ。まずは風邪を治して、また元気な優里さんになって欲しいからね」

そして、俺は家へと帰った。

(あのヤロウも追い返されてたなバカめww)←自分のことは棚に上げる派

誰なんだろう。聞いちゃいないのに向こうから名乗りやがって。けれど重要な情報は名前しか出なかった。会話は成り立っていたのになんで?

歳は? 職場の人なのか? 年収は? 筋肉は?

そして……白井さんと親しいのか?

「白ちゃんたっちゃん……って呼んでたな」

そんなのさ、幼なじみの呼び方だろう? (思い込み強)

その日の夜は、白井さんの病状もろもろ心配があって、なかなか寝付けなかった。


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