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EP 13

「ちょ待って……くくく」

唇をかみしめ笑いを堪えている私は、柳田リリ。柳田昴の姉でエステサロン『seventeen』を経営し、現在全国へとチェーン展開している。

カフェ『vegeta』のメニューを確認しに行くから一緒にどう? という昴に着いていったら、面白いものが見れた。

あの呆気にとられた昴の顔! 可笑しいったらありゃしない。

「待って待って待って我慢できんぶははあぁふふふ! 昴の、あのバカみたいな顔っていったらなかったわ!」

大爆笑。

あの後タクシーで戻ってきた昴は、慌ててカフェへと駆け込んできた。

「財布! 財布返して!」

すかさず手を伸ばしてきて、私の手から財布もぎ取っていった。慌てすぎww

なるほどタクシー代が払えなくて、戻ってきたというわけね。

「ぶはぁ! マジで笑える、くくく」

腹を抱えてさらに大笑い。

昴は幼い頃から「お姉ちゃん! 待ってよう!」と私の後を追ってきては転び、うわあんと泣き出してしまうような貧弱な子どもだった。

引っ込み思案で、性格は優しく、怒られたり嫌なことを言われたりすると、うじうじすることもあった。

背だけは高いが体型はいつまで経ってもひょろひょろで、父からジムを継いだ頃から身体を鍛えるようになって、それからはようやくマシになったと思っていたのに。

「精神的にも肉体的にも自信がついてきたものだから……最近は何事もスマートにやろうとしてウザかったけれど……」

淹れた紅茶を口に含む。カップを戻すと、ようやく笑いが収まってきた。

私と昴は同じタワマンに住んでいる。私たち姉弟は特段仲が良いというわけではないが、お互いの経営について相談することもあるから、姉弟というよりビジネスパートナーと言った方がしっくりくるかもしれない。

父が経営している柳田ホールディングスは、ゆくゆくは弟の昴が継ぐこととなっているから、私は安穏としていて気楽なもんだ。

それにしても。

今日カフェで会ったあの白井って子が気になって仕方がない。

ガツガツと姉である私にまでマウントを取ってくる今までの昴の恋人とは、正反対のタイプだ。

控えめで少しぽっちゃり系だが……

「肌のハリツヤが最高! 頬なんかピカピカに光ってたものね」

エステを経営している身としては、大変興味深い。

「あの子、使えるかもしれないわ」

ジム『stone』に電話して、私の息がかかってるスタッフを呼び出し、そして白井優里の連絡先を聞いた。

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